72ページ目   商品先物

マザーマーケットのミニ

本日10日はTOCOMで白金先物ミニ取引がスタート、このミニ取引としては昨年7月に上場した金先物ミニ取引に次ぐ第二弾となる。

昨年金ミニが上場する際に、「創設目的の一つに期近のリクイディティー向上とあるようにオプション取引よろしく期近から並べているがこれとてまたかという感じ〜」と書いたが先に述べたように期近誘致が不発に終り今回の白金でも六限月制が標準化の道を辿っている。

そんなわけで本日も果たして実質的に参加があったのはご覧の通り先限のみ、とは言っても曲りなりにもTOCOMの白金は取引高においてはマザーマーケットを誇るわけで金と比較して著しく閑散になる事はないか。

さて、こちらは新設なので一寸ニュアンスは異なるが、東穀取では先の大豆ミニ化でそれ以外のリクイディティー低下が顕著になったり設計変更から既存商品出来高の減少を招いているとの時事の記事で見掛けた事があったが、新設より設計見直し等々の論議がまたぞろ出てくるだろう。

また新設モノでPRも力が入ろうというものだが、これまた金先物ミニ取引上場時に懸念した通りの錯覚効果満載の公表はもういい加減辟易してくる頃か。


直接浄化?

昨日は経産省・農水省がCFTC(米商品先物取引委員会)と商品先物市場の監視体制を強化する事で合意したとの報道があったが、経産・農水の両省といえば28日から商品取引所法に基づき日商協に立ち入り検査に入った旨の時事の報道が週末にあった。

この日商協への立ち入り検査は初めてで異例とはいっても、減少しているとされる苦情相談とは逆に両省による一部取引員の旧態依然とした低レベルな違法行為が焙り出され行政処分件数は増加という現状下ではある面致し方無しとも言えるだろう。

今や商品取引所法の改正に向け「不招請勧誘の禁止」導入の是非が活発に議論されている中、この手の自主規制機関に対する立ち入り検査は上記に記した事以外にもやはり徹底した方向性なりが窺えるが、以前より当欄では自主規制機関の存在感なり啓蒙の必要性を謳ってきたがこうした件をテコに切っ掛けを図ってゆくのも一つの技量とはいえまいか。


週明けから日経平均が26年ぶりのバブル後最安値更新等と他マーケットのインパクトが凄いのでなかなか商品先物も影が薄いのだが、先週末には中部大阪商品取引所が鉄スクラップ先物の活性化を目的に「鉄スクラップ市場利便向上委員会」なる初会合を開催している。

この銘柄、既に2005年の上場時に当欄では「〜どんな業界にも取引慣習というものがあって、一般に商品が新規上場する際にはこの部分を軽視した為に鳴かず飛ばずという経験を既に東穀や東工取もしている。」としたが果たして見ての通りM・Mで辛うじて生かされている状況、先月にニッケルが上場廃止になった際には「さて次は否が応でも鉄スクラップに対する対応が注目される」ともしたが、既報の通りなにやら試験上場期間が一年延長になった模様。

当業者も存続を求める声があるというので直近の納会を見てみたのだが、今月は平穏納会、と言っても残玉さえ存在しない中受け渡しがゼロ、無駄と思いつつ先月も見たが何処を見ても残玉も無く受け渡しはゼロ、いったいデリバリーがあったのは何時だったのだろう?

こんな調子なのでまた酷いのはこの納会当時の新断バラ価格は約3万円半ば、それに対して75,810円の納会価格のこの乖離がどうだろう、これは先月も同じで新断バラが約4万円半ば当時に納会が74,210円、「ニッケルは潰したのに鉄スクラップは何故延命?」とまるで昨今の米金融機関救済劇を見ているようだが、まあ一部で言われているようにいろいろ諸事情があっての事だろうが結局(鉄)クズだろう。


準国債?

ご存知の通り、週明け6日の国際商品相場は米金融危機の影響から資金流出の動きに拍車が掛かり何れも軒並み崩落、CRB指数もつい先の夏場高値から一気に3割以上も急落した格好になっているがこうなって来るとホンの一握りというか急伸した金が嫌でも目立つ展開。

そういえば過日の日経紙にはリーマンブラザーズ破綻以降は金ETFの売買代金が急増し、例えば大証金価格連動型上場投資信託は9月後半は前半の二倍弱の売買代金に増加したり、SPDRの売買高が9月半ば以降は二倍超に増えている旨の記事を見掛けた。

また別の大手紙ではTOCOMのミニ金も取り上げており、今年夏の設計変更から個人投資家の取り込み狙いが奏功し取引が?爆発的?に増えたとしているがまあこれについてはモノは言い様だなという感も。

兎も角、ほぼ一年前に当欄でも触れた事のある所謂恐怖心指数であるVIXも昨日は初の50台に乗せこれは実に1998年の10月に記録した史上最高値を約10年ぶりに更新とか、まあ確かに信用リスクに過敏になっている今だけにこの部分だけからすれば「安全な資産」と持ち上げられ物色し易い金というのも解らないでもないがなんとも荒涼とした感は否定出来ない。


試金石―TOCOM

本日は、出光興産が既報の通りガソリン等の石油製品の卸値をTOCOM等の製品マーケット価格を指標として週単位で改定する方針に変更することで、毎週木曜に公表(次回からは金曜に変更)という事に則しての第一回目公表日であった。

新日石も同様に今月からこの方式に移行するが石油製品を巡っては、予てより末端には相応のタイムラグが生じ消費側に不信が出ていた事もさることながら、元売り側に取っても交渉難から転嫁が一部しか叶わないという問題がこれで改善の道を辿るかのようにも見えるがさてどうだろうか。

ただでさえ通常の交渉が難航していた給油所の問題があったがやはり今回の件でも「TOCOM市場は価格操作が容易に可能ではないか」等の懐疑心が満載、当の元売りもこれに付いては問題視しており新日石なんぞは特約店の選択方式にするとか、数年前に休止されたままになっている軽油含め市場設計に対する注文も当然出てくるのは想像に難くない。

先ずはこうした件を切っ掛けにリクイディティの復活化なるか、この辺が順調に進んで初めて安易に連呼されている「産業インフラ」というのも現実味を帯びてくるのではないか。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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