五輪メダル価格も新記録

週明けには「大荒れ模様の貴金属」と題し、急騰を続けてきた貴金属が一転して急落の憂き目に遭った件を取り上げたが、その後も不安定な動きが続いている。これら貴金属と共に高値を更新してきたものに銅など非鉄金属があるが、先にLME(ロンドン金属取引所)の銅3か月先物相場は初の14000ドル大台超えとなり最高値を更新、実物の裏付けがある共通項だけで共鳴し合う鉄火場と化している感も強い。

そういった事を背景に国内でも関連製品の値上がりが続いているが、製品のみならず最近ではその素材において銅が半分以上を占める「5円玉」の原材料費が額面を上回ったとの件が話題にもなっている。貨幣とコストを巡る件では米が1セント硬貨の製造コストが額面を大きく上回っている事なども背景に昨年11月に一般流通向けの製造を終了した件が記憶に新しい。

まあ5円玉がその流れで消えるというのは考えられないが、影響がじわじわと出ているのが歯科医院など。今から5年前くらいだったかパラジウムの高騰で保険診療の「銀歯」が利益を圧迫している旨を書いた事があったが、昨今は銀の暴騰で再度この悩みが再燃している格好だ。世間では実質賃金を巡って物価の上昇に賃金が追い付かない状況というのが言われて久しいが、さながら歯科医院も報酬改定が相場の暴騰にとても追い付かない状況といったところか。

さて、こうしたなかでミラノ・コルティナオリンピック開幕が明日に迫っているが、貴金属が暴騰するなかメダルのコストもパリオリンピックから急騰している。単純な試算では金メダルは前回から原材料費が約4倍に、銀メダルに至っては前回から5倍以上に化けている。そういった事で上位選手は歴代で最も高価なメダルを手中に収めることになるが、そんな勘繰りはさておき選手の皆様には各々が思う存分に場を楽しみ練習の成果を出し切ってもらいたいもの。


大荒れ模様の貴金属

さて異常?な急騰を続けてきた貴金属が先週から逆回転している。先週末は国際価格の急落から大阪取引所でプラチナ先物に「サーキットブレーカー」が昨年末以来、1か月ぶりに発動されたが、週明けの本日もニューヨーク先物の急落を受けて同取引所の金先物に「サーキットブレーカー」が発動されている。現物の方も大手田中貴金属工業が、通常の価格公表時間以外に臨時の価格公表を実施するなど異例の事態となっている。

背景には周知のようにトランプ米大統領が、5月に任期を迎える現FRB議長のパウエル氏の後任に元FRB理事のケビン・ウォーシュ氏を指名したが同氏が他の候補より利下げに慎重とみられ、トランプ氏が騒ぐほど金融緩和自体は進まないのではとの思惑から金利が付かない金の投資妙味が薄れるとの見方が急速に台頭、先物へ売りの矛先が他の貴金属も巻き込む形で向かった格好に。

ニューヨーク先物の下げ率は1割を超え1日としての値動きは1980年以来の大きさとなったが市場規模がこれより小さい銀もまた然り、手を出し易いETFなどでは三菱UFJ信託の純銀上場信託が終日売り気配で推移した末に比例配分でストップ安となり、成り行きで約30万もの売りを残して引けている。過去歴史的なピークを付けたところはいずれも証拠金引き上げの措置がトリガーとなっているが、果たして今回もこれが当て嵌まるかどうかだ。

ともあれいずれも先週からの急落で今年の急騰分がほぼ往って来いで無くなった格好となったが、“買いたい弱気”で逡巡していた向きにははたしてこの急落が切れ味の鋭い落ちてくるナイフなのか、はたまた絶好の買い場をここから探る局面なのか迷うところだろうか。AIバブルが言われて久しいがこの貴金属もはたしてバブルなのか否か、終わって初めてわかるバブルだがまだまだ目が離せない相場だ。


金と悪魔の金属

米予測市場のポリマーケットでは昨日の段階でFRBが25ベーシスポイントの利下げを実施する確率を95%としている。斯様な利下げの観測やFRB議長人事を巡る思惑から現物資産の魅力が高まり、調整一服の金(ゴールド)や銀(シルバー)などの貴金属が再度投資マネーを引き付けている旨の記事を先週の日経紙で見かけた。ちなみに国内でも今月に入ってすぐに金の小売価格は約1か月ぶりに最高値を更新してきている。

