経済と倫理

さて、2度にわたる停戦交渉も虚しくとうとうロシアは欧州最大の原発まで攻撃する前代未聞の行動に出たが、こうした事を背景に各国の主力大手企業が続々とロシアから離れる動きが加速している。ロシアといえば先ず石油だが、これに絡んでは英BPをはじめシェルもロシア極東で展開しているサハリン2から撤退、また米エクソンもサハリン1からの撤退方針を決めている。

自動車業界も米GMがロシアに輸出停止したのをはじめ、ドイツからはダイムラートラックにBMWやフォルクスワーゲン、英はロールス・ロイスにアストンマーティンやジャガーもロシア事業を停止と続いている。また航空業界も米ボーイングや欧州エアバスがロシアでのサービスを停止、末端消費では米アップルがアイフォーンはじめとした製品の販売停止にナイキやH&M、英バーバリーやイケアも続々とこれに続く。

更にはエンタメからは米ディズニーやワーナーメディア、ソニーピクチャーもロシアで劇場映画の公開を中止し、米ゲーム大手のEAはサッカーなどを題材としたゲームからロシア代表とクラブチームを除外すると発表、金融では米マスターカードやビザにアメックスも決済ネットワークからロシアの複数銀行を排除するなどロシア国民にとっても生活水準の劇的な変化の波が迫る。

サハリン1やサハリン2など言わずもがな巨大プロジェクトであり、またハリウッドにとってもロシアは極めて重要な市場であったが、人権問題で各企業が踏み絵を迫られた中国ビジネスを彷彿させる今回はこの時より待ったなしの状況と言え、いずれも利益優先よりも倫理を優先し事業撤退を英断している。上記のサハリン2には本邦勢も三菱商事や三井物産が出資しているが、エシカル経済の観点から他の進出企業含め今後の在り方が問われる事になるか。


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