69ページ目   株式

売り専続々と

本日の日経平均は小幅ながらも7日続伸し11月16〜25日の7日続伸以来の長期上昇を演じている。そんな状況の裏返しで昨日の東証発表で株の信用売り残は、急ピッチな上昇から一先ず調整が入ると睨んだ個人の信用売り等から5週連続で増加し2009年6月以来、7年半ぶりの水準まで増えた。

ところで信用売りといえば昨日の前場では日本電産とSMCの急落が一際目立っていたが、これは日本電産は米マディ・ウォーターズ・キャピタルが、そしてSMCの方はウェル・インベストメンツ・リサーチが共に業績や会計処理に疑義があるとして空売りを推奨するリポートを出していた事に因るもの。

空売りといえばこの手では米グラウカス・リサーチ・グループの伊藤忠商事の空売りリポートが先駆けであったが、先月発表の4-9純利益は円高の逆風下において総合商社で利益トップを叩き出し、当の株価も当初の下落後は揉み合いを経て順調に上昇を描き今週アタマには年初来高値を更新してきている。

上記のうち日本電産も当日こそ売られたものの引けは小幅安となり翌日にはそれ以上の切り返しを見せているが、伊藤忠の如く空売りファンドに稼ぐ力を証明し担ぎ上げるか否か今後も注目である。


懐疑の中に育つ

本日の日経紙マーケット面では「個人、逆張り姿勢鮮明」と題して、信用取引の売り注文が増えると発生する「逆日歩」が付いた銘柄数が、25日に679銘柄と2009年3月以来7年8ヵ月ぶりの高水準に達し、また信用売り残高も前の週に比べて668億円多い9,323億円と7年ぶりの規模に膨らんでいる旨が載っていた。

逆日歩増加に絡んでは3月決算企業の権利落ち日あたりから言われていたものの、その後も依然高水準が続いている事で配当や優待取を狙うクロスからの特殊要因だけではない事が言われ始めなかなか売り方もコストが高く付く割にはケツが入り辛い状況の露見パターンも多くなっている。

もう一つ信用取引に絡んでは過日回転日数の10日割れが続いている旨が報じられるなど短期志向もいわれていたが、総じてマーケットに対しての疑心暗鬼の表れか。相場は悲観の中で生まれ、懐疑の中で育つというが今後この逆日歩や回転日数等々ショートに傾斜している構図の恒常化に変化が出てくるかどうか注目される。


ななつ星上場

本日は先のLINEに次ぐ売出価格4,160億円という大型IPO案件でもある、九州旅客鉄道がはれて上場の運びとなった。差し引き2,000万株以上の買い気配から始まり、注目の初値は9時半過ぎに公開価格2,600円を19.2%上回る3,100円となり、ほぼこれを高値としてあと若干ダレる展開で引けた。

当欄では7月のLINE上場時に年内のIPOで個人に身近な企業で注目を集めそうな物としてこのJR九州を挙げていたが、この日の売買代金は2,736億円と東証一部全体の約13%を占めただけあって、騰勢を誇っていた直近のIPO銘柄群は換金売りの余波か値を崩すモノが散見されマザーズ指数も4日続落となっていた。

国鉄分割民営化では不採算路線を持つお荷物的な存在でIPOはほかのJR3社に随分と遅れをとってしまった感があるが、こうした上場の瞬間を見るにやはり感慨深いものがある。運輸というカテゴリーで見るより同社は不動産ポストといった見方をした方がよいと思うが、いずれにせよ上記JR3社よろしく長期的に株価が育つのか否か今後が注目されよう。


また一つ市場から

先週の当欄では「さが美」や「雪国まいたけ」とそれらに絡む投資ファンドを一寸取り上げていたが、週末に入ってきたニュースには東証一部上場のアデランスが現経営陣と投資ファンドのインテグラルと組みMBO(経営陣による買収)に踏み切るとの発表があった。

TOBは本日から来月末まで実施されるがそのTOB価格が1株あたり620円と週末の終値480円から29%高の水準という事もあって、週明けのマーケットで株価はTOB価格に鞘寄せする形でストップ高に張り付き、引け後には比例配分狙いから成り行き3,000万株以上の買い物を残している。

さて、アデランスといえばかつてユシロ化学やソトー、ブルドックソース等々でもひと悶着あった米スティール・パートナーズとの対立で09年の委任状争奪戦が記憶に新しいが、同じくMBO提案の経緯がある当のスティール・パートナーズも結局14年までに現物渡し含めたイグジットを完了し撤退している。

そんな経緯を経て株価が今後の経営の足枷にならぬが為のMBOだが、東証一部市場に上場する企業数が年内にも初めて2,000社の大台を超える可能性が高まっているとの観測の裏でこうして冒頭の雪国まいたけ同様に東証一部からまたひとつ銘柄が消えることになる。


フィンテックとかTOBとか

本日の日経紙一面には「通貨と同じ位置づけに」と題して、財務省と金融庁がビットコイン等の仮想通貨を買う時にかかる消費税を2017年春をメドになくす調整に入り、仮想通貨をモノやサービスだけでなく支払い手段として明確に位置づけるという旨が書かれていた。

この報道によって本日の冴えない日経平均の中でもロックオンの急伸を始めとして、セレスやGMOメディア等の仮想通貨・フィンテック関連銘柄が再度動意づく展開となっていたが、5月の仮想通貨取引所を登録制とする改正資金決済法が成立しメガバンクも活路を模索し始めている動きのなか利用者増加へ一段と弾みがついてくるか注目。

一方でズルズルと本日も続落し値下がりランキングに入ってきたモノにさが美があったが、これは争奪戦の結果が結局当初のアスパラントグループに落ち着いた事によるもの。二度のTOB価格引き上げも最後は「拒否理由に同意できないが、しかたがない」とニューホライズンもあっけない幕引きであったが今回も内輪の論理優先だったのかどうか気になるところ。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

カテゴリー

アーカイブ

2025

7

1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31