115ページ目   株式

阿鼻叫喚

週末には「歴史に残る異常値」として末尾に「阪神大震災やリーマンショック時よりも一気に直撃された分、今後表面化して来る影響が懸念されるところ。」としたが、果たしてネット系証券では目下オプション取引を中心とした?足?が続々と問題化している。先週発表しているところでは、松井証券が35億円の貸倒損失を計上、カブドットコム証券は39億円、マネックス証券は13億円の未収が発生している。また業界ではデリバティブに特化していたひまわり証券が早々にこの分野からの撤退を表明した。

証券各社もここから未収の回収で大変だろうが今回は投資家も地獄、なにしろ玉詰といっても受入証拠金範囲でのロスカットしか出来ないので、それをはるかに上回るプレミアムの暴騰ではロスカットもいたちごっこである。それこそ必要証拠金の10倍くらい一挙に入金して見合う具合で、殆どの投資家はもともとの証拠金使用率がこれ以上なワケだから受入がロスカット予定以下の口座のケースでは、脱出したくても刻々と値洗いマイナスが拡大してゆくのを何も出来ずに見ているしかないまさに阿鼻叫喚の状態であったと思う。

損失といえば、日曜日の日経紙にも今回の円暴騰でFX取引でもロスカットが続出し、わずか5分間で60万円の損失を被ったという話が載っていたが、オプションは週末にも書いたように最悪の場面に当たってしまったケースでは、たったピンでも4万円そこそこの証拠金でも1分間で100万円以上の損失も出せるのであり、それからすれば5分間で60万円程度の損失などまだまだかわいい?ものだ。

連休明けも東証と大証は揃って不測の事態が起こらない限り取引継続しているが、斯様にマーケットの事故も未曾有の事態となりつつあり、やはり各社としての対応は事実上取引停止に近いものとなる。既にオプションのショートに関しては建玉上限を数百枚からゼロとし、先物では従来の半減、またSPAN証拠金に対する掛け目は既に震災後アップさせていたが、これも更にアップさせるなどの措置が各社続々と取られている。

FXなど協調介入で相場急回復となったが、ロスカット後では時遅し。オプションも残存日数を考えればここからが面白い場面なのだが、上記のような措置でリカバーのチャンスまで暫くおあずけとなんとも厳しい終戦処理である。


歴史に残る異常値

さて、本日で東日本巨大地震からちょうど一週間が経過したが、あらゆるシーンにおいて今回の件は歴史に刻まれよう。この辺はマーケットにおいても当然そうであり、1995年4月に付けた史上最高値を一気に16年ぶりに更新した円相場も、株式市場でも昼に立て続けに2度もサーキトブレーカーが発動となった事態もまた然りであろう。

株式市場といえば、数ある前代未聞の事態でも今回のオプション市場の狂乱も間違いなく歴史に残ろう。事件?が起きたのが週初めのイブニングセッション、通常であればアウトものの4月物の7,000円プットは序盤以降から値を飛ばし午後8:43に105円を付けていたが、その1分後には踏み?が殺到し、なんと1,340円まで暴騰、あと踏んだら終いでその3分後にはたった90円まで今度は暴落、ショートしている向きは4万円ちょっとの証拠金がたった1分間で123万5千円ものマイナスになり、その3分後には逆に1万5千円のプラスになった計算である。

これに近い4月物の7,500円プットも午後8:43分に130円を付けていたが、その1分後にはやはり1,320円まで暴騰、その3分後にはたったの110円まで往って来いの暴落するなど同様な事態が起きた。しかし、行使価格の低い方の高値が高くなるなど何処を取っても理外の理、この暴騰時に合致した7,000円プットの111枚、そして7,500円プットの109枚の出来高に参加した向きは売り方、買い方いずれも忘れられない日となろう。

そんなワケでマーケットもある意味被災した向きが続出、一部証券会社など先物取引からの撤退を早々に表明していたが、斯様にもデリバティブ系は皮肉にも新システムでスピードも変わったところへこの辺の事情も考慮出来ないディスクロをやった官邸の失態と併せて、阪神大震災やリーマンショック時よりも一気に直撃された分、今後表面化して来る影響が懸念されるところ。


スカイツリーで上下?

