57ページ目   商品先物

同時高の矛盾

今週は、戦後初のペイオフ発動やら、政府・日銀の6年半ぶりの為替介入やらと久し振りにいろいろな出来事があったが、ここ堅調維持していた金も一段急伸してまた今週に史上最高値を塗り替えることとなった。

昨年の秋ぐらいからこの金も史上最高値を塗り替えるのが頻繁に起こりその都度当欄でも取り上げてきたが、かれこれもう一年もこんな状況を繰り返していると値頃感も麻痺というか感覚も薄れてくるものだが、昨日は国内も海外高に上記の為替介入で円急落という事態も加わりTOCOMではサーキットブレーカーが発動、海外高に円安と目一杯ダブルメットを享受した格好で久々に上がったなという感じだったのではないか。

先週の日経紙クイックサーベイにも調査結果で、「金投資に関心がある」と回答した向きが57%に達していた旨が出ており価格上昇で益々注目の存在だが、ここ近年の史上最高値は金融緩和と共に目立ってきた現象で、昨今のファイナンス合戦よろしく通貨価値の希薄化に繋がる線からオルタナティブで金に矛先が向かっている部分もあるが、そもそも金融緩和の背景がデフレということ自体は金が物色されない材料。

こんな反教科書的現象は春先に金を取り上げた時にも書いた事だが、構造も複雑化しセンチメントが一致すればこうした現象が頻繁化する昨今、同時に上昇しているPGM系、対主軸通貨で堅調なユーロ、単独介入に因るものながら上記のようにデフレという環境構造下での円安、何れも教科書的には説明が付かない動きの数々だが、センチメントと構造を見抜ける向きには然るべき回帰を睨んでの裁定機会がより増えてきたともいえよう。


空港も市場も

さて当欄で6月に一度触れている通り、シンガポールでは昨日から、金やエネルギー関連品目などを扱うSMX(シンガポールマーカンタイル取引所)が取引開始となっている。

同所は、インド最大の商品取引所を運営するファイナンシャル・テクノロジーズの傘下だが、アジアの主要な金融・商業センターとしてのシンガポール特有の地位を最大限活用しようとする中で、SMX解説は正しい方向への段階の一つとCEOは述べている。

ところで、シンガポールといえば一方でこのSMX始動の前日の30日には、日本政府観光局が羽田空港の10月末の本格国際化を東南アジア諸国の旅行業界に売り込む座談会と商談会をこのシンガポーツにて開催した模様。また、今週月曜付け日経紙夕刊「あすへの話題」にはソウル仁川空港がハブ空港となっている現状で羽田ハブ化を打ち出した今後に注目したいとしているが、この羽田も成田ももう何年も前からハブ空港としての地位確立は悲願とはなっているもののいまだ叶わず。

今のこうした他のアジア諸国の勢いを見るに付け国内商品市場縮小の様子も鑑みると、昨年日経紙にて前に地銀総裁の福井氏が「日本に国際ハブ空港が育たない構図と似ている」とした一文を思い出さざるを得ない。


決算とその先

さて、直近のディスクロを基に「一刀両断」「一目瞭然」など既に更新されているが、金曜日の日経紙商品面にも上場組の出揃った4-6月期決算が載っていた。ここでは三社が黒字に浮上となったものの、先行きの不透明感はやはり拭えない旨が認めてあった。

「商取各社、収益多様化急ぐ」との見出しであったが、このタイトルはもう何年も前から業界紙始め彼方此方で言い尽くされてきたことであり、一部躍進している取引員を除き個別では時間の経過と共に時折出て来る苦肉の策?が都度追加されるといった具合の繰り返しが為されているようにも見えなくはない。

これらポストの株価は既に底練りの程度を過ぎており、一頃は万年低PBRが言われていたが消去法的な散発物色の時期を経て、今ではもうほぼその織り込みが理に適っているのは明らかであろうと思われる。

ここ近年の商品高で商機のみならずその株価も見せ場を作った商社ポストなどを引き合いにすれば本来は何れも相関あって然りなのだが、そんな波に乗り切れないというか一部逆行してしまっている環境は実に歯痒いというか残念なところである。


自立路線も何時まで

昨日は農業の規制緩和を受けて野村ホールディングスが農業ビジネスに参入する旨を書いたが、もう一つ、農政の重点転換から認可を得られる環境が整ったとの判断から東穀取が来春にも農林水産省にコメ先物の上場を再申請する方針を決めた模様との報もあった。

悲願の認可が下りれば72年ぶりの上場となるが、上記の通り農業政策転換でコメの流通価格の変動幅が大きくなる可能性がある為、価格変動リスクを抑えたい生産者や流通業者を市場に呼び込み低迷する売買の底上げを狙うという目論みらしい。

はたしてその来春の環境がどうなっているか想像するのも怖いがそれは兎も角、これに先駆けて先月から研究会を発足させるなどしていたワケだが、最近は業界団体の日本商品先物振興協会などが抜本的な再編策を突き付けるなど他取引所との統合を視野に入れた行動が焦点となる中、依然として粛々と自立路線を貫いているようにしか見えない。

この辺が先に「〜問題は東穀などに見られるように外野には形式的な振る舞いで済ます一方で内側からは一向に〜」とコメントする所以でもあるが、カンパニー制などという中途半端な提唱をする同所の自立路線を何時まで環境が容認してくれるかその成り行きを見たい。


1%の立場

昨日は証取低迷に触れたが、そういえば昨日の日経紙商品面には「商取再編、待ったなし」として、経営難の取引所がいつの日か米国や中国の市場に飲み込まれ、消滅しても不思議ではないとした旨の特集が載っていた。

商取を危惧するこの手の記事は今に始まったことではなく、ここ近年は各紙において同様なものが見受けられるが、問題は東穀などに見られる様に外野には形式的な振る舞いで済ます一方で内側からは一向に自浄?作用の行動を取る気配が見えないところだろうとも感じる。

迷走の上に解散路線を取った中部大阪などもあるが、昨年の5/20付け当欄でその収益形態を「〜不動産収入に依存し仮にポスト割りしたら実質は8000番台の仲間?に入る類ではないか。」とコメントした関西商取などは、やはり同紙にも「実体は不動産賃貸業に近い」と書かれていた。

しかし、国内で見るとこの関西商品取引所は全国4商品取引所の売買高に占める割合が1%にも満たない。また証券も地方証取の株式売買代金を合計してもやはり1%に満たない等の現状を見ると、02年に世界の三分の一のシェアを占めた日本市場のシェアがわずか1%台にまで急低下している状況からして全体をコレに置き換えて考えると可也怖い。個別ではライバル減って玉の輿というウルトラCも選択肢として無いわけではないが、さて・・。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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