56ページ目   商品先物

交渉における温度差

さて【FUTURES PRESS】でも既報の通り、今週は東京穀物商品取引所が東京工業品取引所に経営統合を申し入れた事が明らかになった。このシナリオ自体はもう既に関係者の間ではコンセンサスとなっていたが、今週19日の定例記者会見でも両取引所社長がこの件に言及し経営統合の交渉を進めていることを認めている。

既に消え、または消えゆく商品取引所がしてきたように、東穀もまたJCCH株式を全て手放し矢継ぎ早にその次は自社ビルの本館まで売りに出すなどの動きが著しかったが、近年は業界団体からの突き上げも厳しくこれと並行して屈辱の統合申し入れに至ったという感じか。

ココは崩落の過程でも以前から一貫して自主独立路線を謳っていた経緯があり、この辺の悔しさは記者会見における社長コメントにも見て取れる。この期に及んでも引き継ぐ対象商品については「売買高にかかわらずすべての商品を前提に考えている」とし、また従業員の受け入れに関してもできるだけ多く引き継ぐよう求めるなどとあたかも立場が対等かのように錯覚している。

しかし、農水系のこうした一連の言動しかり、また業界で見れば仮にこの救済?統合となった場合にはTOCOMと関西商品との二拠点となるが、売買シェアが全国4商品取引所で1%にも満たない長年最低であった関西証取が最後に残るあたり、まさに各所の体質を色濃く表している感は否定出来ない。


デフレ下のインフレ資産人気

さて小麦急騰劇がまだ記憶に新しい中、本日の日経紙商品面ではトウモロコシの国際価格が6月末に比べ7割高と高騰している旨が載っていたが、コモディティー系の話題ではここ直近で綿花も140年の歴史で市場最高値を付けた旨もよく見かける。

また何十年ぶりという話題では通貨でも、15日のニューヨーク外国為替市場で豪ドルが物色され、同通貨が1983年12月に変動相場制に移行後では初めて、1豪ドル=1.0005米ドル前後と等価水準に達した。

斯様に国際商品、資源国通貨から新興国等の様々な投資対象が順次煽られているが、この辺は周知の通り何れも新興国からの旺盛な需要に加えて、FRBの金融緩和観測で余った流動性資金がコモディティー群に流れ込んでいるのが原因。

しかし上記の綿花の高騰では、ただでさえ需要が低迷しているアパレル業界などまた厄介な問題の出現だ。こんなデフレが進行する中を過剰流動性だけはインフレ資産の争奪戦となっているが、昨日は中国が2007年12月以来、2年10ヶ月ぶりに0.25%の利上げを発表している。これを受け既にNY金が2週間ぶりの安値に急落、NY原油も80ドル割れと4%以上急落しているが、一旦はリスクマネーの収縮から一服となるのかどうか各銘柄に注目である。


中京石油市場

昨日は連休明けから稼動した大証の「新ジャスダック市場」について触れたが、今週はTOCOMも同じ連休明けから中部大阪の石油市場を引き継ぐ格好で「中京石油市場」を稼動させている。デリバリー形態など従前市場を踏襲するものの、値付けは当然ザラバへと変更になる。

これで所謂ホールセールとリテール両方を補完ということになるが、先の夜間取引延長と併せ今後どれだけ低迷している売買高の底上げが叶うかである。ちなみに当初は従来の31社より増え39社でのスタート、気になる初日はガソリンが264枚、灯油が128枚にとどまり低調なスタートとなった。

ところで、昨日触れた「新ジャスダック市場」を擁する大阪証券取引所といえば、直近ではETFの普及をテコ入れする為に証券会社に奨励金を支給し、個人投資家から徴収する委託手数料の無料化を支援する制度を導入すると報じられている。はて、一方で商品取引所はどうだろう?

売買高低迷がいわれて久しい折に取引員各社は、それこそ証券各社とは逆に長年ほぼ横這いであった手数料の値上げ改定に動いたのは記憶に新しい。これの起因となっていた一部にはTOCOMの定率会費引き上げという問題があったが、定率会費値上げ分の吸収が企業努力で賄える環境には既に無く、その取引所新システム対応でも多額の資金を割かれている状況にあっては取引員側としても営利法人上選択の余地も無かったのだろう。

そんなワケで取引員も一概に責められないが、取引所の立場としては短期的な収益効果を求めて定率会費値上げを強行する愚行よりもっと先を見据え上記のような行動の一つも起こせないものであろうか? 株式上場を視野に入れた焦りもあるだろうが、今迄新規に打ち出してきた商品の低迷もこうした後押しで軌道に乗せる切っ掛けになった部分があったかもしれないとしばしば思う時がある。


夜間取引の寄与度

さて、TOCOMが連休明け9/21から夜間の取引時間を午前4時まで延長する深夜取引を始めてからちょうど二週間が経過した。

この延長でこれまでより5時間長い午前4時まで取引出来るようになったワケだが、一週間経過後の日経紙にはその売買高が延長時間帯に1日あたり3,000〜8,000枚増えた模様。ちなみに初日では午後11時以降の延長時間帯出来高が夜間全体の22%を占めたというが、狙いである海外投資家やFX投資家層など今後如何ほど誘致出来るだろうか。

当の海外勢の取次ぎで貢献してきた商社系取引員などは順次撤退し、折しもちょうど主力の撤退決定後のタイミングでの船出となったが、取って代わるトップセールスでは何処が手を上げるであろうか。個々ではイベント等形式的には開催したのだろうが、前回もそうであったように今回にしても今ひとつ投資家への啓蒙が周知徹底されていないようにも思える。

一方で証券業界ではPTSが数年前からネット勢の参入が相次ぎ、今年は野村傘下がアローヘッドをも凌ぐスピードを備える最新鋭を稼動させている。こちらの方は従来の補完イメージが強かったものの欧州では大口資金のシフトから日中取引の影も薄くなる規模にまで育ちつつあるが、はてコモディティーの方を考えるにやはり要は主力層の資金、構図の相違はこの辺に起因している。


金との境界線

さて、騰勢が止まらない金は史上初の1,300ドル越え達成など順調に値を飛ばし、週末には史上最高値をまたも更新している。

既に「無国籍通貨」や「代替通貨」などという形容は五年前からこの金に触れる折にタイトル等で使ってきたものだが、近年はより一層それらが切実なものへと変化し、また構造上もETFの普及によって従来のある意味で限定されていた取引がより一層金投資へのアクセスを拡大させたというのも大きな一因だろうか。

このETFも当初こそ日本ではそう商いも集めないだろうと思われていたが、近年では主力のSPDRゴールド・シェアなど始めとして売買代金もなかなか見栄えのするものに育っているのを実感する。

ところでこの金と並行して最近俄かに注目を集めているのが、30年ぶりの高値圏に躍り出ている銀か。この銀も同様に「代替通貨」としてドルやユーロの不安を背景に買われている旨が大手紙でも報じられていたが、米国のマクロ経済指標でも幾つかは改善傾向が見られた事からPGM系含めた景気敏感メタルにも物色の手が広がったという部分もあるだろう。

上記のETFの中でも直近上場の三菱UFJ信託モノなど商いが飛躍的に伸びてきているし、此処へ来てまたぞろ金銀比価論や史上最高値までの伸びしろ云々も出てきてヒートアップする一方であるが、外貨準備として買われるのが金。この辺は冷えた時により実感として解るものである。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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