46ページ目   商品先物

食い潰しの果て

さて東京穀物商品取引所の取締役会が明日に控えるなか、先週末の日経紙では同取引所の4商品を来年2月をメドに東京工業品取引所に移管、またコメについては関西商品取引所に移すことで合意した旨が載っていた。ここまでなかなか公式な発表が無いなかで来る株主総会までにその去就を決定するということであったが、大手紙では順次既成事実として最近この手の発表が相次ぐ。

ちなみにこのコメに関して今年2月に当欄では「こんな記事を目にするとイヤでも関西商取が消去法で出てくるワケで〜皆に期待された大型商品であったが、天下り陣の既得権益の具にされていたとしたらそれこそかわいそうな商品〜」とコメントしたことがあったが、いろいろ派生モノも出てきた矢先のコメだけに移った先の処遇が気になるところである。

しかしこれまでなしくずしし的に手持ち不動産、有価証券を順次売却し最後の砦である自社ビルまでも殆ど一存で売却してしまう暴挙と併せ、大風呂敷の事業計画を得意気に謳ってきた様はなんとも酷い。天下り組は食い潰しでも食うに困らないだろうが会員や一般は本当に犠牲者とも言えよう。

迷走の軌跡も板寄せからザラバへ移行、不発に終わってまた板寄せに戻すなどの繰り返し、今回の東京工業品取引所への移管でもコメ上場を期にそれを白紙撤回したかと思えば、不発に終わりまたも白紙撤回したのを撤回するという繰り返し。最近けっこう引用が見られる「1度目は悲劇として、2度目は喜劇として」というマルクスの言葉があるがなんともなあという感じである。


先物活躍の場?

さて、昨日の日経紙商品面には「コメ専門店、半数に」として街のコメ専門店減少が続いている旨が載っていたが、コメといえば東京穀物商品取引所の5/18のコメ5月限の受渡価格は、今後の端境期を控えコメ現物扱い業者が在庫確保を優先し先物市場での販売を手控える動きが広がったとの事で60キロ当たり17,940円と上場来の最高値を付けた。

そんな動きに先行して先々週の「eワラント」上昇率ランキングでは「コメ・2012年9月のコール4回」がトップとなっていたのを思い出した。個別の上場企業や日経平均等の指数に交じって個別の商品がランキングに出てくるのは一寸違和感さえ感じる光景だが、何でも素早く商品化するこの手の商品ならではと改めて実感する。

さて、このコメワラントについて当欄では「日経平均VI先物」開始の時に一寸触れたことがあったが、現在コール9月4本、プット9月3本、コール10月4本、プット10月3本の品揃え。メーケットメイクだから殆どは取ってくれ、あのパンクしたエルピーダでも破綻前にはけっこう遊ばせてくれたものだ。ところで、本家の商品オプションは今どうなっているのだろう?こんなワラントあたりに商いが集まるようになったらいよいよ世代交代か。


東穀取農産物指数公表中止

昨日は東京穀物商品取引所が、農産物の値動きを総合的に示す「東穀農産物指数」の公表を今月末までで中止するとの発表があった。同所の凋落と共に上場商品の廃止が進み指数の役割が果たせなくなったとの事だがこの公表が開始されたのが2008年、当時の10商品からすれば直近も構成銘柄であるアラビカコーヒーの廃止が決まるなど商品半減ではやむなしだろう。

この指数、東穀取側では「〜世界ではじめての日本仕様の農産物指数で、金融商品の運用機関の方々などに指数を積極的に利用していただくことで、新たな資産運用ニーズに応えるツール云々〜」と謳ってあるが、およそ国内の商品先物で「世界ではじめての〜〜」と謳う類で軌道に乗って成功した例が如何ほどあるだろうか?

この指数も構成状況を見るに近年とてもベンチマークになるような代物ではなかったし、相次ぐ上場商品廃止の経緯からもっと早くに消えていてもおかしくはなかった。しかし指数の類は育て方によっては無限の可能性が広がり活性化の起爆剤に充分成り得るモノだが、この農産物に限らずTOCOMの方でも指数は凋落、もう時遅しかもだがこの辺は他から早急に学ぶ必要があったのはいうまでもないか。


ゴールドの功績

本日の日経紙マネー&インベストメントには「商品先物で分散投資」と出ており、商品を資産運用の一部に組み入れる人も出始めている折その仕組みや注意点などが載っていた。紙面には例として金・ガソリン等やはりTOCOMモノが挙がっていたが、やはり一般へのコモデイティ浸透に貢献したのはここ数年の金の値動きが奏功したのは認めざるを得ないだろう。

この金も証券界などからもネット証券大手中心に過去数社が金関連に参入してきたものの、そのタイミングが早過ぎたのか何れも志なかばで撤退を余技無くされたものだが、今月は楽天が投資資金を金などの貴金属に振り向けることができるサービスを始める等の動きが再度出てきた。

この辺もそうだが一昔前では考えられなかったこんな紙面を割いての商品先物紹介が漸く一般的になってきた裏で、胴元の取引所といえば東穀が解散を視野に最後の足掻きというか根回しが醜い。ただ一方でそんな胴元の最後の大型上場ともいえるコメのワラントなどが新規で出てきているのが現況で、並行してソースだけ抜かれてゆく動きが粛々と進行している。


捨て場

先週末に当欄ではVI先物が開始されたことに触れたが、その末尾ではコメ先物のワラントにも少し触れた。さてこのコメ先物だが、本日の日経紙にコメ先物のデリバリーにおいて大半を福島県産が渡されている旨が書かれていた。

昨年8月の取引開始以降に受け渡された早受け渡し含むコメは東穀取で1,140トン、関西商取は651トンで東穀取では85%が福島県中通り産となっており、今年に入ってからのそれはすべてが福島産という。現在受け渡しには栃木県や千葉県など関東や東北など19銘柄が使えるが、東穀取社長のいう「割安だからだろう」というより単純に「捨て場」になっているのは明白か。

この記事のすぐ上には「福島米の苦境続く」として大惨事となった東日本大震災と福島原発事故からもう一年が経過しようとしているが、依然として風評被害もあって同コメの流通混乱も書かれている。本日の日経MJでは特集で「食の安全は今」としてアンケートが出ていたが、事故以降に商品の購入先を変えたり新たに増やしたりした人は27.9%、首都圏では3割を超えるとも出ておりまだまだ「捨て場」も活躍しそうだ。

しかしこんなのが恒常化すると相場の方も安値安定という具合にはならないのだろうか?
ボラがなくなれば妙味が薄くなるし、またはもう既にそうした状況なのかもしれないが、この適用銘柄から外してしまう手もある?か。とは言っても上記のように「風評被害」にナーバスになっている時期にそんな措置では東穀取もこれを助長するのに加担とか叩かれそうな気配もするが、今年の場合来月から福島全域で土壌検査を徹底するようで新米が出回る秋口に注目ということになるか。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

カテゴリー

アーカイブ

2025

12

1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31