2ページ目

半導体に沸く地価

昨日は国土交通省がまとめた今年7月1日時点の土地取引の目安となる基準地価が発表されていたが、住宅、商業、工業地などを合わせた全用途平均で昨年より上昇幅を拡大させ1%上昇となりこれで2年連続の上昇となった。これまで地価上昇の流れは大都市中心であったが、地方圏も0.3%上昇し31年ぶりにプラスとなるなどこの流れが地方にも広がっている。

地方といえば今年はさながら半導体バブルの様相を呈しており最も地価が上昇したのは北海道の千歳市でトップから3位までを独占、ココは次世代半導体の国産化を目指すラピダスの工場エリアだが1位と2位は昨年比で実に30%も上昇した。また商業地で最も地価が上昇したのは熊本県菊池郡大津町でココもまた30%以上の上昇となっていたが、こちらも台湾の半導体メーカーTSMCの工場建設が大きく影響している。

また、全国で最も地価が高かったのは1平方メートルあたり4010万円の東京銀座「明治屋銀座ビル」であったがこれで此処は18年連続となった。銀座といえば今年はあのH&Mが路面店を再オープンと5年ぶりに銀座に戻ってきたが、コロナ禍真っ只中の頃に空きが出ていた好ロケーション物件も虎視眈々と狙っていた向きですっかり埋まりまた優勝劣敗の新陳代謝が始まるか。


起爆剤案件?

先週はソフトバンクG傘下の英半導体設計アームが米ナスダックに新規上場した。AI関連の需要拡大期待等を背景に今回の案件には募集の12倍の申し込みとなる人気があったが、注目の初値は公開価格の51ドルを10%上回る56.10ドルとなり、終値は更に上昇し公開価格の約25%高となる63.59ドルで引け、これで時価総額は652億ドルと日本円で9.6兆円を超える今年最大のIPOとなった。

上場セレモニー後にはソフトバンクGのCFOがアームの将来性に期待するとしたうえで「我々のアセットの安全性はアームの上場で飛躍的に改善した。財務運営的にもさまざまな選択肢が出来た。」と述べたのが印象的であったが、これで連想されるのがかつて大量に保有していたアリババ株か。同株を担保にした投資資金の調達がこれまで要であったが、今後はアームが同社に換わる存在となる構図か。

そういえば昨年の株主総会で今回出資に回ったエヌビディア社へのアーム株の売却が独禁法の絡みで断念した事に関して「言い訳抜きで許認可が下りなくてよかった」と孫社長が述べていたのを思い出すが、結果的にその通りで仮にそのまま売却が叶っていたら想定価格で4兆円一寸、冒頭の時価総額との差は実に5兆円以上となるわけでまさに運を感じざるを得ない。

いずれにせよ久々の大型上場となった今回のIPOは紛れもなく世界最大規模、昨年の世界のIPO調達額は欧米の金融引き締めで投資家が景気後退を懸念し前年比65%減であったが、特に米ではIPOの中止件数が前年比95%減とITバブル崩壊の00年以来の高水準になっていた。斯様に低迷していた世界のIPO市場だが、アームの上場の成功をきっかけにこれまで止まっていた案件が動き出すのかどうか今後の動向も注視しておきたい。


手が届くエンゲージメントファンド

本日の日経紙マーケット面には「投信、PBR改革の援軍に」と題し、当欄でも今週はじめに取り上げたアクティブETFの中から「PBR1倍割れ解消推進ETF」が取り上げられていた。同ETFは本日も商いを急増させ上場後の新高値を付けてきていたが、他のアクティブETFも政策保有解消推進や高配当日本株など上場後の新高値を付けてきている。

このPBR1倍割れ解消推進ETFはエンゲージメント活動によってPBR1倍割れ解消を加速、日本の上場企業の大多数がPBR1倍超えとなることを目指すという壮大な目標を掲げているだけに期待が商いに表れ始めたというところなのか日経紙の取り上げもあってかその出来高は昨日の実に3倍にも急増している。