さて、先の日曜日には建設中の新電波塔「東京スカイツリー」の第一展望台が始めて報道陣に公開されたが、この東京スカイツリー、この時点で609メートルとワイヤ等で支えない自律式電波塔としては世界一の高さを誇っており、更に今月中には目標の634メートルに達する見通しとか。

ところで、この東京スカイツリーの完成によって最も恩恵を受けるであろうとされているのが筆頭株主の東武鉄道だが、その株価の方は先の40年ぶりの公募増資の発表で急落し、本日もまた年初来安値更新となっている。増資に因る希薄化が約2割とするとほぼこの辺で一旦は一息つきそうなものだが、それにしてももともとPBRも同業に比べて割高であったので格好の売り対象にされてしまったようだ。

このファイナンスだが、昨日には新株発行価格が1株346円に決まったと発表している。当初は資金調達額が最大で932億円などとしていたが、株価下落で720億円となる見通しだ。このファイナンスは銀行借り入れ増を見越しての利払い負担抑制狙いだが、業績に寄与する効果が見えない為にこの辺が今迄の増資で逆に株価が上がった企業群とは違うところ。

日々東京スカイツリーが上に伸びてゆくのとは対照的に、胴元の株価は連日の安値更新と下に落ちてゆくさまは何とも現実的だが、本日の年初来安値で目先底打ちなるかスカイツリー共々注目される。


アノマリーあれこれ

昨日の日経紙Monday Nikkeiの項では、株価の周期性や割安・小型株効果等と絡めての所謂「株価のクセ」について載っていた。冒頭には米大統領選挙の前年には株価は堅調になり易い例が書いてあったが、確かにこれは長年いわれてきたことである。

この手では日本でも新首相誕生後は株価が上昇し易いとされるが、2000年以降では上昇といっても数日、時が経つほど下落し易いと或る意味誰でも納得できるのでショートするには一つの参考になるだろうか。

他には毎年年末年始あたりに書いている「干支と株価」、今年も年初に書いたが「卯、跳ねる」の平均騰落率は戦後で3位、そして次に続くのが十二支中で最強パフォーマンスを誇る「辰」ということで安心感があったが、日経紙にも出ていたように月別でもアノマリーがあり勝率、平均騰落率は1月が年間でトップ、日経紙には秋口に下落しがちと書いてあったが、ならばこれら二つのアノマリーから昨年末に仕込みすれば年明けには短期利食い出来る筈という構図だが、なるほど余程変なモノを掴まない限りどれを買っても確かに取れていた。

日経紙でも盲信は危険と書いてあったが、げんを担ぐのも一種の兜町イベント、しかし昔は笛吹きやらいろいろとあったものだが、今や凄まじい早さの高速取引が台頭しサロゲートやアバターよろしく生身の人間がタッチ出来る部分はごくわずかになり、こうしたげん担ぎもだんだんと少なくなったものだとつくづく。


非上場メリット

今日ではや二月も終るが、今月特に目立ったと感じるのはやはり上場企業のMBOの動きであろうか。中旬には紆余曲折あった幻冬舎もMBO成立の運びになったが、今月の新規モノではザッと挙げても、先ず上旬のワインのエノテカから始まってレンタル屋のCCC、引越しのアートコーポレーション、メッキの田中亜鉛鍍金と立て続けであり、今年に入ってからは合計で6社とこれは過去最多のケースではないか?

TOBの対象企業は当然ながら鞘寄せ急騰パターンが殆どで市場では次の候補探しに躍起になっているが、どれが来るか判らぬものより手っ取り早くとM&A助言会社などにも物色の矛先が向かっている。

それはともかくMBOの背景にはいろいろとその理由が考えられるもが、これは以前に業界のユニコムグループホールディングスを取り上げた時に書いた通りで、株価の長期低迷環境の中で資金調達の用と監査法人コスト等を天秤にかけるに無駄な部分も多く、他はやはり一部株主の鬱陶しさ?というのも大きい。まあ、単純に上場メリットよりも非上場メリットの方が大きいからに他ならないということだろう。

こうした動きに関して東証社長などは定例記者会見で「投資家を愚弄している」と苦言を呈していたが、上場承認したのも東証であるしあまり株価云々を持ち出すと薮蛇になりかねない。こうした動きも新陳代謝の一環と思い、IPOの誘致、サポート強化など課題があるのではないか。

そんなワケで、今年最初の当欄では最後に「今年もまたM&AやMBO等で商機ありという流れが個別で続くか」とコメントしたがやはり早くもそういった動きが加速、やはり上記の通り過去最多というのは確定で企業統治など今の構図を考えるに今後も親子上場の問題も加えてこうした動きが止ることはないと思われる。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

カテゴリー

アーカイブ

2024

11

1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30