46ページ目   商品先物

内輪の課題

本日の日経紙始め各紙では、総合取引所法案を通常国会に提出する方針を固めた旨が載っている。果たしてというか監督権限は金融庁に一本化、商品業界主務省の抵抗もそろそろ限界が見えてきた感もあるがさてここからも紆余曲折があるかどうか。

ところでその商品業界といえば先週末の日経紙にて「東工取、現行システム継続」と出ていた。昨年11月にも一寸触れた通り東工取は2014年5月にライセンスが切れるが、同紙が報じている通り現況では大証との共同化を見送り現状を維持する方針としている。統合の光が見える一方で、両者のシステム案が見えず下手に何れかとの共同戦線を取り辛いという状況下では確かに選択肢も限られようというもの。

同所は先の決算で通期純利益を叩き出しているが、中身はやはりJCCHの貢献に因るところが大きいのは一目瞭然。斯様に脆弱ともいえる構図では何れにせよコストの負担は大きくこの辺とも併せて考えなくてはいけなく、まだまだ個別では模索が続く。


金を取り巻く関係者

昨晩の金は大幅高し年初来高値更新の動きでTOCOMもしっかり。さて金といえば、昨日触れた年明けの日経紙「経営者40人に聞く」景気・株価2012年私の見方とした特集が載ったのとちょうど同じ日にテレビでは、「ガイアの夜明け新春特別版・ゴールドラッシュの真相を追う」の放映もあった。

マクロをタラタラと語って時間を潰すよりもそこそこ俗っぽい映像も織り込んでなかなか面白かったが、以前から行われていることも今更ながら金ブームと煽って映像にするとリアリティーあるものへ仕上がるものだ。登場人物としてはお馴染みジム・ロジャーズ氏など銀座のTANAKAでこれ見よがしに金工芸品を大人買いしていた映像があったが、一方で氏はこの番組が放映された日に金相場については、「調整の時期に来ており、1オンス1,200〜1,300ドルまで下落する可能性がある」とロイターに語っている。

しかしこうしたメジャー系の一方で、この金ブームならでこそ表舞台に出てこられるような向きも中には登場していたが、脛に傷持つ輩は後々やはり問題視される可能性が高いだろう。


業界の地を想う

何時だったか当欄で以前、「銀座は変遷著しく経済を肌で感じ易い街である。」と書いたことがあったがこんなマクロでなく、商品業界を如実に表していたのが日本橋の蛎殻町界隈か?商品取引所トップは言わずもがなTOCOMであるが、業界のロケーションとしてはやはり蛎殻町にあった東穀取周辺が中心地だろうか。

同取引所を取り囲むようにして上場組から地場まで多くの取引員がこの地に長年拠を構えていたものだが、直ぐ隣にあったカネツ商事は移転し今や更地を経て真新しいビルがテナントを募集中、取引所真ん前にあった明治物産は受託業務廃止から減資措置を経て事務所が無くなり、ココも現在は更地になってしまった。そして隣にあった同じくアサヒトラストは岡安商事へ事業譲渡。また今は無きフジチューが入っていたビルもいまだテナントが入らずに寂しい佇まいを晒し、志半ばで撤退していったSBIFの跡には歯科医院が入居、歯科医院といえばオンラインがあったところの小林洋行2号館も最近になって歯科医院に変わっている。

斯様に周辺取引員がポツリポツリと撤退し、その中心に位置していた東穀取は一部取引員と共にポツンと残された格好になっていたが、今年はとうとう自社ビル本館を三菱地所に売却し6月中旬から緑色の屋上が徐々に取り壊され、今は更地を経て「ザ・パークハウス日本橋蛎殻町」の建設真っ最中、ちなみにココでチマチマ育てていたミツバチは頼み込んで近所の高層マンションのアネックスに引越しとなった。これで視覚的にはとうとう本丸も無くなってしまったわけで、周辺の跡地含めてこの地区一帯の風景が一気に変わるのを想像するに一寸寂しい思いになる。

さてこうした風景の変遷と共に業界も新時代の幕開けになるかどうか、この辺を来年も引続き注視してゆきたい。

皆様、本年もご愛読ありがとうございました。
どうぞ良いお年をお迎えください。


リーマン型

昨晩の米株式は300ドル近くの急反落となったが、その一因ともなったのが米商品ブローカー大手「MFグローバル」の破綻か。これについては既に先週あたりから身売り話が出て株価も暴落、そろそろカウントダウンとの噂がまん延していたのだが、正式にニューヨーク連邦破産裁判所に米連邦破産法11条を申請、自己資本を大きく上回る身の丈以上の欧州系国債大量保有がトリガーになった模様だ。

さてこの米連邦破産法、日本でいうところの民事再生法というところになるが、今回は「リーマン・ブラザーズ」が破綻したときと同様のケースで、申請後に入札をかけて他へ譲渡というパターンか。ただこの辺はインタラクティブ・ブローカーズの名が挙がっていたものの現時点では不透明。リーマン・ブザラーズ型といえばこのブローカー、その資産規模こそリーマンには敵わないが、それにしてもあの不正会計の「エンロン」や自動車大手「クライスラー」の間くらいに位置し立派?な大型破綻にランクされる。

同社破綻の報で世界各国の関連金融機関はその対応に追われているが、身近なところでは「MF Global FXA証券」が急遽営業休止、建玉の速やかな決済をお願いしているが委託者サイドも今回のように噂になり騒がれていた時間がある程度あった場合など防衛策を早めに取れる行動力は是非身に付けておきたいところ。

一連の欧州危機を引き金としての米金融大手破綻例としては今回のケースが始めてになると思うが、今回は特殊な例としても引続き二番手が出てしまうのかどうかこの辺には注意しておきたいところ。


コメロンダリング

さて、週刊誌の中でも昔と違って久しく同じ内容を打ち出した記事を見なかったが、今週号の「東洋経済」と「ダイヤモンド」は珍しく揃って「コメ」を取り上げた内容であった。

コメといえば悲願の先物が復活したばかりで上場後には日経紙等でも度々取り上げているのを見掛けたが、市況とは別に東工取との統合撤回の裏で農水省は貴重な天下り先を失いたくなかった云々と牙城を死守した思惑も書かれており、この縁談が総合取引所構想の一歩として真面目に期待していた業界関係者等はこんな特異性に忸怩な思いもあるだろう。

コメ業界自体も昔から魑魅魍魎といわれてきたものだが週刊誌によれば相場上昇下にあっては悪徳業者にとって願ってもない商機とか。現在福島県になぜか他県産の一空袋が大量に集まってきている様などなんとも不安を掻き立てるようなことも書かれてあったが、両誌共に割いた紙面はごくわずかながら先に上場したコメ先物にもやはり触れていた。

両誌共にタイトルは「活況から一転低迷」とか「本格離陸までの高いハードル」と厳しいものであったが、「週刊ダイヤモンド」では東穀取の社長が上場後に早速萎んだ現在の不振については「〜10月になって限月が6本揃ってからが本番と考えてほしい〜」と語っている。全限揃い先限の商いが立てば状況が一変するという思惑か?その辺は分からないが、では先限が如何ほどの商いを集めるかこの辺を注視させていただこう。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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