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権利付き最終日

週明けの本日は配当権利付き最終売買日、これによって明日の日経平均株価の配当落ち分は約86.24円と試算(TOPIXで9.21ポイント)されているが、この落ち分が現況の環境下で妥当か否か一部では減配リスクが懸念される中を、全般ではこの落ち後に改めて資金流入がどの程度あるかが今後の焦点となろうか。

さて今回も高配当モノや定番人気の株主優待モノなどは、やはりツナギが入っている様子が見受けられたが、今年の場合は状況が状況だけに配当落ち後に想定外の変更があってもなんら不思議ではないところが実に微妙、早々に未定を打ち出したところもあるが別な意味で高くついた等となるケースも出るか。

だいたい定時株主総会にしても、毎事業年度の終了後一定の時期に召集しなければならないと会社法では規定しているものの、通例の通り数ヶ月以内に召集されるかどうか今回の震災によって全て予定通り開催されるか否かこちらの方も不透明である。

もう一つ、先週末には市場デリバティブ取引に係る注意として各社重ねての注意喚起が為されている。先週始めに少し触れたが、各社大幅な証拠金引き上げ措置により本日の夕方に実施される値洗い処理によって、既存建玉を保有している向きでも追証が発生する可能性が当然出て来るケースも想定される。各々周知徹底しているだろうが、日中相場のみでイブニングを見なかったゆえに一晩で値洗いが一変していた等の冗談のような話も実際にあったワケで、こんな再来でまた一寸した混乱が生じないのを願うばかりである。


個別も仕手化

さて、週末からデリバティブ市場での異常値のさまに触れてきたが、今回のマーケット直撃では個別でもなかなか普段見られない動きが起きた。復興関連のゼネコン系が買われるのは阪神の時同様であったが、対極にあったのが原発関連で各々好業績や年明け早々に出た個別の好材料を囃して食い付いていただけにガチガチに売られた。

東電も然り、インフラ産業の特異性ということやこれまでのJALや破綻銀行の連想で彼方此方から「国有化説」がやはり実しやかに出たが、当然株価も3日連続のストップ安から1,000円の大台割れは分割等も考慮して実に27年ぶりであった。震災前の相場ではこの時期柄、配当狙いの観点で見直されこれまた食い付きがあっただけに、インカム狙いで買ったつもりがその配当も急遽未定、逆にとんでもない仕手株に化けたパターンか。

毛色の違うところでは、TOBを実施中の銘柄まで異常値が出ている。当欄でも最近触れた、エノテカやCCC、それにアートコーポもTOB価格を下回るなど、合理性云々で説明のつかない株価出現で裁定云々を超越した現象なのだろうと改めて実感。

他にも通常は逃避資金の逃げ込み先になるディフェンシブ物まで全滅したものの、原発復旧の進展状況や大量の外人買いが好感されてほぼ戻るものは戻っているがこの一巡後が正念場、ダメージや今後の影響が未知数なだけに今の復興関連総買いの様相が一段と不気味に映り個別でもまた取組内容が変わってくるのは想像に難くない。


阿鼻叫喚

週末には「歴史に残る異常値」として末尾に「阪神大震災やリーマンショック時よりも一気に直撃された分、今後表面化して来る影響が懸念されるところ。」としたが、果たしてネット系証券では目下オプション取引を中心とした?足?が続々と問題化している。先週発表しているところでは、松井証券が35億円の貸倒損失を計上、カブドットコム証券は39億円、マネックス証券は13億円の未収が発生している。また業界ではデリバティブに特化していたひまわり証券が早々にこの分野からの撤退を表明した。

証券各社もここから未収の回収で大変だろうが今回は投資家も地獄、なにしろ玉詰といっても受入証拠金範囲でのロスカットしか出来ないので、それをはるかに上回るプレミアムの暴騰ではロスカットもいたちごっこである。それこそ必要証拠金の10倍くらい一挙に入金して見合う具合で、殆どの投資家はもともとの証拠金使用率がこれ以上なワケだから受入がロスカット予定以下の口座のケースでは、脱出したくても刻々と値洗いマイナスが拡大してゆくのを何も出来ずに見ているしかないまさに阿鼻叫喚の状態であったと思う。

