71ページ目   商品先物

週明けから日経平均が26年ぶりのバブル後最安値更新等と他マーケットのインパクトが凄いのでなかなか商品先物も影が薄いのだが、先週末には中部大阪商品取引所が鉄スクラップ先物の活性化を目的に「鉄スクラップ市場利便向上委員会」なる初会合を開催している。

この銘柄、既に2005年の上場時に当欄では「〜どんな業界にも取引慣習というものがあって、一般に商品が新規上場する際にはこの部分を軽視した為に鳴かず飛ばずという経験を既に東穀や東工取もしている。」としたが果たして見ての通りM・Mで辛うじて生かされている状況、先月にニッケルが上場廃止になった際には「さて次は否が応でも鉄スクラップに対する対応が注目される」ともしたが、既報の通りなにやら試験上場期間が一年延長になった模様。

当業者も存続を求める声があるというので直近の納会を見てみたのだが、今月は平穏納会、と言っても残玉さえ存在しない中受け渡しがゼロ、無駄と思いつつ先月も見たが何処を見ても残玉も無く受け渡しはゼロ、いったいデリバリーがあったのは何時だったのだろう?

こんな調子なのでまた酷いのはこの納会当時の新断バラ価格は約3万円半ば、それに対して75,810円の納会価格のこの乖離がどうだろう、これは先月も同じで新断バラが約4万円半ば当時に納会が74,210円、「ニッケルは潰したのに鉄スクラップは何故延命?」とまるで昨今の米金融機関救済劇を見ているようだが、まあ一部で言われているようにいろいろ諸事情があっての事だろうが結局(鉄)クズだろう。


準国債?

ご存知の通り、週明け6日の国際商品相場は米金融危機の影響から資金流出の動きに拍車が掛かり何れも軒並み崩落、CRB指数もつい先の夏場高値から一気に3割以上も急落した格好になっているがこうなって来るとホンの一握りというか急伸した金が嫌でも目立つ展開。

そういえば過日の日経紙にはリーマンブラザーズ破綻以降は金ETFの売買代金が急増し、例えば大証金価格連動型上場投資信託は9月後半は前半の二倍弱の売買代金に増加したり、SPDRの売買高が9月半ば以降は二倍超に増えている旨の記事を見掛けた。

また別の大手紙ではTOCOMのミニ金も取り上げており、今年夏の設計変更から個人投資家の取り込み狙いが奏功し取引が?爆発的?に増えたとしているがまあこれについてはモノは言い様だなという感も。

兎も角、ほぼ一年前に当欄でも触れた事のある所謂恐怖心指数であるVIXも昨日は初の50台に乗せこれは実に1998年の10月に記録した史上最高値を約10年ぶりに更新とか、まあ確かに信用リスクに過敏になっている今だけにこの部分だけからすれば「安全な資産」と持ち上げられ物色し易い金というのも解らないでもないがなんとも荒涼とした感は否定出来ない。


試金石―TOCOM

本日は、出光興産が既報の通りガソリン等の石油製品の卸値をTOCOM等の製品マーケット価格を指標として週単位で改定する方針に変更することで、毎週木曜に公表(次回からは金曜に変更)という事に則しての第一回目公表日であった。

新日石も同様に今月からこの方式に移行するが石油製品を巡っては、予てより末端には相応のタイムラグが生じ消費側に不信が出ていた事もさることながら、元売り側に取っても交渉難から転嫁が一部しか叶わないという問題がこれで改善の道を辿るかのようにも見えるがさてどうだろうか。

ただでさえ通常の交渉が難航していた給油所の問題があったがやはり今回の件でも「TOCOM市場は価格操作が容易に可能ではないか」等の懐疑心が満載、当の元売りもこれに付いては問題視しており新日石なんぞは特約店の選択方式にするとか、数年前に休止されたままになっている軽油含め市場設計に対する注文も当然出てくるのは想像に難くない。

先ずはこうした件を切っ掛けにリクイディティの復活化なるか、この辺が順調に進んで初めて安易に連呼されている「産業インフラ」というのも現実味を帯びてくるのではないか。


垣根消滅過程での再編

さて、金融混乱から一旦は冷めた投機熱だが一方で商品市場の長期的なファンダメンタルズから再びホットマネーが商品市場に流入する可能性が高いと予てから言われて来たが、NY金が史上最大の上げ幅を演じたり今週は週明けに一部スクイズもあってWTIも史上最大の上げ幅を記録する等、再び国際商品市場がボラタイルな展開となっている。

一方、一連の米金融機関再編劇の過程で事業戦略としても、例えば商品事業を縮小していたバンク・オブ・アメリカはメリルリンチ買収で、また英バークレイズはリーマン・ブラザーズの非中核事業買収で商品先物事業拡大の機会をもたらす可能性が出てきたとロイターの記事で見掛けた。

こうした一連の再編劇で米はとうとう銀行・証券の垣根消滅という賛否両論が出る歴史的な転換点を迎える事になった訳だが、はや年明けから海外拡大を競い合って来たメガバンクも三菱UFJがモルガン・スタンレーに巨額の出資を行う等その国際的な存在感が強まっており、この段階で大きな関心を集めていたゴールドマン・サックスは果たしてかな本命視されていた三井住友が数千億円の出資を決める方向で調整している事が明らかになっている。

そういえばこの三井住友も今年度から商品先物市場を利用したデリバティブ担当グループを独立させ、関連商品の開発を強化していると時事の記事で見掛けたが、いずれも当然の事ながらそのフィールドとなるのは指標性を持った市場、こちらの方も整備促進から再編は必至だろう。


場当たり政策

さて今週は、総取組が約23年ぶりの低水準に喘ぐ東穀取が8日に運営委員会で一般大豆の取引単位を現行の五分の一にすると発表、またトウモロコシについてもミニを新規上場する準備を進めているが、これより先に報道されていた東工取の白金先物のミニ取引も9日には11月上旬に開始する方針を決めている。

地方取引所もミニ導入の動きと何処も彼処もだが、225じゃあるまいしだいたい出来高や取組をこうした見掛け倒しで錯覚させるのはどうかと思うし、その理由が出来高回復を図ると何処も判を押したように公言しているその意図が解らない。

プロ化推進の下に一般の喚起もとの意図もあったミニ金であるが期近のリクイディティ誘致も果たして不発に終り早くも六限月制に移行、考えてもみて欲しいが石油製品に元売りが入ってきたのは市場設計変更でロットが業界標準へ大きくなった事が大きい、そこへまた何処も個人喚起推進とどうも場当たり的な感じがしてならない。

取引所同士もはたしてお上?の都合もあって歩調を合わせていけるのかどうかも疑わしいがぶら下がっているところはもっと深刻、もっともこの辺は本日振興協会が合併要請とか出ていたがまた後述しよう。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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