32ページ目   商品先物

LNGデリバティブ

さて、先週末の日経紙夕刊には「LNGデリバティブ 日本の市場創設支援」として、世界最大の先物取引所運営会社CMEグループが、日本政府から支援要請を受け日本のLNG(液化天然ガス)のデリバティブ市場創設を支援する旨の記事があった。

LNG市場創設に関してはこれまで何度か触れてきたが、この辺に関しては昨年末に東京商品取引所がCMEグループと業務提携の交渉に入った件を書いている。同グループ会長は日経平均先物上場の際にアドバイザーを務めた方というが、はて今回は東商取に創設ということなのだろうか?

直近で同所ではエネルギー商品を売買するOTC市場を開設しているが、取引商品には石油とこのLNGが名を連ねている。先ずは現物を軌道に乗せ次に先物上場に繋げる戦略なのだろうが、4月にも当欄で一度書いた通り先の金融調査会では総合取引所の創設が適わぬ際には議員立法等までを視野に入れている旨も仄めかされており時間的なものと併せこの辺も気になるところ。


短期?循環

さて、コモディティーの世界ではこの間まで主要生産国の南アフリカが鉱山デモやスト等で混乱し供給不安を背景にPGM系メタルが高騰していたが、会社側と組合側が原則的に合意との報からここ沈静化している。そんななかで、それと対照的にここ上昇してきているのは金や原油か。

OPEC2位の生産量のあるイラクで政府軍と過激派武装組織との武力衝突が本格化しているのが背景にあり、これに反応した金価格は前週後半から昨日まで約20ドル上昇し約3週間ぶりの高値水準となり、また原油もWTI、北海ブレント共に9か月ぶりの高値水準まできている旨が本日の日経紙にも載っていた。

このところボラが薄かっただけに投機家にとっては昨今の混乱や地政学リスクもまた好機到来であっただろうが、何れに翻弄されているのだろうか?各々のシーンで実際のところ誰が絵を描いているかは後にならねば解らぬところではあるが、これがあるからまた思惑も募る。


外堀

本日の日経紙商品面には「世界の商取、売買高減少」と題して、5月の売買高がNYMEXでは23%減少、ICEでは15%減少するなど米国や欧州の主要市場で軒並み前年実績を下回った旨が載っていた。金融規制改革法の影響等もあり、銀行が商品事業から撤退した動きも一因という。

この辺は東商取も同様で同売買高は36%減少と更に顕著で、昨日は1日の売買高が17年9か月ぶりの水準に落ち込んだ模様。こうした背景が大きく響いて先に同所が発表した2014年3月期の連結最終損益は9億1200万円の赤字となっていた。

目下のところ総合取引所の実現が課題となっているが、同所の記者会見では「器だけ整備しても効果は限られる」と述べ従来の慎重な主張が繰り返されていた。この構想を巡っては政府の日本再生ビジョンが注目されているところだが、近々実現に向けて外堀が埋められてゆくのかどうか目が離せない。


規制の匙加減

昨日取り上げたバークレイズの件に絡んだ話だが、ちょうど昨日の日経紙多面鏡には「米で現物業務の規制案」として、米国で浮上している金融機関による商品現物業務の規制を強化する案を巡る話が載っていた。

同紙にはグラス・スティーガル法廃止で動きの幅が広がり、大手銀などが次々とLME等の指定倉庫や様々な設備を所有するようになったのに伴い商品の需給や価格形成に影響を及ぼしかねない不安もあるとあったが、上記のLMEなど値鞘稼ぎの在庫積み増しの裏で大口需要家は思うように出庫出来ない弊害が出ている旨が書いてあった。

この在庫積み増しによって手数料を稼いだと書いてあるが、おそらく先をショートして調達しておいた現物の渡しというパターンで積みあがったということだろうか?また、一連の規制とは関係無いと表明しつつも銀の値決めから撤退したドイツ銀行の影響もあって今年8月にはロンドンの銀価格算定基準が失われる。今後の円滑な市場機能維持に向けた施策は焦眉の急である。


LIBORから金まで

さて先週末には英金融大手バークレイズに対し英国市場監視当局のFCA(金融行為監督機構)が、金価格の値決めに関して内部管理を怠ったとして2,600万ポンドの制裁金を科した旨が報道されていたが、この件は本日の日経紙社説にも「商品市場の不正は許されない」として取り上げてあった。

バークレイズといえば、一昨年にもLIBOR(ロンドン銀行間取引金利)の不正操作で2億9,000万ポンドの罰金を科せられた一件があったが、金価格操作におけるトレーダーの不正行為は10年近くに及びLIBOR問題の制裁金を科された翌日もこうした行為が行われていたというからその管理体制も責められよう。

この金価格操作だが、金指標価格が特定水準を超えれば代金を顧客に払う契約でこの特定水準を超えないように価格操作を施しこの顧客への支払いを免れていたというもの。まあこの辺は国内でもEB債などのノックイン商品においてそれらに絡む証券会社等によるこうした価格操作が疑われてきた事例も枚挙に遑がないが、国際的指標価格に携わってきた企業だけに失望感は大きく影響が懸念される。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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