損失といえば、日曜日の日経紙にも今回の円暴騰でFX取引でもロスカットが続出し、わずか5分間で60万円の損失を被ったという話が載っていたが、オプションは週末にも書いたように最悪の場面に当たってしまったケースでは、たったピンでも4万円そこそこの証拠金でも1分間で100万円以上の損失も出せるのであり、それからすれば5分間で60万円程度の損失などまだまだかわいい?ものだ。

連休明けも東証と大証は揃って不測の事態が起こらない限り取引継続しているが、斯様にマーケットの事故も未曾有の事態となりつつあり、やはり各社としての対応は事実上取引停止に近いものとなる。既にオプションのショートに関しては建玉上限を数百枚からゼロとし、先物では従来の半減、またSPAN証拠金に対する掛け目は既に震災後アップさせていたが、これも更にアップさせるなどの措置が各社続々と取られている。

FXなど協調介入で相場急回復となったが、ロスカット後では時遅し。オプションも残存日数を考えればここからが面白い場面なのだが、上記のような措置でリカバーのチャンスまで暫くおあずけとなんとも厳しい終戦処理である。


歴史に残る異常値

さて、本日で東日本巨大地震からちょうど一週間が経過したが、あらゆるシーンにおいて今回の件は歴史に刻まれよう。この辺はマーケットにおいても当然そうであり、1995年4月に付けた史上最高値を一気に16年ぶりに更新した円相場も、株式市場でも昼に立て続けに2度もサーキトブレーカーが発動となった事態もまた然りであろう。

株式市場といえば、数ある前代未聞の事態でも今回のオプション市場の狂乱も間違いなく歴史に残ろう。事件?が起きたのが週初めのイブニングセッション、通常であればアウトものの4月物の7,000円プットは序盤以降から値を飛ばし午後8:43に105円を付けていたが、その1分後には踏み?が殺到し、なんと1,340円まで暴騰、あと踏んだら終いでその3分後にはたった90円まで今度は暴落、ショートしている向きは4万円ちょっとの証拠金がたった1分間で123万5千円ものマイナスになり、その3分後には逆に1万5千円のプラスになった計算である。

これに近い4月物の7,500円プットも午後8:43分に130円を付けていたが、その1分後にはやはり1,320円まで暴騰、その3分後にはたったの110円まで往って来いの暴落するなど同様な事態が起きた。しかし、行使価格の低い方の高値が高くなるなど何処を取っても理外の理、この暴騰時に合致した7,000円プットの111枚、そして7,500円プットの109枚の出来高に参加した向きは売り方、買い方いずれも忘れられない日となろう。

そんなワケでマーケットもある意味被災した向きが続出、一部証券会社など先物取引からの撤退を早々に表明していたが、斯様にもデリバティブ系は皮肉にも新システムでスピードも変わったところへこの辺の事情も考慮出来ないディスクロをやった官邸の失態と併せて、阪神大震災やリーマンショック時よりも一気に直撃された分、今後表面化して来る影響が懸念されるところ。


スカイツリーで上下?

さて、先の日曜日には建設中の新電波塔「東京スカイツリー」の第一展望台が始めて報道陣に公開されたが、この東京スカイツリー、この時点で609メートルとワイヤ等で支えない自律式電波塔としては世界一の高さを誇っており、更に今月中には目標の634メートルに達する見通しとか。

ところで、この東京スカイツリーの完成によって最も恩恵を受けるであろうとされているのが筆頭株主の東武鉄道だが、その株価の方は先の40年ぶりの公募増資の発表で急落し、本日もまた年初来安値更新となっている。増資に因る希薄化が約2割とするとほぼこの辺で一旦は一息つきそうなものだが、それにしてももともとPBRも同業に比べて割高であったので格好の売り対象にされてしまったようだ。

このファイナンスだが、昨日には新株発行価格が1株346円に決まったと発表している。当初は資金調達額が最大で932億円などとしていたが、株価下落で720億円となる見通しだ。このファイナンスは銀行借り入れ増を見越しての利払い負担抑制狙いだが、業績に寄与する効果が見えない為にこの辺が今迄の増資で逆に株価が上がった企業群とは違うところ。

日々東京スカイツリーが上に伸びてゆくのとは対照的に、胴元の株価は連日の安値更新と下に落ちてゆくさまは何とも現実的だが、本日の年初来安値で目先底打ちなるかスカイツリー共々注目される。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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