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相次ぐ破談

昨日は三井住友銀行に触れたが、この三井といえば昨年の9月には「互いの温度差」として、三井住友FGと大和証が合弁解消へ向かった件を書いたものだが、こうした金融系の破談報道では直近で新生銀行とあおぞら銀行もなにやら縁談に暗雲漂う旨の報道がなされている。もう一つ直近で縁談がマルになって紙面を賑わせていたのが金融系ではないが、キリンとサントリーの経営統合を断念するとした?婚約解消?報道である。

上記の三井住友FGと大和証の時も、三井住友FGが日興の事業を買収した段階で早々に彼らは別れると囁かれていたものだが、この件も統合比率やら透明性やらの前段階であまりにも相違があるその企業風土ゆえ、年末あたりから関係者の間では既に破談状態である旨が囁かれていたが果たしてかなという感じか。

今回のケースではよくある弱者同士とか呑込み型というパターンではなく、共に勝ち組同士の縁談であり、メジャーを睨んでという観点からもケースとして期待されていただけにまたも外資勢との競争力格差拡大が懸念され残念でもある。

さてこれで国内の勝ち組同士の縁談話がもうなくなってしまうのか否かだが、マーケットのパイを鑑みた場合縮小懸念が燻るなかで選択肢として再編は不可欠、何れまた興味のある婚約話が舞い込むかもしれずこの辺に期待したいところ。


形式か実質か

さて、今週ちょっと気になった報道といえば、先にKDDIが発表したCATV最大手のジュピターテレコムの株式買い取りが金商法のTOBルールに抵触する恐れがあるとして、金融庁が調査に入った旨の報道である。

周知の通り上場企業の三分の一超の株式を取得するケースではTOB実施が義務付けられているが、このケースでは対象株式を保有するペーパーカンパニーを買収するという間接取得の形態となる為にこのルールが適用となるか否か、当初から関係筋の間でも意見が割れていたという経緯がある。

当のKDDIとしては子会社の買収であって株式取得行為ではないとしているが、個人的には議決権の絡みなどでも一般株主を飛び越えて支配権の異動が起きるわけでこの辺は如何なものかとも思う部分があるが、さて今後どういった解釈がなされるのか関係省庁の判断が待たれる。

そうそう、この件に関してもう一つあった。当日にKDDIが行ったこの件のディスクロで、この情報開示があってからもなお大引まで取引が継続されたという点。以前のジャクダックなら取り立てて話題にもならなかったが、大証のシステム移行後は取引時間が大証と同じく延長されているにもかかわらず、本件の開示は従前通り15時キッカリに行ってしまったのはウッカリミスとも取れいかにもお粗末である。金融庁が本件で動いている折、東証などもこの辺の監視のあり方が問われるのではないかとも思う。


まだまだ「ざる法」多数

さて、週初の日経紙などをパラパラと捲って見ていたら月曜日の法務欄には、未公表の重要な企業情報を使って株式を売買するインサイダー取引の摘発が相次いでいる旨の記事が大きく出ていたが、摘発で最も多いのはTOB絡みで09年は21事案のうち10事案を占めた模様。

まあ「相場に絶対は無い」などといわれる中で、確実に上がるのはこのTOBで逆に確実に下がるのは破綻とも言えるが、昨今はTOBも急増し10年前の10倍になっているのに加えて破綻から上場廃止になる数も急増しているという背景もあって、素地としてはオイシイこの双方に触れる機会が急増した分だけ好環境?になっている訳だ。

そうそう、インサイダー取引といえば直近では年末にジャスダック上場株を巡って一億円以上もの利益をあげた外資系生保の外務員が居た。余談だが、同外務員の上席にあたる人物と先日会った際にこの話題で盛り上がったのだが、彼は会社でこそ仲間は少なかったものの、ネットワークを駆使した営業で頭角を現していったらしく、これを犯罪までフルに活用し切ったパターンか。

それはさておき、証券取引等監視委員会は起訴された4,500万円の事例とは別に開設した口座で儲けた一億円以上の利益に関しては、所謂「2次情報受領者」扱いになる為に規制対象外から告発を断念した旨がいわれている。フィルターを挟んで抜けるなんとも単純な構図だが、政治資金規正法然りまだまだザル法の課題は多いなと。


夫々のモラル

本日の株式市場は円が強含んだこともあって続落となっていたが、業種別では金融系が弱く年明けからスルスルと上昇してきた銀行株も三井住友F始めとして軟調を余儀なくされていた。

さてこの三井住友F、今週中には公募売り出し価格が決定する見込みということで引き受け筋からの売り物も云われているが、まあ原理としては値決め日よりも下鞘確実なわけで、これをターゲットとしてショートする裁定はもうお約束だろうか。

しかし当欄で昨年、大手一角の連中とプライマリービジネスはやはり旨みがあると書いた事があるが、昨年12月までに証券会社が得た引受手数料は1,500億円以上にも上っているという。年末の日経紙では「黒子役、市場を圧迫」として無謀な増資を進めれば、企業は株価下落のシッペ返しに遭う、それ以上に憂き目をみるのは個人を含む投資家だ。としているが当の本体もロックアップ期間を過ぎた途端に一転して従前とは違ったファイナンス見解を述べ始める等、投資家を欺くような言動にも問題が残る。

こんな時世で受け側も本音では受けたくない?向きのところも少なくないと思うが、そう考えると少しでも値下がりリスクを回避しようとする上記一連の行動も一概に避難するのは何やら酷な気がしないでもないが、そうなるとやはり掟破り的な大型増資を敢行した発行体に矛先が向くのはやはり仕方の無いことなのかもしれない。


国策支援の果て

連休明けの株式市場は後場からジワジワに浮上し、約1年3ヶ月ぶり高値の10,800円台回復となっていた。そんな中でやはり目立ったのはJALのストップ安であったか。

このJALについては昨年当欄でも「〜根本は特殊法人体質からの脱却遅れという部分が一番の問題だろうか」と書いた事があったが、ここ数日の間に会社更生法を活用しながら企業再生支援機構の支援で再建を目指す方向となり、上記の通り市場ではストップ安比例配分の憂き目に遭っている。直近では日本政策投資銀行のつなぎ融資枠が増額される見通しとかで急反発となっていたりしたが、なんとも株価も政党にリンクした動きではないか。

過去幾度となく再建策が論議されてきたが、債務超過問題にしても再生タスクフォースと監査法人を通した決算との数千億円もの内容相違は何処から来るのか今更ながら不思議に思う。帳簿がそうならOBも然りでこの期に及んで年金減額OB同意を渋る向きも居るなどなんとも往生際が悪い、幾つも或る労組などもそうだが機構側の解散というカードの存在を如何ほど認識しているだろう。

まあ昨年と違って株主責任を問う方向に大きく転換してきたのは前進が見られるが、此処でも形振り構わずの大型増資の受け皿組も泣くハメに。確かここは増資直前の株主総会でもこの件は一言も触れない酷さだったなと。次はマイレージ関係に目がゆくが大手紙で報道されているように完全保全の芸当が果たして出来るか、株式じゃないがこちらも一転して大幅減資?よろしくの措置が取られるや否や。

これらに絡んで優待マーケットやら新規225採用や業界関連銘柄の思惑なども次々と出るところだが、ANAと株価が逆転してからはや数年、残存社債の利回りでもそれが鮮明であったもののJALがこんな形になるとは長年に亘る国策支援のツケはやはり大きい。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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