浸透してきたコモディティー系

本日の日経紙グローバル市場面では「オルカン買い意欲衰えず」と題し、新NISAを起点に投資の波が広がり25・26年の純流入額で「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」、所謂“オルカン”が不動の首位となっている旨が出ていた。これに続くのが「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」であったが、4位には「ピクテ・ゴールド(為替ヘッジなし)」のコモディティー系が顔を出している。

特に貴金属系は近年稀に見る驚異の上昇率を昨年に演じたことで俄然注目度が高まった模様だが、そのパフォーマンスも昨年末から先週までで首位のオルカンの6.6%の倍近く上回る12.3%を叩き出している。ゴールドものでは9位にも「三菱UFJ純金ファンド」がランクインしていたが、先週末の日経紙でも世界のETFが直近1週間で21億ドルの純流入を記録し前週から2週連続で買い越しになった旨の記事があった。

この金ETFも相場が異常な高騰を演じた昨年には、受益権1口あたりの市場価格が純資産額にあたる基準価格と比べ異常乖離するなどの場面が何度かありその都度注意喚起がなされたのを思い出す。直近で今年の日本の第一四半期のETF資金フローが報じられているが、資産クラス別での金関連は継続的な需要がみられるという。地政学的な不確実性が払拭されないなか引き続き投資家のポートフォリオ分散の姿勢が継続されるか。


有事でも下落の安全資産

中東情勢の緊迫化でマーケットの乱高下が続いている。市場の不安を映して日経平均VIは高水準を維持しながら約1か月前に付けた史上最高値の59000円台から今週アタマのザラバ安値まで8600円以上の急落を演じたが、これに歩調を合わせて下落が目立つのが教科書的には有事の際に買われるはずのゴールドをはじめとする貴金属でこの度の中東情勢緊迫化以降は一貫して下落傾向を辿っている。

金といえば大阪取引所では先週のサーキットブレーカー発動に続いて今週も貴金属三品の先物は週明けからこのサーキットブレーカーが発動される急落を演じていたが、一昨日にバックワーーデーション化を取り上げた原油価格の急騰で金利が高止まり、これが相対的な金の魅力低下に繋がったほかドル建て取引の金の割高感も意識されこれらが地政学リスクに勝るマクロ要因として作用したといった状況か。

安全資産の類では米国債もまた同様に換金売りの対象になっているが、上記の原油と共に開戦後に上昇しているのがデジタルゴールドといわれるビットコインで開戦後の金の下落率と同率の上昇を見せている。昨年に約6割上昇を演じた金に比べ最高値から約半値まで調整したビットコインの割安感が意識されるというが、後付けの解説は兎も角も地政学リスクも不透明感が強くなるにつれ資金フローもカオス化してくる。

金も近年は個人が大挙し投機で参入しこの辺もボラを高めているが、安定株主的存在の中央銀行はこれらとは一線を画し粛々と動いている。昨年10月の下落局面でも中銀は金買いに動いたが、市場から遠ざかっていた国の中銀がここ数か月で金の購入に動いているとロイターが報じている。先に多くの外銀勢は6000ドル超にターゲットプライスを置いていたが、この調整局面が長期的ポジションを構築する好機になるのかどうか今後も注目される。


バックワーーデーション模様

本日の日経紙グローバル市場面の市場を知るニュースワードでは「バックワーーデーション」が取り上げられていたが、商品業界の人間ならこれはもう馴染みのワードだろうか。足元の中東情勢緊迫で原油相場が急騰急落と乱高下模様だが国際指標の北海ブレントやWTIの先物市場では期近が急上昇、期先のそれを凌駕?し教科書通りのバックワーーデーションを形成するに至っている。

斯様に原油価格が急騰する一方で昨年から原油以上に注目を集めていた貴金属だが、地政学リスクで本命視されていたゴールドがズルズルと下落しているのが目立つ。このゴールド以上の上昇率だったのがシルバーだが、シルバーもまた急騰の裏でこのバックワーーデーション著しくかつてのコンタンゴ下で安定して利鞘を得ていたブリオンバンクなどは昨年の急騰で思わぬ番狂わせとなったかっこうか。

