私鉄統合思惑再燃
本日の日経紙投資面には「物静かな株主対話動く」と題し、アクティビストが台頭する一方で信託銀行や地方銀行の存在感が低下している旨が出ていたが、冒頭では昨日の株式市場で旧村上ファンド系投資会社が株式を買い増しているとの観測報道が背景となって突飛高を演じた京成電鉄と京浜急行電鉄が取り上げられていた。
村上ファンドに鉄道株といえば同頁にも出ていたが2006年の阪急・阪神経営統合が記憶に新しい。当時同ファンドは最終的に阪神電鉄株を実に5割近くまで買い進んだものの、例の村上ファンド事件も絡むなか阪急ホールディングスのTOBに応じ両社は株式交換を行い経営統合型の私鉄の再編劇が為されてこの件は幕を閉じた経緯がある。
本日の市場では京浜急行電鉄が反落する一方で京成電鉄は続伸となっていたが、この京成電鉄は当欄でも取り上げたことのあるように持ち分適用のOLCの時価総額が10倍近くにもなる資本捻れが顕著で、既にこの辺に目を付けられ英投資ファンドに一部株を握られている。本日はOLCの実施する自社株買いに応募した報道があったが、なお出資比率は20%を超えファンド側が求めている水準を上回る。
仕手株のような上昇軌道を描いた当時の阪神電鉄のような派手さこそないもののにわかに再燃した令和の私鉄再編劇思惑だが、資本効率等に関して具体的な発信力の無い企業にはアクティビストが虎視眈々と狙い隙をついて群がるマーケットになって来た今、私鉄に限らずビッグバンに繋がる構図も多いだけに企業側の資本政策が一層問われることになりそうだ。