57ページ目   商品先物

中部大阪商品取引所解散報道

さて、今週一番気になった話題はやはりFUTURES PRESSカウボーイも既報の通り、「中部大阪商品取引所」が来年1月末をめどに解散する方針を固めたという一部報道であろうか。 これを示唆するかのように奇しくも日経紙商品面では「正念場に立つ 商品取引所」として一昨日からその厳しい現状について書かれていたが、そんな中での解散報道であった。

ところでこの報道に関して当の中部大阪商品取引所は早速プレスリリースをHP上に出してきているが、まあ臨時理事会は来週であるし「そのような内容を決定した事実はありません。」というこのプレスリリース自体はとりたてて騒ぐほどおかしなものではないだろう。
何れにしてもこの辺は3/10付け当欄「報道と企業のポーズ」でコメントしている件の通りか。

閑話休題。中部大阪商品取引所についてはもう何度も触れて来たが、ここ数年をザッと振り返ってみると株式会社化構想、遅きに失した矢継ぎ早な失敗商品の上場廃止、証券取引所とのMOU締結、本部ビル売却や直近では保有するJCCH株式の売却と絵に描いたような一通りの行動であった。またその間には金人気のお零れ狙いで起死回生を賭けた中途半端な金市場の創設などあったものの、このときも当欄では「必要性は?」と疑問を呈していたが、やはり他のパイを奪う単純発想では成功する素地が薄いのである。

大阪商品取引所と合併してから迷走3年、果たして解散する事になるのか否か06年8月の当欄ではこの件について「弱者連合論は未だ他にも最悪なところがあり〜目的が何かがハッキリしていないと全般希薄になってしまう懸念がある」とコメントしていた。
ところで、先週は新生銀行とあおぞら銀行が昨年決めた合併計画の見送りを正式発表したが、市場に追い立てられた消去法的な弱者連合が当初より上手くいかない典型を表したようなこの事例、商品取引所もこれがトリガーとなり一気に再編スピードが速まるのかどうか注目である。


軽油再上場の成否

さて、先週TOCOMで「軽油」が再上場されてから本日でちょうど一週間が経った。連休明けのこのイベントに多少は各紙も触れるのかなとも思ったものの、翌日の日経紙商品面が僅かに小さく報道したのが目に付いた程度で、地味な存在を裏付けるように果たして初日の午前は先限以外の限月が値付かずで、この日の売買高は結局僅かに8枚という寒い結果に終った。

ここで一寸、7年前の上場当時を思い返してみればTOCOMの出し値27,500円から大幅安で寄り一部はストップ安交じりであったものの、初日の出来高は76,000枚超と、当時のガソリンにほぼ並び灯油をも上回り活況であったのを思い出す。
(そういえば蛇足ながら、初日一番に全限に流しで大口の売り物を出したのは、今は無きあのタイコム証券であったなと懐かしい。)

某商社の石油部も積極的に初日からこのクラックをショートに回ったりして其れなりに使ってはいた模様だったが、翌日の出来高は2万枚、その二日後には1万枚を割り込むなどその後の凋落ぶりも激しかったなと。

再上場では、懸案であった脱税を防止する仕組みを作り受け渡し条件を緩和、取引業者をトラック運送会社や小規模の石油販売業者などにも拡大することになったわけだが、実際の現場は先物取引に対する理解がほとんど進捗していないのが現状。 この再上場にあたってTOCOMは売買高の目標を「灯油の三分の二程度」に設定するとしているが、一週間経過した本日の日中取引の出来高は灯油の4,683枚に対して僅かに16枚。

はたして再上場でも同じ轍を踏んでしまうのかどうか、今後を注視したい。


CommodityからCurrency寄りへ

さて、降って湧いたようなG・S追訴の話題で本日は先駆した商品群が急落の憂き目に遭っているものの、週末の日経紙では、「マネー膨張 金・原油に流入」として金融危機後の底値の2倍以上に高騰している模様を取り上げていた。

この金、今迄も要所要所のフシ目を其れなりの材料で突破してきたが、長年そんな材料の一つになって来た例えば教科書通りのドル安とか株安だから金が上がるという構図が昨今は崩れてきている。ドルばかりでなくユーロ建の金価格も最高値を更新し、金利上昇下でも強基調となっている様を景気回復期待感が背景になっていると指摘する大手紙もあったがさてどうだろう?

この解釈については上記のように株価上昇も鑑みて景気回復期待からの上昇という見方と、では何故金利がつかない金からマネーが離れないのかというお決まりの矛盾論が出て来るが、総じて通貨不信、ソブリンリスクの無い物への選好集中ともいえようか。もっと狭義でも新高値の原資産に対し株式市場では別子など未だに1月の年初来高値を抜け切れないでいる様も同様の現象だろうか。

益々コモディティーからカレンシーへの様相が濃くなってきているが、当欄では今から5年ほど前に各国通貨建で上昇している金を「今の時代、発行元がないモノがキーとなって来るか」と書いている。あれから数年経ち、正に今が当時のコメントにより嵌っているような気もする。


人気の分れ目

さて、昨日の日経紙には2009年度の東京証券取引所におけるETFの売買代金が1兆9,534億円と前年度に比べて14.7%減った旨が載っていたが、この減少は4年連続でなかなか取引の裾野が広がっていない模様。

このETFについては度々触れ、最近はその増殖ぶりから先月末に「〜こんなペースからすると今年はETFの品揃えが100銘柄の大台を超えるのはほぼ確実だろう〜」としたが、この時にコメントしたETFセキュリティーズ物は一気に14本の上場であったものの、その売買代金は合計でもたしか1,000万円に満たなかった憶えがある。

その後も時折見ているが銘柄によっては出来申さずの日があったりでなかなかパッとしないものが目立つが、同じコモディティー物でも一方では先週27年ぶりの高値に沸いている金関係ETFなどは活況。金価格連動型はここ数億円の売買代金で推移しているし、SPDRゴールド・シェアなども同様にここ数億円の売買代金で推移しているなど前述の商品とは桁違いである。

同紙によれば米国を中心に海外ではETFの一日の売買代金が平均で7兆円弱に達するという。上記の個別で見れば格差としてはこのくらいのものになるであろうが、金融商品はリクイディティーを確保し活況を呈するものと笛吹けど躍らずなものが実にハッキリしてしまう。ETFに限らずワラントその他もなかなか面白いものだが、リクイディティーが付いて来ないのがなんとも歯痒い感がある。


先物市場も席巻

今週はたしか一昨日だったか日経紙夕刊一面にて、2009年の商品先物取引所別の売買高ランキングで中国・上海先物取引所が前年の6位から一気に首位に躍り出て、前年は1位であったNYMEXをも上回るなど大きく躍進している旨が一面に出ていた。

また、さしずめ日本の東穀取にあたる穀物系を上場する大連商品取引所は昨年同様に2位をキープ、そしてトップに躍り出た上海商品取引所は日本のTOCOMに当たろうかというところだが、さてそのTOCOMは順位を昨年の10位から11位に下げて2000年以降初めてベスト10から転落していたという。

ちなみに同取引所は、平成21年度の取引高が年間で計2,803万2,662枚となり、前年度より24.7%減少したことを今週に発表している。社長曰く、国際的な取引の沈静化の影響が大きかったのが理由としているが、そんな言い訳を尻目に新興国の存在感が一段と増してきた構図である。

目下のところ中国は商いの大半が個人投資家といわれ、その生い立ちが日本と似ているような気もするが、証券市場の方もマル信がつい最近解禁になったばかり。まだ海外マネーの全面解禁とはいかないがバブルを交え?今後の急拡大は想像に難くないか。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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