62ページ目   商品先物

機動性と主導権

本日は異業界の連中と話をしている折にレアメタルの話題が出たのだが、先月末の日経紙夕刊一面でも「レアメタル価格急伸」との見出しで、電子機器やエコカーの生産に欠かせないレアメタル国際価格が相次いで急伸している旨が載っていたのを思い出した。好調を維持する中国の家電消費に加えて、日本で自動車や家電の生産回復を受けて需要が上向いたのが主因との事。

そんな記事が出てから数日後には、同じ日経紙の一面に東証がこのレアメタルに投資するETF第一号の上場を年内にも目指す方針である旨の記事が載った。信託銀行が管理全般を出来るようになるという規則改正からこうした物も実現可能になったわけだが、このレアメタル、当欄でも何度か触れ昨年にはこれ絡みで脱税発覚などというのもあったなと思い出すが、注目度の高い旬モノだけにその機動性は評価出来る。

そういえば5年近く前だったか、NYMEXが時流に乗った商品の機動的な上場を行っている模様を書いた時、せいぜい同レベルな機動性を持ったモノは国内ではワラントくらいしか見当たらずこの辺が今後の課題云々とコメントした事があったが、漸くETF等の一般レベルなステージまでこうした機動的な行動の部分は本当に進化が感じられるようになって来た。

ただ原資産としてはこうしたコモディティーというところが目新しいわけだが、矢継ぎ早な機動性を見せているのは何れも証券系というところがまた考えさせられる部分でもある。


放置期間と大義名分

さて、FUTURES PRESSでも既報の通り、先月末には中部大阪商品取引所が、鶏卵・ゴム・アルミニウム・天然ゴム指数の先物市場を3月以降、順次廃止すると発表している。

この鶏卵といえば、昨年の夏だったか鶏卵市場の活性化を目的とした委員会を設置し初会合が開かれた折には、一日の出来高もゼロで取組が僅か2枚の商品は取引所研究報告書提言であるところの、「流動性が低下し発展が見込めない市場について、ニーズのある新規商品への集約を図る方向でその上場を廃止する」という部分に合致しないのか?と当欄では疑問を呈しておいたが果たしてかなという感じか。

いずれも出来高がピーク時からわずか数%にとどまり、「市場としての役目は終った」と今更ながら判断したらしいが、ともあれこれで残る上場商品はオイルと昨年に上場させた金のみとなる。

小出しにするよりまだマシともいえるが、吸収合併した大阪商品取引所時代の3市場もやっと廃止対象というところで、この辺は東穀取が吸収合併した横浜商品取引所の引継ぎ上場商品も大義名分で一定保有期間?を経た後に廃棄処分へというお約束の構図であるか。

さて、同所は08年に関西商品取引所と共に大証とMOUを締結しており、その具体的な協力の一環として新商品に関する共同研究を開始すると同時に発表しているが、これより先にMOUを交わしているTOCOMなどは既に上場している金と白金に連動型のETFを上場意向と発表しており、この辺は金先物などと同様に二番煎じにならぬ目新しいモノが望まれるところである。


「碍務員」?

さて、今月は常用漢字の見直しを進める文化審議会の漢字小委員会などの報道もあって追加を望む漢字等について、日経紙の春秋欄等でもしばしば記事を見掛ける機会が多かった。特に希望が多い中でも長いこと議論されてきた、「障碍」などと使えるような「碍」等は確かに導入が急務だとも思われる。

ところで、漢字絡みでは先に住友生命保険が毎年の世相を表す「創作四字熟語」20周年を記念し、各年を最も象徴する優秀作品を発表しているが、ちなみに昨年のは千円高速で渋滞した現象に絡んで「遠奔千走」。過去の作品で面白いものには93年の低金利時の「利息三文」や94年の「株式凍死」等があったが、昨今からすれば当時はまだ今より夫々マシであったとなかなか笑えない。

