上場ゴールの篩い分け

世界を震撼させている震源地の米株式市場だが、昨晩は5日ぶりに急反発し3000ドル超えの場面も交え1日の上げ幅として過去最大を記録した。先進国にあってフェイクニュース等で振り回され乱高下する様はまるで新興市場との一部指摘も出ているが(まあ日本市場も同じだが・・)、ところで新興市場といえば国内では先に東証がグロース市場に関し上場5年で時価総額100億円未満企業を上場廃止にする方向など上場維持基準を厳しくする方針を示している。

この辺に関しては先週末の日経紙でこの100億円水準をクリア出来ていない企業が7割にのぼる旨も書かれていた。現行の上場10年で40億円以上からみれば5年後で100億円は一気にハードルが上がった感もあるが、先月には東証の上場維持基準による経過措置が終了しているものの経過措置対象企業はプライム市場で55社、スタンダード市場でも140社近く残っているのを見るに約4割が上場時の時価総額を下回っている同市場の篩い分けも当然の流れか。

これまで新興企業ポストはその資金調達のパイプの細さやVCが早期イグジットを望む姿勢、また個人を中心とした売買主体の特異な構図等から小粒上場が問題になっており“上場ゴール”などという言葉まで飛び交った事があったが、こんな状況が改善されないままでは本来描いていたグロース市場からスタートしその成長と共に上のポストを目指すというあるべき姿も絵に描いた餅になってしまうのも確かに致し方なしか。

こうした素地の改善が先なのか強制退場が先なのか考えるべき点は多いが、先月の上場維持基準による経過措置終了でも既に感じた事だが経過期間はあっという間に過ぎ去る。このグロース市場に関する上場維持基準強化が今回設定された5年間でどの程度未達の企業に影響を及ぼすのか未知数だが、プライム市場、スタンダード市場、そしてこのグロース市場の果たす役割を改めて考えつつ今月下旬の東証有識者会議での議論を経た最終決定を待ちたい。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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