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サヤ寄せ中

本日も株式市場は続伸となっていたが、なかでも東証値上がり率ベスト10ではソントン食品が昨日に続いての連日のストップ高で一際目立つ。昨日触れたFXプライムはTOBであったがこのソントンの場合は先週末に経営陣によるMBOで非上場化すると発表、買い付け総額は約156億円でその1株1,000円の買い付け価格に本日も鞘寄せする動きとなっている。

ところでこのMBOといえばかつて上場していたCCCがMBOを実施してほぼ1年が経過した。あれから同社は業務提携していたカカクコム株の大半を3年足らずで売却したが、この辺もMBOに伴う借入金返済を前倒しで目指すという同社の資金捻出の一環だろうか。

市場から名が消えるのと引き換えにMBOすることによって税金面やら配当やらの部分の負担は大きく減少するが、上場時とはまた違う舵取りの難しさが求められる。業界でもMBO実施の前例があるが、上場廃止後もその手腕が問われるのには変わりがないだろう。


再編化け

先週8/2からジャスダック市場で連日ストップ高の暴騰を演じていたFXプライムが週明けの本日漸く大幅続伸で値が付いた。つい最近付けた先月末の年初来安値190円から実に9営業日で株価2倍以上となったわけだが、これは周知の通りGMOインターネット傘下のGMOクリックホールディングスが同社を一株410円でTOBするとの発表を受けてそれに鞘寄せして来ていたもの。

しかしこのFXプライムに限らず最近は業界モノの株価倍増の急騰が目に付く。以前から自社株買いやらで突飛高する単発モノはあったが、先月などこの手のTOBとは違うものの、アストマックスが6月下旬にマネックスグループとの業務提携から同グループ傘下の投資顧問買収を発表して以降動きが急変、提携発表前の11,900円から7/19には43,400円までこちら株価は約3.6倍化の大化けを演じている。

以前は業界モノでも、某投資顧問が介入とかストックオプション等内部事情が絡んだ噂的な話が一人歩きし株価急騰でもその裏に具体的な政策が見えないものが多かったが、近年は合従連衡というか再編絡みの具体的な動きで一気に化ける可能性のある素地が作られつつあったという事だろう。ところで今回のTOBは上場廃止を企図していないとはいえ、上限株数を設定していない状況では事の成り行きによっては上場廃止基準に抵触しないとは限らないわけで今後の行方もまた注目される。


投資家保護と規制緩和

さて、今週目に留まった報としては日経紙金融面などでも載っていたが、東証など全国の証券取引所が「証拠金規制 年内にも緩和」として、信用取引売買当日の再利用解禁の旨がある。周知の通りマル信では受け渡し日迄は次の売買を同一証拠金内で出来なかったが、9月をメドにこの部分の契約規約を変更する規制緩和によって再利用を可能にするという。

ところでこのマル信の規制緩和で先ず思い浮かぶのが、やはり松井証券の「即時決済取引」か。これは当欄でも約一年前に触れたもので店内発注を立会外のJ-NET当日取引として取次ぎというものだったが、そのエッセンスをパクって早くも何処の証券会社でもこれが可能になる。

しかし、斯様にこの手の古くからの街金の即金サービスが堂々と一般の証券会社でやれるようになり、そこから一年で取引所側も契約規約変更の規制緩和でこれが可能になるとは時代の変化を感じる。ただ本来であれば街金や一企業が先駆けて手掛けたものを模倣するのでなく、当初より取引所側が率先してこの手のものを投資家に提供すべきであると思う。

ただもうひとつ一方で、他人の模倣でもやらないよりマシとはいえ売買の薄さに悩む各取引所や証券会社の最近の傾向はなにかこうリスク選好を煽っている感も強い。腕に覚えのある向きにはより機動的で便利な市場にまた進化したと思うが、初心者マークのなかにはこれらに則したテクが追いつく前に中毒性に嵌りヤラレてしまう向きもあろう。「投資家保護」とある部分で対の「規制緩和」、金融庁はこの辺の舵取りの按配が今後問われよう。


新種活況の閉塞感

本日も日経平均は欧州債務問題が重く圧し掛かり、買い材料が皆無のなかをもう年初来安値が指呼の間となってきた大幅続落となっていたが、こんな地合いになるとにわかに活況になるのがやはりVIX系か。本日はこのETFなど朝方から大幅高で始まり、その商いも昨日のほぼ倍増となっていた。

この辺は出来高変化ランキングなどでも挙がって来るので目に付いたが、これに限らず昨日や本日のランキングには個別に交じってNEXTシリーズのレバレッジ型やインバース型など今年の春先に登場したばかりの新種?のETFが顔を出していた。

個別でカラを売ったりオプション系に手を出すまで行かずともそれに比べてはるかに小額資金で遊べる?手軽さが資金を引きつけているのか否かだがコモディティ系の新種が一巡した今、今後更にリクイディティに厚みが増してくるのかどうか投資家層の広がりと併せてこの辺が今後注目されるところである。


毎度の新株価格割れ

本日も株式市場は冴えない展開で6/8以来の8,500円割れの引け。ここ直近はフィナンス物含め個人の手垢が付いた銘柄の下げが加速してきているが、ファイナンスといえば本日の日経紙にはANA株式が公募増資で発行する新株の価格を割り込み、データの残る1980年以降では連日で最安値を更新している旨が出ていた。

公募増資で発行する新株の価格を割り込んでいるといえば、ちょうど一週間前の当欄で挙げた川崎汽船も同価格を大きく割り込み本日も年初来安値更新となっているが、取り巻く環境も世界的景気減速懸念等でキツく増資分は単にオンされたというところだろうか。むしろ上記のANAは昨今の規制効果?もあって増資後の株価下落は限定的で需要喚起の為にディスカウント率が高水準になったとの指摘も出ている。

しかし、同紙の末尾には「市場では増資の必要性に疑問を抱く投資家も多いとの声もある」と締めてあったが、確かにちょうど同じ頃にファイナンス発表した前出の川崎汽船とは台所事情も違い、こんなケースが久し振りに出ると2年前に「禍根を残すファイナンス」と題して触れた我も我ものフィナンスが思い出されるものだ。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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