35ページ目   商品先物

現物回帰?

さて先週のニュースで目に留まったものにインドの空港で国際線旅客機のトイレから約2億円近くの金の延べ棒が発見されたとの件があった。同国では今年金の関税が6%から15%に引き上がっており、この辺を背景にしたものと考えられているがこれだけの規模だけに何とも裏がありそうな落し(忘れ)物?である。

ところでこの金地金といえば、先週の日経紙マネー&インベストメントには「金地金、再び脚光」として為替の円安安定や増税前の駆け込み需要も期待され、低迷している先物を横目に地金販売が再び伸びてきている旨が載っていた。

こうした地金需要は円建てETFにも及んでおり、当欄で先週20日付け「プラチナ復権」の項で金の主力であるSPDRゴールド・シェアが年初から4割弱減っている旨を書いたが、同紙によれば同じETFでも国内保管を謳う金の果実は年初比15%増の6.4トンと過去最高水準に達しているという。こんな流れを汲んで来年は現物回帰となってくるのかどうか、引き続きETFの動向含めて注視しておきたい。


プラチナ復権

一昨日の日経紙社説には「資源国の輸出規制に警戒を」としてインドネシアの非鉄金属輸出規制等と共に、南アフリカ共和国がプラチナの輸出価格や輸出量の統制を含む国内産業の振興策を検討している旨が載っていた。

近年資源国では各々の事情でこの手の鉱物等の生産や輸出を統制する動きが目立ってきているが、各所利害関係が対立するだけに一筋縄ではいかなそうだ。とはいえ先週の英金属精錬大手ジョンソン・マッセイ発表のプラチナ需給も2014年は引き続き供給不足になるとの予想もあり、漸く復権の片鱗が見えてきたか。

国内外でも昨年まで一頃金とは逆鞘であった相場は再度プラチナ上鞘となり、接近場面があってもすかさず拡大する動きが定着している。ETF市場でも金の主力であるSPDRゴールド・シェアが年初から4割り弱減っているのに対して、世界のプラチナETFは年初から約6割増えているといい今後もこの辺の推移には要注目である。


先ずはOTC

昨日は新しい指数「JPXインデックス400」を取り上げたが、コモディティーの方でも東京商品取引所が今年度にもLNG(液化天然ガス)を取引する市場を創設する旨の報があった。先ずは石油仲介大手と提携し取引参加者とのOTC市場の運営会社を設立するとのことだが、これをテコに将来的に先物市場でのLNG上場につなげるというものだ。

この石油仲介大手はシンガポールのギンガ・ペトロリアム社だが、同社といえばこれまで
石油製品のeコマース創設を始めTOCOMや取引員と蜜に関わりさまざまなデリバティブ提案をしてきている。eコマース等では中小業者の一部も以前に手掛けた経緯があったが、先を見据え漸くこの辺も広がってきた模様だ。

日本はOTCのデリバティブ市場規模が貧弱で、諸外国に比べはるかに見劣りしているのは否めなく先ずはこの辺が活性化し軌道に乗るかどうかだが、ここ近年の先物市場はお世辞にも活況とはいえないだけにこれらが活性化すればその波及効果も望め、ひいてはアジア市場でも存在感が少しずつ出て来る期待感があるというもの。


復活の芽はあるのか?

このところ不透明感漂う金相場だが、直近の貿易統計では4〜9月の輸出量は約53.2トンと前年同期の2倍に達していることが明らかになっている。輸出から輸入を引いた流出量も約37.3トンと前年同期比2.1倍となっており、金相場が過去最高値を付けた2011年に迫る勢いというところだ。

ETF等と共に新興国の旺盛な引き合いに対しての出し手という構図は毎度馴染みだが、金相場といえば先週末の日経紙マーケット商品面には「海外、オプション取引拡大」として、ニューヨークマーカンタイル取引所のオプション建玉が先月末時点で161万枚と1年で約2割増えるなど、金相場の先行不透明感が漂う中を同取引が拡大している旨も載っていた。

これに対し先物建玉は1割ほど減少してきているといい、成る程オプションが賑うのも自然なところだが、その辺を横目に東京商品取引所を見ると長年放置状態になっているオプション市場の荒涼感が一際目立つ。

今や他のマーケットよろしく投資家比率においては外人勢が牽引する恰好となっているが、この辺からの圧力で本邦も漸く重い腰を上げ今後この辺を見直そうという動きは出てくるのか否か?これまた啓蒙、システム問題等々絡め課題が山積みである。


何れの矢となるか

さて本日のTOCOMでは金の急落が目立っていたが、欧米株式相場の戻りでリスクオフ姿勢の和らぎから時間外での大幅安を映した格好になった。ところでこの金といえばちょうど一昨日の日経CNBCで「ジム・ロジャーズが語る世界経済と金2013」と題しての放映があった。

前半には金市場コンサルタントアナリストのジョージ・ミリング・スタンリー氏が、金市場における政府や中央銀行の存在が需給面でこれまでとは違った変化が生じている旨の話等があり、その次はジム・ロジャーズ氏の対談であったがアンチアベノミクス派だけに、10年20年後振り返った時これは日本を崩壊させる最後の矢だったと評価されると厳しい意見も。

経済再生の鍵となる基本方針の三本若しくは四本の矢も彼から見れば崩壊のトリガーとなるようだが、主要国銀行が巨額の紙幣を刷り続ける様を、「人工的に作り出された流動性の海は枯渇しそして苦しみがやってくる」と例えたくだりもまた非常に印象的であった。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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