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順位激変

昨日の日経紙NEXT1000では中堅上場企業を対象とした2020年4-6月期決算の営業損益改善額ランキングが載っていたが、新型コロナウイルスを背景として所謂巣ごもり消費をうまく取り込んだEC(電子商取)に関るIT関連やゲームなどが上位にランクされ1位に輝いたのは当欄でも巣ごもり消費で何度か取り上げたBASEであった。

当然ながらその株価も3月の700円台から今月に入って11,000円超と既に10倍以上となっておりテンバガーどころではない大化けを演じているが、同じく同紙に出ていた四半期純利益など世界レベルで見てもアリババが前年同期の43位から9位に、前年1660位だったJDドットコムが41位と大躍進となっている。

5月にBASEと共にEC強化として取り上げた米ウォルマートもまた前年の34位から12位と躍進しており、米大手間でも破綻してしまったJCペニーとは明暗を分けることになった。これらの中には明らかに需要の先食いが株価に反映されているモノもあろうが今後も優勝劣敗が進み下剋上が当たり前の構図が展開されてゆくことになるか。


地銀再編思惑

さて周知の通り自民党総裁選が本日午前に告示され3氏が届け出たが、最右翼とされる菅氏の先に行われた出馬会見で地銀の統合合併構想に言及した事を背景とした地銀株の賑わいが今週も継続されている。昨日は福島銀行が先週末のストップ高に続いて週明けも大幅続伸し年初来高値を更新、2日終値の153円から7日ザラバ高値は310円と僅か3営業日で株価が約2倍以上に大化けと破竹の勢いだ。

他にも筑波銀行と島根銀行の両行は週明けに年初来高値を更新し、栃木銀行、大東銀行、千葉興銀なども商いが様変わり。そして「地銀連合構想」を掲げ上記行などの大株主となっているSBIホールディングスも当然ながら物色対象となりこれも昨日に年初来高値を更新してきている。一方で携帯料金引き下げ論者という事で大手携帯各社には改めて警戒色が漂う展開。

地銀株の再編に関してはこの総裁選云々を抜きにしても予てより再編思惑が燻っていた事で、これまで単発モノで突飛高した事はあっても一日天下が殆どであったがさすがに今回は週を跨いでもそれなりの商いで賑わっている。菅氏の有言実行力は折り紙付きと言われるだけに、この地銀再編もいよいよ一気の進展を見せるのかどうか今後に注目したい。


7年8ヵ月のアベノミクス

さて、周知の通り先週末に安倍首相が首相官邸で記者会見し辞任する意向を表明した。1年1政権と揶揄された流れに終わりを告げ、以降7年8ヵ月にわたり安倍一強とよばれる盤石の体制を作り上げた第2次安倍政権であったが前回と同様に病には勝てずあっけない幕引きとなった。

思えば就任してすぐに政府と日銀が異例の共同声明を発表、自ら任命した黒田日銀総裁と共に2%の物価上昇目標を掲げ異次元の金融緩和と財政出動を進めアベノミクスの名のものに経済再生を推進、マーケットも反応し就任時の12年末に1ドル85円台だった円相場は円安の道を辿り15年6月には125円台まで軟化し輸出企業に追い風となった。

また政権発足した12年末は10,000円そこそこであった日経平均であったが、13年9月にはニューヨーク証取で「バイマイアベノミクス!」と声高にスピーチし、その年の東証大納会にも自ら出席し干支に絡む兜町の相場格言を持ち出し、「午の尻下がりなどというジンクスは忘れてください。来年もアベノミクスは買いです!」とこちらでも宣言、途中でアベノリスクなどと揶揄される時期もあったものの結局18年10月には24,000円超えまで上昇しおよそ27年ぶりの高値を付けた。

一方で長期政権下では森友・加計学園問題や桜を見る会問題など世間をザワつかせた弊害も目立った。目下のところ総裁選もその仕組みを巡りいろいろ物議も醸し出しているが、何れにせよ喫緊の課題であるコロナ対策はもとよりそのコロナ禍でほぼ往って来いとなってしまった三本の矢を以て増やした名目GDPの立て直し等々重責が待っているのは想像に難くない。


イナゴアプリ

昨日の日経紙夕刊にはアップルとテスラが株式分割を実施したことで両社の株を購入し易くなった個人の取引が誘発され、両者の売買急増から顧客注文処理が遅延するといったトラブルがネット証券のロビンフッドや同業のTDアメリトレードなどで起きた旨が書いてあった。

ところでこのロビンフッドといえば株式のみならず、先にゴールドと共に注目を集めたシルバーなどETFアイシェアーズ・シルバーの買いが同社のアプリを使った若者中心の個人によって急増した旨も報じられている。他に少額オプション取引も市場を席巻しており、急騰急落の何れも同社で売買を膨らませる投機筋が主導している姿が話題になっている。

所謂国内のマーケットで一頃言われたイナゴの類だが、その内容は兎も角も破壊的な無料攻勢から冒頭のTDアメリトレードを凌ぐその取引量急増でファイナンスも活発化し成長期待からその想定時価総額は100億ドルを超えるという。肥大化に伴う歪で投資家保護等の課題も多いものの、国内最大手のネット証券SBIなどの規模も上回る斯様なフィンテック界のユニコーンの存在はやはりここ何度か書いた日米の違いを再認識させられる。


SDGsに商機

さて、今年の初めに当欄では植物肉パティを使ったハンバーガーをマックがカナダで試験販売した旨を書いた事があったが、世界30ヵ国に5000店を展開している植物ミート専門店のザ・ベジタリアン・ブッチャーが、日本で初めてのプラントベースドミート専門店が併設されンバーガー全てに植物由来のパティを使用したハンバーガーショップを昨日池袋にオープンした。

この植物ミートのハンバーガーといえばモスバーガーも他に先駆けソイパティのハンバーガーメニューを既に展開させ、コンビニではローソンも先月から大豆ミートを使ったカツやメンチのハンバーガーや唐揚げを販売しており、他にフレッシュネスバーガーも10月から植物肉で作るハンバーガーを本格展開する事を決めている。

こうした植物肉の原料となる粒上大豆たんぱくの国内生産量は昨年約3.3トンであったがこの10年間で約50%増という。こうした事を背景に5割の国内シェアを持つ不二製油は植物肉関連事業を拡充する意向で、ネスレ日本も来年は植物肉を日本市場に投入と後発組?ながらその豊富な販路と資本力にモノを言わせ参入してくる。

カロリーは一般的なチーズハンバーガー比で3分の2程度という事で、欧米では健康志向の高まりなどを受けて植物肉人気が先行し株式市場でも関連株が大化けを演じている。SDGsも意識し環境保護の観点からもその注目度が増してきているが、はたして日本でも欧米のように市場拡大が加速するのか否かこの辺は今後も注目される。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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