こんな四字熟語ではないが、金融系では昔からある不名誉な創作モノに「害務員」等というのがある。証券業界なんぞは「シキリ」が朝から普通にあった時期でもありこれが多用されたものだが、それでもまだ新発のオイシイCBやら、IPOモノ等のアンコが補填用に割当られていた部分もあり或る程度はアメとムチで蓋をして来れたが、こと商品先物業界には一般的にこうした玉を扱う機会も無かった訳だから、かつてはムチばかりでそのまま「害務員」がイメージとして定着してしまった経緯もあろうか。

まあ、一部には自己のハナ替えでこうした玉も無かったわけではないが公に出来る玉でもなく、こんな末端でも考えてみればプライマリービジネス然りアンコ玉然りでインフラの部分こそ遜色のない時代になったとはいえ、こうした営業では箍をはめられていたというのは否めないか。

そうした意味では現場サイドからいえば「碍務員」だったか?ともあれ選択肢多様化に伴って多少は箍が緩むのか、はたまた融合の名の下にオイシイ部分を持っていかれてしまうだけなのかが注目されるところ。


経営も相場も?

さて、事前予告型という異例措置にもかかわらず会社更生法申請当日も数円のところで厚い買い板が並んでいる様を見るにつけ「腐ってもやはりJAL?」などと妙な感心を覚えたものだがこのJAL、これら申請に伴いリスクヘッジの為に行っている燃料の先物取引について解約を迫られる見通しであると各紙で伝えられている。

主にブレント燃油やシンガポール・ジェット燃油の先物取引ということになるが、これによって現況でJALの支払い義務のうち数百億円(これも日が経つにつれその額がどんどん膨らんでいる)が、債権カットによって取引相手が請求権を失う見通しであるというなんとも後味の悪い強制手仕舞いである。

ちなみにこの先物取引での支払い義務は原油価格高騰時に執行した引かれ玉があってのものだが、もう一つJALといえば記憶にあるのが80年代のドル先物予約だろうか。当時150円以上していたドルであったが10年以上もの先物予約をした結果、長年に亘ってとんでもない相場で機材を購入するハメになったわけだが、こんな案件がよく通ったなと別な意味で感心するが総じて相場モノはボロボロだなと。

知人のJALキャビンアテンダントも相場は上手くはないがまあそれはともかくとして、こうした燃料価格も今後の動向によってはノンヘッジのままでは再建下その影響もさすがに懸念される。この辺のデリバティブ事情も今後どういった形で調整してゆくのか関心が向くところである。


選択肢多様化によるスイッチ

先に野村アセットマネジメントが実施した第五回の「投資信託に対する意識調査」によると貯蓄から投資へという国の方針について、およそ6割が見聞きした事があるとしている一方で、6割近くが投資は必要ないとの考え方を示していた模様だ。

さて、そうした投資は必要ない向きは兎も角として実際に取り組んでいる向きについては、週末の日経紙にて投資信託協会が15日に発表した09年の投信概況が載っていた。それによれば、新興国の株式などに投資するタイプに資金が集まる一方、分散投資でリスクを抑えたバランス型投信への資金流入は急減と、世界的な金融危機で損失を抱えた個人が市場の回復を狙ってリスクの高い商品に資金を移す動きが広がっている模様。

そんな折に週末に報じられたのがFUTURES PRESSでも既報の通り、国内市場の商品に直接投資する初めての投信となるTOCOMの金先物を対象とする投資信託を来月から販売する旨。

同投信が高リスク物にあたるや否やはともかく、日経紙では09年の投信販売額を金融機関別に見れば比較的リスクを取れる顧客を多く抱えた証券会社の販売額が全体の7割を超えているという。さてこの初モノ投信についてはまた後述するとして、現場レベルでも着実にこうして融合ムードが始動してきたなという感があるが、これもスイッチへの序曲となるや否やまた注目である。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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