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rightsissue 創成期

さて、昨日の日経紙一面トップには金融庁が企業が既存の株主に新株を購入する権利を渡す新型の増資手法の規制を大幅に緩和する方針と出ていた。この件の対象になるのは「ライツ・イシュー」、既存の株主に新株予約権を無償で付与、増資に応じる向きは権利行使し現金を会社側に払い込み新株を得る。反対に応じたくない向きは予約権を売却し現金を得て権利落ちのカバーが出来るという構図。

このライツ・イシュー、かつてはみずほFGなどでこれに絡んだ思惑が出て昨年の5月にはこの辺に一度触れた事があったが、実際の実施例としてはちょうどこれを取り上げた時期のタカラレーベンの一件。この実施に関してはオーナーやその関連などの安定株主が約半数な為ある程度纏まった権利行使が予想されていたものの、蓋を開けてみたら約95%と予想以上?の転換比率となったのが一寸した話題になった経緯がある。

さて今回の緩和策ではディスクロルールをネットでも可能にしたり、新株予約権の証券会社による買い取り規制の緩和などを盛り込んでいるが、この証券会社に関してタカラレーベンの場合は所謂ノンコミットメント型であった。このタイプは今後どの程度の割合になるか判らないが、相対で増資決定可能というのも問題がないわけではない。

斯様にまだまだリクイディティーが限定的という問題や、引き受け等の課題もあるが、これらがどんどん台頭し、先の公募増資前のカラ売り規制など整備されればいよいよかつて横行した「公募増資利用型手法」などというお手軽裁定も自ずと今後は消えるのだろうなとふと思う。


未公開株の公開

本日のビッグイベントといえばやはりあの大塚製薬の上場であっただろうか? 4月に上場した第一生命保険に次ぐ時価総額や市場からの吸収金額共に、先のポーラに続く知名度抜群企業の大型上場であるが、その注目の初値は公開価格2,100円に対して70円上回る2,170円で寄った。

700万株近くの買いもので気配切り上げのスタートとなっていたが、セカンダリーの催促なのか大口売りが出て10分程度で寄りあとザラバ2,200円超と堅調、グレーマーケットでもそんなに派手な話題は無く初値が市場予想よりも下鞘であったのも予想範疇だが、同社関連の地銀など価格リンク思惑で物色の色が感じられたり、グループ製薬会社の行動にも思惑が募る。

また、先の第一生命保険も下落時にはバイアスの掛かったリポートに恨み節も出たものだが、今回は各社どう出てくるか。ともあれこれを基準として年末相場を盛り上げることが出来るかどうかが今後注目される。

ところで同社といえば、ザッと挙げても家庭薬の「オロナイン軟膏」、食品では「オロナミンC」、「ポカリスエット」、「カロリーメイト」、「ボンカレー」等々というまでもなく上記の通り知名度は抜群、それが逆に利用されて一頃は傘下の未公開株式がいろいろなマーケット?で悪用されその仕入れ価格?も他社の群を抜いていたものだ。本日初めて公正な価格を見た今、その思いもまた人夫々だろうか。


呼び水効果とモラル

東証REIT指数は週明けも大幅続伸、1,000の大台を突破したはつい先日であったが早くも本日は1,100超えとまたも台替わりの動きとなっている。例年アノマリーでも年末はREITの物色がよくいわれるところだが、今年は更に周知の通り日銀が10月に決めた追加金融緩和を受けて、社債等と並んで資金流入が加速している。

何でも先駆けというのはあるが、つい先週当欄でJASDAQ-TOP20ETFを取り上げた通りでやはりこれもこのパターン。ただこちらの場合は相手が日銀で今月からいよいよ始動とのこともあって、当のREITばかりでなくそれら関連の銘柄も明らかにこれを意識してこのところ急騰しているものが多い。

最近では当の受託信託にまで物色の波が押し寄せてきている模様で、日銀側としてはこの活況を鑑み所謂「呼び水効果」が出始めたなどとしているが、実際例えば選定に始まり手数料等従前通りなのだろうか?次はETFという流れになろうが、双方共に公正さというか透明性を持たせなければ後々にまたモラルハザード等の問題も出て来るのは想像に難くない。


企業政策とファンド思惑

本日の日経平均は後場からジリ高へ転じたが、新興市場の方は来週にJASDAQ-TOP20指数ファンドの設定が控えていることもあり、朝方から中小型株への物色が活発であった。さてJASDAQといえば、先週は先にMBOの実施を発表した幻冬舎の株式を英領ケイマン諸島に本籍を置く投資ファンド、イザベル・リミテッドが議決権ベースで30.6%取得していた旨が話題になっていた。

同社は現況TOBを実施中であるが、その価格は一株22万円、直近の軌跡では先月末から手当てしていた模様。週末から株価は一服しているものの、曲がりなりにも買い付け価格を挟んで横這いであった水準を上回ってきているだけに予想外の第三者介入には一部で思惑も出ている。

当然その性格からは抜け目ないEXIT狙いというところだろうが、ファンドといえば2部に上場している都築電気にも約四分の一を待つ大株主としてあの高額納税で一躍話題になったタワー投資顧問が直近で登場している。こちらは元々子会社株のTOBに応じず後の株式交換に乗じ、首尾よく安上がりなコストで株式を取得出来たという計算である。

他にも、あの村上ファンドの辣腕組がシンガポールに拠点を置くファンドも一部親子上場組の株式を粛々と買い集めている動きあり、上記ファンド含めこれら昨今の上場企業の傾向を睨んでの動きとも取れるが、何れのパターンも会社の思惑通りに事が運ぶとは限らない例となっており今後も番狂わせ?なケースがまだ出てくる可能性もあるか。


JASDAQ-TOP20

さて、ETFについて直近ではパラジウムETFや新規モノではVIX指数を対象にしたものなどに触れたが、新規モノといえば先週末には「JASDAQ-TOP20ETF」が先月16日の上場承認を経て大証に新規上場の運びとなった。

ご存知の通りJASDAQ-TOP20は、ジャスダックとヘラクレス(旧)の市場統合と共に算出が始まった新指数であるが、果たして初値は基準値1,597円を上回る1,623円で寄ったもののあと売られていたが、本日は全般膠着の中で新高値と順調な滑り出しとなっている。

しかし、やはりモノは新興市場だけに個別で時価総額の小粒な物はそのインパクトが大きい。組成の為に前日までに買い付けの用があるものの、上場承認時の先月16日から例えば「ベクター」は80,000円から152,500円、「ユビキタス」は143,000円から289,000円などそれぞれ株価は一週間そこそこで倍化するなど急騰、まさに新興市場の本領発揮といったところか。

斯様に当のETFが上場する前に目敏い向きは単発で一回転が利いたといったところだが、このETFなど安定してくれば機関投資家などのベンチマークとなる可能性が一段と現実味を帯びて来る。またこうした組成もそうだが他との差別化という意味合いも含め新市場の真価が問われてくるのはこれからだろうか。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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