しかし原油といえばコロナ禍の頃の春に価格が一時マイナス40ドルまで急落し結局マイナスのまま引けたのが記憶に新しい。もはや先物カーブ云々で測れる次元では無いがそれは兎も角も当時400円台だったシンプレクスのWTI連動ETFは昨日に5326円の年初来高値を示現している。これら原油ETFも複数上場しているが、いまだ3週間前の高値を抜けないものもあり今後も先物カーブを睨みながらの気迷いはまだ続くか。


じわりと影響“悪魔の金属”

先週末の日経紙グローバル面では「中国の銀ファンド混乱」と題し、中国深圳市場に上場する国投瑞銀基金が運用する銀ファンド「国投白銀LOF」の基準価格が銀価格暴落劇のさなか突如としてSHFE(上海期貨交易所)からCOMEX(ニューヨーク商品取引所)に切替わったのもつかの間、早くも翌日にはその基準価格の参照先を再度SHFEに戻すという措置が物議を醸し出している旨の記事があった。

東証に上場している貴金属系のETFも時に乖離が生じるケースがあるが、このLOFという商品の構造そのものが我々のイメージするETF等とは似て異なるために斯様なケースも起こり得るわけだがなんともスリル?のある商品だ。こんなケースもあり“悪魔の金属”という銀の異名もよりしっくりくるというものだが、こうした金融商品以外でも価格乱高下は生活の身近な部分にも影響を与え始めている。

今月アタマに当欄で五輪メダルに言及した際にこの銀価格高騰で歯科医院の保険対象治療の「銀歯」が利益を圧迫している旨に少し触れたが、その配合がパラジウムの約2割に対して銀の比率は“銀歯”という名の通りで約5割の構成比となっていることで、同様の問題がパラジウムの急騰でいわれていた5年ほど前から今回はさらに利益が圧迫されているのは想像に難くないか。

逆に患者側からすれば急騰前価格の3割負担でお得?治療が出来るという構図だが、この銀歯も以前は買い取りを扱わなかった業者も最近では積極的に高額買い取りをアピールしている。また他にも行事写真で学校等と契約している業者は値上げを検討し、銀製の管楽器を販売する業者の一部は時価販売に変更するなど、投資家以外の向きにも影響がじわじわと出てきているだけに今後の相場動向にも引き続き注意しておきたい。


五輪メダル価格も新記録

週明けには「大荒れ模様の貴金属」と題し、急騰を続けてきた貴金属が一転して急落の憂き目に遭った件を取り上げたが、その後も不安定な動きが続いている。これら貴金属と共に高値を更新してきたものに銅など非鉄金属があるが、先にLME(ロンドン金属取引所)の銅3か月先物相場は初の14000ドル大台超えとなり最高値を更新、実物の裏付けがある共通項だけで共鳴し合う鉄火場と化している感も強い。

そういった事を背景に国内でも関連製品の値上がりが続いているが、製品のみならず最近ではその素材において銅が半分以上を占める「5円玉」の原材料費が額面を上回ったとの件が話題にもなっている。貨幣とコストを巡る件では米が1セント硬貨の製造コストが額面を大きく上回っている事なども背景に昨年11月に一般流通向けの製造を終了した件が記憶に新しい。

まあ5円玉がその流れで消えるというのは考えられないが、影響がじわじわと出ているのが歯科医院など。今から5年前くらいだったかパラジウムの高騰で保険診療の「銀歯」が利益を圧迫している旨を書いた事があったが、昨今は銀の暴騰で再度この悩みが再燃している格好だ。世間では実質賃金を巡って物価の上昇に賃金が追い付かない状況というのが言われて久しいが、さながら歯科医院も報酬改定が相場の暴騰にとても追い付かない状況といったところか。

さて、こうしたなかでミラノ・コルティナオリンピック開幕が明日に迫っているが、貴金属が暴騰するなかメダルのコストもパリオリンピックから急騰している。単純な試算では金メダルは前回から原材料費が約4倍に、銀メダルに至っては前回から5倍以上に化けている。そういった事で上位選手は歴代で最も高価なメダルを手中に収めることになるが、そんな勘繰りはさておき選手の皆様には各々が思う存分に場を楽しみ練習の成果を出し切ってもらいたいもの。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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