72ページ目   商品先物

保身と犠牲者

週明けの日経平均は全面高の続伸であったが、そんな中でもやはり今年最大の破綻となったアーバンコーポの影響が大きいのか値下がり率上位にはいまだに不動産株がズラリと並ぶ有様、しかしまあ今年は公募普通社債が此処数ヶ月で3件のデフォルトに陥る等どう見ても異常な事態である。

ホンの一年前にはそれこそ絶好調の決算を計上し紙面を賑わせていた気がするが、最近の関係筋の話では先月「銀行が握る魔のスイッチ」とタイトルにしたように容赦無い剥がしや絞り込みは想像を絶するらしい。

さて一方で週末の時事には商品取引受託会員56社の08年3月期決算が出揃い果たしてというか約7割に相当する39社が純損失を計上、国内商品業界の疲弊ぶりが浮き彫りになっている旨の記事が出ていた。

何れも厳しさ真っ只中の業界であるが、失礼ながら真綿で首というよりも酸素供給を一気にストップという様で一部上場企業がバタバタと消えデフォルト続出を目の当たりに見ているとこちらの方が深刻にも見えるが、そんな折だからか上記企業ではとんでもないディスクロ偽装?が波紋を呼んでいる模様、この辺は後述するが商品業界においてもこうした負の部分が波及しない事を願うばかりである。


撤退理由

本日のTOCOM市場はメタル系がザラバで全限ストップ安と全面安、中でも金はフシ目の850ドルもスンナリ割ってTOCOMではストップ安のまま大引ける事となった。

金といえば東西のETFも一様に急落していたが思えば大証の方が先行上場してからはや一年が経過、その売買代金は昨年8月の1億1,686万円から今月は4億2,406万円と順調に伸びている模様。

ところで東証の方も上場から一ヶ月が経過しているが一日あたりの売買代金で東証が大証を上回ったのが7/17のみであとは大証の方がリードしているらしい、ただ一般に売買代金のみで見てしまえば実に規模の小さい争い?で今後は証券会社等がコストに目を瞑ってどの程度本腰入れるかが鍵か。

先に商品先物の受託業務を今月で廃止する事を発表したマネックス証券などはその撤退理由について「金ETFなど商品と連動する金融商品が登場して来た事で、今後はそれらの方が商品先物より活発になると見て打ち切り決定した。」としているが、東証側も来月から一気に投資単位を小口化する方針、急落相場は逆風ながらもう暫く行方に注目か。


上場は焦眉の急?

さて、今週の業界系の話題ではTOCOMが29日に開いた臨時総会で、会員商品取引所から株式会社商品取引所への組織変更を決め12/1に株式会社化するのを決定した事か。

数年前から出てはいた話題だが、生き残りを賭ける上でのシステム投資等の必須項目に対する資金需要は旺盛、一方で昨今の取組減少は周知の事実でこれではファイナンス事情から商品取引所から先陣を切ってこれに踏み切るのも自然な構図か。

さてその役員人事は福井日銀総裁が社外取締役に就任したことが話題になっていたが、先の理事会の時に発表されている通り他に非常勤取締役には識者がズラリ、取引員からは一人という寂しさだがまあ枠が仕上がるまではこれも当然なところか。

興味深い割当だが移行前日の資産評価額を基に先ず加入調整金を納めている受託会員に金額相当分株式を割当、その後全ての会員に出資口数に応じた株式を配分する模様だが、もう一つ噂されているのは上場論が出ている東京証券取引所を巡って商取程ではないにしろ金融市場の混乱で経営状況が厳しくなっている会員が取引所上場を好機と捉えて廃業のタイミングを計っているとの話がよく聞かれる。

それもその筈、上場の蓋を開けて見なければ解らないものの参考価格では数十倍の含み益とか、TOCOMも向こう数年で上場意向とかだがさてその時に証券界同様のこんな話が出るや否やその時の環境は如何に。


時価

本日は石油連盟の定例記者会見にて、5月に交代したばかりの会長がガソリン等の卸値について、出光も10月頃からマーケット連動型にしていきたいとの方針を示している。

この卸値のコスト積上げ型から市場連動型への変更案については先週末だったか日経紙夕刊の一面に先に新日石が変更する旨の記事が大きく出ていたが、TOCOMでもEFP絡みの商いが出て来る等その商いの幅も徐々に活発化してきている模様。

これらの件については既に出光がTOCOMへの市場会員資格取得申請をしていた段階で、国内需要減退から対応が外へと動いている折、国内はマーケットに則しリスクヘッジという事になるかという旨を書いた事があったが、前にタイトルで挙げたリストラの一環は粛々と進み今後こうした事で末端ユーザーも相場が身近になるか。

何れにしてもこうした大手が先導し他もそれに倣えという動きになるのは明白だろう。


投資信託に非ずのETF

さて本日は日経紙にも全面広告が出ていた通り大証に続き予てから予定されていた金価格連動型上場投資信託(ETF)が東京証券取引所に上場の運びとなった。

注目の寄付きは9,690円の基準価格に対して9,790円、引けは9,730円となっていた。

大証の金ETFのようにリンク債を絡めたものではなく東証の金ETFはステートストリート社設定の「SPDRゴールド・シェア」の重複上場、既にこの重複上場では一昨年にシンガポールに上場の件を書いた記憶があるが日本はそこから約2年遅れてやっと登場した恰好だ。

さてカバーの場としての先物市場に期待が寄せられているがこの辺は3月に当欄で「ヘッジニーズを視野に入れるなら今後は建玉制限等々柔軟に対応してゆかねばならないだろう」としたが、果たしてTOCOMはこのカバーの場としてヘッジ玉の対象にすると先週発表。

まあ、こうして国内では金の裏付けがあるといっても現物交換は出来ないものの、はたして今後マザーとして主導権を握れるか、それ以前に目先国内では大証のそれとの主導権変遷に興味が湧くところ。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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