否決でも圧力
さて、ちょうど2週間前の当欄ではESGを巡る政治的分断を取り上げたが、ESGに絡んでは昨日にJパワーが欧州の機関投資家から受けていた脱炭素化の時期などを巡る株主提案2件に関し反対表明している。これまでも世界の石油大手で気候変動対策等の株主提案が話題になっていたが、近年では国内企業にもこの手の提案が活発化してきている。
ここ数年で提案を受けたのは大手金融期間ではみずほFGに三菱UFJに三井住友FGの3メガバンク、大手電力では東電HDをはじめ関西電力や中部電力、大手商社では住友商事や三菱商事といったところで、うち20%以上の賛成率を得たところはみずほFGや三菱UFJに三井住友FGの3メガバンク、冒頭のJパワーや関西電力に住友商事や三菱商事等の大手商社となっている。
とはいえこれら企業に対する定款変更を求める気候変動関連の株主提案はこれまで全て否決されている。定款変更には議決権の3分の2以上の賛成が必要とそのハードルは高いワケだが、否決されたとはいえ過去には住友商事が海外石炭火力事業からの撤退を表明し三菱UFJ銀行も日本の銀行として初めてネットゼロ・バンキング・アライアンスに加盟している。
これらの背景には株主提案の影響が少なからずあったのは否定出来ないところだろうが、今後も賛同を得た賛成票を基に企業との対話でプレッシャーがかかって来るのは想像に難くないか。ちなみに昨年6月の株主総会では株主提案が77件と過去最多であったが、今年も株主総会が近づくにつれ双方の緊張感が次第に高まってくる。