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マザーズ指数の大台回復

さて、先月に当欄ではコロナ物色と題し末尾では「〜モデルナのようなバイオものは不動の本命、同社以外でも世界中で100超の企業・機関が躍起になってその開発に取り組んでおり今後も折に触れこの手の報道による局地戦が指数へのカンフル剤となる素地は残っている。」と書いたが、先週の日経夕刊にも最近の株式相場はワクチン開発を巡る話題に左右されているとの一文があった。

そんなワケで、国内ではタカラバイオが先週に年初来高値を更新していたが、同社といえば先週の日経紙企業面に「国産ワクチン開発の黒子」と題し存在感が高まっている旨も載っており、その株価は3月の安値からほぼ2倍に化けている。また彼らが取り組むDNAワクチンでは同社と共にアンジェスも挙がっていたが、こちらは2月の安値から実に6倍以上に大化けしている。

同社の場合タカラバイオより小粒ながら先週はコロナワクチンの臨床試験前倒し報道ではその売買代金が全市場トップとなった事などからマザーズ市場の売買代金が今年1の大商いとなった事に寄与、月替りの本日も同指数は2018年12月以来、約1年半ぶりに1000ポイント大台を回復しているが、相対的に良好な信用評価損率も背景にリスク選好がコロナ禍を餌とし好循環する構図はまだ続こうか。


余りモノに値なし

さて、本日の日経平均は日銀の追加金融緩和策や新型コロナウイルスを巡る外部環境の悪化に一先ず歯止めがかかっている事を支えに急反発となったが、この地合いで全般がカバーで戻りを入れるなか目立っていたのがベア型を除く原油系ETFの弱さでシンプレクスのWTI価格連動型にETFSECのWTI原油や野村のTOCOM原油ダブルブル等々何れも本日は年初来安値に沈んでいた。

このうち野村のTOCOM原油ダブルブルなどは逆に動いた分だけその特性が災いし価格は実に年初来高値から11分の一まで暴落の憂き目に遭っているが、先週末の日経紙マーケット面で「原油ETFに個人群がる」と題して文中に挙がっていた野村の原油インデックス連動型ETFも年初来高値から約7分の一近くまで急落し引けは年初来安値まで一文と迫っている。

同ETFに関してはその値頃感や腐っても多用途の原油?なだけに先行きの反発期待の買いも舞い込み売買高ランキングが東京市場全体でトップに躍り出る場面が先週あったようだが、ロールオーバーするも鞘自体が大幅なコンタンゴなうえ貸借倍率も80倍近くは手垢が付き過ぎている感は否めない。

NYMEXのWTIは「余りモノに値なし」の典型で期近が前代未聞のマイナス圏に沈んだワケだったが、そうなると連想ゲームで貯蔵先保有思惑から先週揃ってストップ高となったのは明治海運や共栄タンカーなどで、特に共栄タンカーなど23日まで3日連続のストップ高と破竹の勢いを演じた。とはいえダブついた原油の為の貸し出し余地が彼らにあるとは考え辛く今後はカラ売りをどの程度誘えるかETF共々投機の土俵に場所が移る事になるか。


IPO受難

さて、今週は週明けまでJASDAQ平均が11連騰、マザーズ指数は6日続伸となるなど疑心暗鬼なマーケットにおいても新興市場の堅調が特に目立っていたが、背景にはこれらの市場に上場を予定していた新規企業が相次いで上場の延期や中止を表明した事で直近IPO銘柄への見直し買いが増加した事も一因という。

この新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受けた相次ぐ上場延期や中止に関しては先の日曜日の日経紙一面にも「新規株式公開急減83件」と題し、2020年3月の上場件数は過去5年平均に比べて3割少ない83件と13年3月以来7年ぶりの低水準となり、今月に至っては東証に上場を予定していた9割の企業が中止するなど04年以降の最高を更新した旨が出ていた。

新型コロナウイルスが資金計画に影響を及ぼした例は他に自社株買いの中止等も出ているが、ベンチャーキャピタル等が未上場企業に出資した後にイグジットとしてIPOに伴う売り出しで資金回収、それを別に再投資という構図が市場を支えていたが先のソフトバンクGのファンド事業損失等を見るにベンチャー投資にブレーキがかかる状況の長期化が危惧される。

斯様な状況になれば上記のサイクルも滞る恐れもあるというものだが、兎にも角にも新型コロナウイルスが一服ないし収束しない限りは投資家へのロードショーもままならず対象各社としては別のファイナンスで活路を見出せるのか否かという感じだが、モメンタムの上昇もいずれにせよこの終息まで望めないというところか。


未曾有の未定

さて3月期決算企業の決算発表スタートといったところだが本日の日経紙投資情報面にも出ている通り、東証は上場企業に対し決算発表の時期が後ずれした場合でも業績予想修正や決算発表日の延期公表等に合せ現時点で把握している情報を可能な範囲で投資家に周知するように求めている。

先に発表延期企業が続々と出て来ている旨を書いていたが、2021年3月期の配当に関してもまた未定とする企業が少なくない事も投資家としては気になるところか。特に高配当モノなど株価下落でもその配当利回りが魅力的水準に映った事で当初は物色する向きもあったものだが、コロナ禍の深刻化と共にリーマン後に準える動きから低迷が恒常化しつつある。

欧州でも「ユーロストックス50配当指数」の先物が急落し、2020年中に支払われる配当を予想して取引する20年12月物が2月末から6割近く下落する異常事態となっている旨が過日の日経紙で書かれていたが、近年は投信やETFでも高配当を絡めたモノが増殖しており斯様にディスクロも手探りの未曾有の投資環境だけに投資家も減配リスク等に身構えておきたいところ。


統治改革の後押し

本日の日経紙マーケット面には「親子上場 逆説の物色」と題して、コーポレートガバナンス改革が求められる中でコロナショックによって株安が進み、親会社が株式を取得し易くなるとの見立て等から親子上場の解消が私募ファンドなど投資家の新しい物色先として浮上している旨が出ていた。

同紙では大和証券がTOPIXに対する株価騰落率の平均値を18年末100として指数化した結果が書いてあったがもう一つ、TOBで親子上場を解消するケースでは2000年4月以降では発表前からその後60営業日でTOPIXに対して子会社が約30%、親会社でも約10%上回るパフォーマンスを上げたという同証券の調査もあり斯様に物色対象として定番化しつつある。

しかしここ10年くらいでも親子上場は確実に減少してきており、そのペースも速くなってきている感が。ちなみに昨年末時点で親会社が上場している上場企業は273社、14年度末のとの比較でも約10%減少している。企業統治改革はもとより親子上場が増加してきた時と今とでは手元資金や金利など背景も一変しており今後も3解消ペースは衰えないだろうか。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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