それ以上にこのアクティブETF上場と前後して目立っているのがこれらへの組み入れ銘柄群の上昇の加速か。特に三菱UFJはじめとしたメガバンクなどは万年PBR1倍割れ、そして政策保有株もトップクラスで更には高配当と新規上場したアクティブETF殆どのテーマに被っており、他にもトヨタ自動車やJTなども然りで組み入れに乗って何回転も効く新規商品創設期の旨味をそれぞれが擁している。

しかしこれらのユニークなネーミングを見ているとそのうち分割促進ETFやらTOBターゲットETFなどまで出て来そうだが、冗談はさておき長期でこれらETFを抱くもよし、上記のようにマル信で序盤の美味しいところだけも抜くもよしと投資スタイルは人ぞれぞれだろうが、アクティビストが狙う獲物も幅広く共有される時代になって来た。


富裕層さまさま

本日はパレスホテル東京から豊穣の秋を祝うとして旬のレストランメニューやペストリーショップ新作から宿泊プランなどの案内が来ていたが、このパレスホテル東京といえば今月アタマの日経紙に平均客室単価が海外の高級ホテルの目安とされる10万円を最需要期3~4月に初めて超えた旨の記事があったのを思い出した。

ちなみにこのホテルの近所に位置する帝国ホテルも「ホテル御三家」と言われている割には外資勢との比較で料金の安さは否めないとかねてより指摘されてきたが、こちらも上記最需要期には平均客室単価が6万円近くまで上昇しコロナ前の3万円台から比較すれば随分と回復したものだ。

これら総じてインバウンドの回復に伴う富裕層の消費に則したものだが、冒頭のパレスホテル東京といえば富裕層の取り込みを推進するべくコロナ禍にスイートルームを増設していたが、首都圏に限らず栃木県の老舗、日光金谷ホテルなども富裕層を取り込むべく1973年以来の別館改装でスイートルームを新設している。

Gotoトラベルで都内のラグジュアリーホテル勢がほぼ半額で泊まれたのも今は昔、春にオープンしたブルガリホテル東京など一泊最低25万円からと現在では欧米富裕層に買い負け?てなかなか気軽に手を出せる値段ではなくなってきている。経済を考えるに喜ぶべきか悲しむべきか複雑な想いだが、今の円安を考慮すればまだまだ上昇曲線を描きそうで各施設の今後の動きも引き続き注視しておきたい。


補助金乱発

数日前に近所のSSで給油したところ前回給油時より若干ではあるが値段が下がっていたが、このガソリンといえば先月末には15年ぶりに過去最高値を更新している。周知の通りこれを受け政府は、本来今月末で終了予定だった価格上昇を抑えるための補助金を年末まで延長すると発表している。

前回当欄ではトリガー条項の凍結解除をするに今は好機だと思うとも書いていたが結局この部分は触らずに補助金延長を持ってきたワケだが、JAFなども先に自動車ユーザーが到底理解・納得できない仕組みを一刻も早く解消すべきとして「当分の関税率」の廃止などを政府に求める声明を出している。

しかしユーザーが到底理解・納得出来ない仕組みといえば度々取り上げた二重課税が最たるものだろうか。そもそもの話で税金に税金を課すこと自体に理屈が立たないワケだが、当然ながらこの辺についてもJAFは言及している。また特定のモノに絞る補助金に関しても依然として公平性の観点その他諸々の理由で賛否両論が喧しい。

ところで先に財務省が発表した2022年度の一般会計決算では国の税収は前年度比6.1%増の71兆円超と3年連続で過去最高を更新している。消費税など増加しているにもかかわらず一部からは更なる増税議論が出ているが、それは兎も角も税収が斯様に過去最高な時だけに制度見直しで還元が可能になる部分など再考すべき余地もあるのではなかろうか。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

カテゴリー

アーカイブ

2023

9

1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30