120ページ目   株式

日本版恐怖心指数

さて、7月末には日経紙マーケット総合面で日経300先物の欄が消え、新たに配当指数先物が入るなどレイアウトが変わった旨を取り上げたことがあったが、先週末から「(日経平均VI)日経平均ボラティリティー・インデックス」の算出・公表が始まったことでこれまでの「IV(インプライド・ボラティリティー)」が消え、替わりに主要指標の欄にこれが新たに入ることとなった。

このIV、オプションに取り組んでいる向きならHVというよりやはり実際のトレードには外せない重要ツールだが、さしずめ米国では「恐怖心指数」ともいわれている「VIX(ボラティリティ・インデックス)」の日本版といったところか。同紙によれば従前のプット・コールの計4銘柄に限定してきたものから、新指数は対象銘柄を広げ限月も1限月から2限月に増やし制度の高い変動率の算出が可能になったという。

当のVIX指数は直近ではギリシャ財政問題懸念でもハネ上がったが、リーマンショックの時も安値でうろうろしていた水準からたしか4倍以上にもハネ上がったのが記憶に新しい。しかし指数から先物、そしてオプションが派生し、そのオプションを基に新しい指数が出来、更にはその指数のオプションまで米国では取引が可能だが、流石デリバティブ先進国である。

さてちょうどそんな折に、国際投信投資顧問がこの「VIX指数」を対象にしたETFを大証に年末頃上場する予定という報があった。同社がETFを設定するのは初めてというが、今後日本もどれだけ創造性をもってデリバティブ先進国に近づくことが出来るか?この辺も気になるところである。


何れに回帰?

本日の株式市場は続伸し、日経平均は実に約5ヶ月ぶりの10,000円台回復となった。今週も引続き各社の決算が続いている。この4-9月期の決算発表では増配や自社株買いに出る企業が目立つが、直近では一昨日のベストブライダルが大幅増配発表、またキッツは自社株買いの発表をしておりそれぞれストップ高や急反発と株価の方もこれらが好感されている。

ところでこれらの背景となっているのは特に顕著になってきたキャッシュフロー、一寸前なら所謂アクティビスト・ファンドがここぞとばかりにターゲットの企業探しに余念が無いだろうが、周知の通りいろいろな事件がありすっかり静かになってしまった。ただ、今日の日経紙の主要指標に見られる通り現状平均配当利回りは2%を越える水準、10年物国債利回りの1%そこそこと比較するにまあ一般論としては割安という評になるか。

FRBが追加の金融緩和に踏み切ってからというもの過剰流動性が商品や新興国など彼方此方に流れ込んでいるのは周知の通りだが、昨日書いたように商品など巻き戻しから一旦のコレクションが入っている。そうした流れで行き場の無い向きの一部が株式市場に流入するという構図も描かれ始めているが、はたしてこの増配機運でインカム狙いか国債利回りに寄せる格好狙いでキャピタル狙いが復活するか、

この辺に絡んでは昨日、日証協会長が定例記者会見で証券優遇税制延長の再考を述べていたが、マネーの流如何に係らずそうしたもの含めた受け皿も睨んでこうした税制面等でもまだまだ考えるべき点が幾つもあるし、こうした機運で会社側も資金采配が再度問われることになってくるか。


納税者収支

さて、米もやはり決算シーズンだが、先週はビッグスリーが出揃っている。中でもGM(ゼネラルモーターズ)とフォード・モーターは、米国事業の黒字急増に加えてドル安も追い風になり、何れも20億ドル弱の純利益を確保しトヨタ自動車をはるか上回るものとなっていた。

さて、このGM(ゼネラルモーターズ)だが、注目の再上場が17日にプライシングが行われ同社株の取引は18日からNYとトロントの証券取引所で開始される見通しとなっている。この株式は楽天証券なども取り扱い開始となる模様だが、目下のところこのIPOは米企業としてはビザと並んで最大級規模の公開となる見通しである。

さて注目の価格は当初でこそ26ドルそこそこといわれていたものだが、直近の評では一株あたり最低30ドルに設定するという話も出てきている。GMへの500億ドルの救済資金で、納税者収支がトントンになるには同社の時価総額が700億ドル程度必要といわれているが、そんなことからますますこのIPO価格のレンジ変化が気になるところ。

ところで再上場狙いといえばこのGMに対しさしずめ国内では日航か。直近では希望退職者が目標にはるか届かず遂には整理解雇を決定したが、労組の反発は必至なことからこのままスンナリ事は運ばない筈で再建計画にも影響は必至。こちらは果たしてはれの再上場を見る事が出来るや否や。


二度目の時間短縮

さて、東証取締役会の諮問機関「市場運営委員会」が本日10日に開かれ、複数の市場活性化策の提示の中でも取引時間の延長案は、昼休みを撤廃せず30分短縮することで決着する見通しとなった模様。

先に「昼休み廃止論」として当欄でも採り上げた事はあったが、結局この廃止案は見送り時間短縮で妥協を図るということになるか。この時間短縮という手段は今回が初めてではないが夜間と違って個人など動くかどうか微妙で、ちなみに20年近く前の30分短縮においては売買高の増加はみられなかった。そんなワケでこの妥協策で売買は増えるや否やだが、証券関係者のランチ時間が短くなるだけのような気がしないでもない。

ところでこの東証、今週は「日本無線」をTOBする「日清紡HD」関連の「アロカ」を「日立メディコ」がTOBする事が明らかにされ、昨日は「コンビ」が取締役会でMBOを決定と依然として撤退企業が後を絶たない。先の2010年4-9月期決算も前年同期比で減収減益であったと発表しているが、3年連続の減収減益で上場審査に懸念があるため10年度内の株式上場を断念する考えを既に明らかにしている。

これら含めた逆風の中で売買高増加が焦眉の急、少しでも売買機会の増加を狙い会員負担も短縮なら全廃よりも少なくて済むと気遣いを感じないでもないが、何れにしても会員へのコスト負担が掛かってくるのには変わりがない。当の会員もプライマリービジネスで一気に捲れる大手以外は前にも書いたように此処の上場に賭けている向きも多く、投資負担もこれで限界という向きも多い筈。幾つもの市場が単独で各々システム政策を敷くなどの光景は証券や商品など何処でも同じだなとつくづく。


何処まで暴けるか

さて、週末の日経紙経済面には「公募増資企業、株価に不信な動き」として、東京証券取引所と証券取引等監視委員会が、インサイダー取引に基づいた不正な取引が実施されているかどうか国内外のヘッジファンド等について調査を進めていることを明らかにしている。

当欄では7月に国際帝石の巨額増資で株価が急落した際、「〜確信犯的なショートが直近で入っているあたりがなんとも怪しい」とコメントしておいたが、この銘柄以外にも今まで怪しいものについては殆どその都度触れてきたつもりである。

こと今迄規模の大きな、例えば225採用銘柄などは当然リクイディティーも申し分なく魑魅魍魎の筋が紛れ込むのにはうってつけの素材である。出来高一つ取っても露骨な事例が存在するのに当局が思い腰を上げずに何時の間にか風化してしまうのが長年疑問であったが、
はたして今回の調査で何処まで暴けるのか注目。

斯様に公にされる摘発では雑魚しか挙がって来なかった裏には政治的な事情があるのか、はたまたその沿革から前例踏襲主義の産物で財源の問題がネックになっているのかその辺は定かでないが、今回の件でも従前通り雑魚挙げ程度でお茶を濁す程度に止まったらこうした部分でも国際標準の道はまた遠のくということになる。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

カテゴリー

アーカイブ

2024

11

1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30