また上記の通りゴールドと共に急伸著しいのが“悪魔の金属”とも称されているシルバーで、これまた今月に入ってアジア時間の取引で58.94ドルの高値まで買われ年初からはや2倍以上の水準にまで高騰している。シルバーについては当欄で10月に一度取り上げているが、国内ETFでも指標格の三菱UFJ純銀ETFは再度その10月に付けた高値をうかがう展開になっており、WisdomTree銀上場信託は先週に10月高値を更新してきている。

ゴールドに関してはステーブルコインを発行する企業がその裏付け資産として金を保有する動きが顕著になってきているが、今年7~9月期には中銀の中で最大の買い入れ額だったところを上回る額を購入している。これら新たな大口の買い手の存在の他にも一部ではAI関連株などからの乗り換えを指摘する向きもあり、こうしたセクターローテーションの一環として物色対象になるなども相俟ってまだまだ投資マネーを引き付ける動きは続きそうだ。


関税政策で二番天井?

本日の日経紙グローバル市場面には「コーヒー豆相場 収穫順調も高値」と題して、主要なコーヒー豆生産国の収穫は順調なものの、米国の関税政策によるコーヒー豆の流通にゆがみが生じていることで需給の逼迫が意識されアラビカ種を中心に再度上昇基調にある旨の記事があった。同商品のICE(米インターコンチネンタル取引所)先物相場は今年2月につけた最高値に迫る勢いとなっている。

このコーヒー豆もカカオ豆と共に近年の高騰の影響で国内でもネスレ、UCC上島珈琲、味の素AGF等の大手が度重なる値上げを敢行、これはチョコレートも同じだがコーヒーの方が肌感覚ではまだ値上げがマイルドな感じがする。もっとも収穫が順調ということであれば、関税自体の引き下げなど環境変化で収穫が戻ってきたオリーブオイル同様に相場が下落に向かう可能性もあるか。

相場下落といえば上記のカカオ豆も年初には二番天井を付けにゆくかっこうで再度の急騰を見せていたが、こちらも今年度の収穫量が前年度を上回る観測や所謂“レーショニング”もあり指標のロンドン先物相場は年初の高値からはや半値水準にまで急落している。とはいうものの世界の在庫自体は低水準であり、コーヒー豆とて所謂“コーヒーベルト”土地の半減観測も燻っていることなど再燃素地が残っているだけに今後も相場動向には注視しておきたい。


ミーム化でETF異常乖離

さて今週も金の国内小売価格が史上最高値を更新したが、そんな裏で東証が純金ETFに対して受益権1口あたりの市場価格が純資産額にあたる基準価格と比べて高い状態で推移する傾向が継続していることで注意喚起を実施している。同ETFが上場来の高値を更新した先週17日の金先物生産価格をベースにした理論価格に基づく1口(約0.94グラム)あたり基準価格は20,553.99円であったが、この日のザラ場高値は25,740円まであった。

また今週に入ってからはWisdomTree貴金属バスケットについて、同日取得した外国の主たる金融商品取引所における直近の値段を円換算した値が先週設定した基準値と大幅に乖離したことで20日の基準価格を変更して成り行き注文も金下旨を告知している。これで思い出したのが昨年はじめに日本株に連動するETF「チャイナAMC野村225」に中国の投資家が殺到し取引が一時停止に追い込まれた件か。

日経平均が約34年ぶりの高値を付けるなか、資本規制に縛られ海外株式の口座もないドシャ降りの本土株急落に見舞われた投資家が利便性の高いこのETFに我先に食いつき売買停止前には純資産に対するプレミアムが10%近くに上昇していたものだ。足元では先週も書いたように田中貴金属がスモールサイズの地金販売が停止に追い込まれるなどしているが、そうした向きの資金がETFに大挙している構図はなんともこれに似てはいないか。

そんな狂乱相場も21日のNYでは金先物価格は1日としては過去最大の下落幅を記録、上記の国内ETFもこれに加え東証や運用会社側の注意喚起の影響から一転して急落の憂き目に遭っている。FXもかつて“ミセスワタナベ”なる造語が闊歩していた時期があったが、なかばミーム化した「金」もイナゴ勢含めた投機買いの影響力が無視できない水準まで増してきており昨今の金需要の構成図も彼らによって比率が塗り替わりつつある。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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