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不穏なテーマ

さて米市場が独立記念日で休場となり、北朝鮮を巡る懸念が燻る空気のなか本日も気迷いの日経平均を他所眼に個別の材料株が賑わっていた。中でもやはり目立つのは直近で大阪港で女王アリとみられるものが見つかった強い毒を持つ「ヒアリ」関連株か。

環境省から当初発表があった際にいち早く反応し始めたのが二部の殺虫剤会社フマキラー株であったが、実にバブル期の1989年以来約28年ぶりの高値を付け、引き続き本日も続伸して年初来高値を更新している。他にも本日は防虫忌避製品を手掛けるジャスダックのニックスがストップ高まで買われ、名前の似ている一部の白アリ防除のサニックスも急騰して年初来高値を更新とアリ関連株が破竹の勢いである。

日経紙に書いてある通り過去何度も天井として立ちはだかった東証一部時価総額600兆円の壁の前に材料株へと活路を見出すのは自然な流れだが、こんな危険な外来種やら狂気のミサイル発射で石川製作やら細谷化工、豊和工等の防衛関連やらがストップ高交えて急騰する様を眺めるに物色も不穏なテーマ揃いだなと複雑な気分である。


前半戦好調

本日の日経紙マーケット面には「IPO39社 高水準続く」と題して、堅調な新興市場が追い風となって今年の1月から6月に新たに上場企業の仲間入りを果たした国内企業が39社と、ここ10年で最多だった15年の43社、そして昨年の40社に次ぐ多さとなった旨が出ていた。

当欄では5月の中旬にも「中小型偏向」のタイトルで、過去1年間に上場した企業の値動きを示すQUICK IPOインデックスが約10年4ヶ月ぶりの高値を付けるなど指数が高水準になっている旨を取り上げたが、先月も日経紙で今年に入り上場した35社のうち9割強の32社で株価が公開価格を上回っている旨を報じている。

とりわけこうした新興モノは個人の懐具合を測る目安になるが、直近のGameWithもマーケットからの吸収金額が16億円超の案件であったものの初値は公開価格の2.34倍となっており、信用評価損益率の連続改善等この辺に因るところも大きいか。斯様な投資余力の回復で循環物色が今後もうまく回ってゆくかどうか引き続き今月のIPOも注目される。


関連株も大化け

本日の日経平均は再度年初来高値を更新し大幅高に終ったが、こうした東証一部市場への資金流出からマザーズ市場などは逆に6日ぶりに反落となっていた。同ポストの中でもつい昨日に続急伸から年初来高値を更新していたリミックスポイントも本日は一服となっていたが、この株も5月から実に9倍以上になっているから恐るべしな大化けである。

当然乍ら旬な材料の背景なしにこの大化けも有り得ないというものだが、周知の通り同社は子会社がビットコインの取引所を運営する仮想通貨関連銘柄。今月初旬には17年3月末時点で同社株を保有する株主に、1単元あたり10円相当のビットコインを配布するというユニークな株主優待も発表している。

ビットコインの恩恵でココまで暴騰劇を演じてきたが、同社は子会社のビットポイントがちょうど一週間前の当欄でも取り上げていた2015年にリリースされた時価総額2位の仮想通貨イーサリアムも8月から取り扱い開始の予定と報じている。同通貨は一部で取引完了までの時間がビットコインより短く利便性が高いとも言われており今後これらを何所まで織り込んでくるか注目される。


株先30周年

先週末の日経紙マーケット面には、日本で株先物市場が創設されてから9日でちょうど30周年を迎えた旨が載っていた。大阪取引所の前身である大阪証券取引所が1987年6月に日経平均株価と連動し易い「株先50」を導入、翌年9月に登場した日経平均先物がその後の牽引役となりはや30年である。

昨年の日経平均先物の売買高は2076万枚で創設当時の88年から14倍の規模に膨らんだというから飛躍的な伸びだが、思えば実施当初の口座開設制限等の壁は高く当時は街金の取次紛いが一寸した流行りの時期もあったものの、ネット証券の台頭等からこれが各段に低くなったのもこうした伸びに一役買ってきたのは想像に難くない。

斯様にラージと共にミニも相場急変時などヘッジニーズの高さから個人投資家の取り込み等で大きく伸びたとはいえ、デリバティブ全体としては当欄で4月に「デリバティブ市場混戦模様」と題し書いたように売買高ランキングは17位にとどまっている。引き続き世界標準を見据えて監督官庁の壁を見直し、悲願の総合取引所実現が焦眉の急だろうか。


新陳代謝の構図

さて、先週金曜の日経紙一面には「世界の株、時価総額最高」と題し、5月末の世界株の時価総額が76兆ドルとなり、2年ぶりに最高を更新した旨が載っていた。かつての時価総額上位企業であった銀行や資源の顔ぶれは一変し、その牽引役となっているのは米アップルや米アマゾン等のIT企業という。

米アマゾンといえばつい先週には初の株価1,000ドル突破を達成していたが、1997年に上場してから20年で分割等も考慮したその株価は実に約500倍となるなど大化けを果たしている。時価総額もトヨタの3倍近くに膨らんでいるが、日本はそのトヨタが時価総額1位である。

先週末に漸く2万円の大台を回復してきた日経平均だが、上記のトヨタは年初比でマイナスのままで、IT分野で牽引する企業の不在で指数は一桁の上昇率とその出遅れ感は否めないところ。斯様に米市場と相違する環境下でこのトヨタ等のコア系の動意薄は長期資金の流入不足も意味しており、この辺の構図の変化が今後の持続性と絡め焦点となってくるか。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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