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萎縮から再編

本日の日経紙財務面にはREITの産業ファンド投資法人が三菱商事を引受先に80億円の劣後債を発行する旨が出ていたが、REITによる劣後債発行は初のケースだろうか。

さて、REITといえば不動産証券化協会が先週末に纏めた個人投資家の意識調査結果によると、REITを保有しているとの回答は僅かに6.6%、今後REITに投資する予定が無い向きが60%に達するなど人気の無さが顕著だが、つい数年前にREITを当欄でとり上げた時は累計資産額が一年間で60%増と破竹の勢いで膨張していたのを思えばその凋落ぶりがなんとも酷い。

昨今のREITは組み込まれている不動産資産価値を合せた実質純資産額を時価総額が下回る状況、リーマン破綻で所謂ブルーチップ株が軒並みPBR割れと割安感?が煽られていたのに状況は同じであるが、株式よろしく今のセンチメントはPBRの異常な低下は割安感より破綻懸念を喚起してしまうのが現状である。

こんな状況に危機感を募らせた政府は投資家の信頼回復の為に運用を行う投資法人同士の合併・再編を促す方針を固めた模様だが、これまた企業同様玉石混合なだけにそのオペの成り行きが注目される。


醒めないMAGIC

さて、先週は内定取り消しやら何やらで一頃晒し者になってしまった日本綜合地所がとうとう2,000億以上の負債で破綻の道を辿るハメになってしまったが、こうしたモノが出る一方で先週末の日経紙一面に出ていたようにオリエンタルランドなどは09年3月期の連結決算で純利益が過去最高になった模様である。

もともと同社は昨年から度々上方修正をい繰り返すなど一般とは全く逆の優等生ぶりを見せ付けて来たが、最近の景気後退の中で所謂レジャーの「安近短」傾向が追い風になったと見られている模様である。

まあ上記は額面通りには受け取れないもののTDL周辺については度々当欄で触れて来たが、古くを辿ればバブル崩壊期でもへこまず100年に一度の危機でも最高益とはそれこそMAGIC、考えてみればここ数年に亘ってレンジ内での動きを続けている管理相場のような同社株価には正直つまらなさを感じる事もあったが、まあ外部環境に左右されないというのもやはり特異でもある。

先に25thアニバーサリーに触れた時に「〜シンプルな発想ながら絶え無き仕掛けとその実現にはいつも敬服させられる〜」と書いたが、もう一つの強みはやはりキャストの教育であろうか。この辺は以前に直営ホテルへ宿泊した時にこれは凄いなと敬服した出来事が幾つもあったが、或る面ココの人材教育に似たようなエッセンスを持っていたのが2/5付けで書いたマハラジャであったが、さすがにそのマジックの規模が違った。


右へ倣えと権限拡大

先月末に政府は公的資金を活用して一般企業に資本注入する制度の創設を正式に発表しているが、本日の日経紙一面にはあのエルピーダメモリがこれを活用する検討に入ったと報じられている。

直近でも札幌の老舗である今井丸井がとうとう破綻の憂き目に遭ったが、500億円以上規模の破綻が相次ぐ中、企業申請から資本注入が打倒と判断すれば対象企業が発行する議決権の無い優先株を引き受けるといった格好で支援するとの事だが、通常思い浮かぶ金融機関というか銀行へのそうした措置が一般企業へも枠が拡大されたという事か。

確かに今の米国他を見るとGMだ、シティだ、RBSだと巨額のカネを注ぎ込みもう大金に対しても半ば麻痺状態化しておりこうした気運になり、カラ売り規制や今回もそうなのだろうが何でも他国の真似というのも如何なものだろうか。

だいたい他とは規模こそ違うだろうにしてもそれでも少し纏まれば数兆円単位の話になるだろうし、目下2兆円のバラマキとされているものでも大騒ぎの日本が旨くオペレーションできるのであろうか?

仮にそうなったとしても曲りなりにもというか国が企業に介入という事になると、なにかまた天下りめいたもの含めて穿った見方を敢えてすれば混乱に乗じた官僚の権限拡大狙いとも取れなくもないし、幾つかは利益相反の疑義が掛けられるケースも間違いなく出て来るのが想定されると思う次第。


悲哀こもごも城下町

週明けも続落と冴えない日経平均であったが、中でも売り気配から終日一際下げが目立っていたのが重電の雄、日立であろうか。

それもそのはず先週末の日経紙一面にも報じられていたように09年3月期の業績予想を下方修正し当期損益が7,000億円の赤字になる見込みと発表、これは実に創業以来最悪の水準でこれに伴い7,000人がリストラ対象になる模様だそう。

朝日紙には早速いわゆる日立城下町へ衝撃が走り各々川下への影響が懸念される旨が載っていたが、これは現状愛知県でも先のトヨタショックからトヨタ城下町も末端までが可也の影響を被っている様と同様。

リーマン破綻の後の昨年10月に「〜富裕層だけの問題ではなく今回はこうした件の弊害が何れ一般にまで及ぶのは必至〜」とコメントしたが果たして川下はこうした憂き目に遭っているといえようか。

また財政上も問題有りでこの豊田市では法人市民税が過去に例が無い90%の減収となり還付金も相当額出る模様、こうした主力産業に税収を頼る自治体の影響も計り知れないが、マクロというか全体で法人税がどの程度吹き飛ぶか、さて国の財政もお偉いさん方に知恵を絞ってもらわなければならない。


待てば海路の日和あり?

本日は打合せで銀座界隈に出向く途中でユニクロの前をたまたま通ったのだが、外から見た感じでも相変わらず繁盛している様子であった。

ところでこのユニクロで他の事を思い出したのだが、同社が一昨年にUAEの国営投資会社と買収合戦で火花を散らし結局諦め?たあの高級百貨店「バーニーズ・ニューヨーク」を当の競り落とした国営投資会社が売却を検討しているとの報道があった件。

高級品も落ち込み当の中東も年明け早々に当欄で触れたように厳しい状況に晒されている状況ならではの売却検討であろうが、当然ディスカウントが予測される中でユニクロさん(ファーストリテイリング)が再度食指を伸ばすか否か興味あるところ。

経済混乱が買収を後押し?した例としては先には三菱レーヨンが英国の大手化学メーカーをポンド安から買収に踏み切る例や、キリンが豪州飲料最大手の買収を豪ドル安から仕掛ける例も既に具現化しており、このパターンは年末に日本電産の件に触れた際に書いた「不況であるが故にM&Aやまた人材面においてもチャンスが巡ってくる可能性があり」とした事例になってこようか。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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