12ページ目   雑記

最高益更新後の収益モデル

周知のように三井住友FG参加の三井住友カードの「Olive」とソフトバンク系のスマホ決済「PayPay」とが連携しデジタル金融サービスで手を組むことが先週に報じられている。現在のOlive利用者は500万人以上、そしてコード決済でナンバーワンのPayPayの利用者は約6900万人ということだが、ポイント経済圏の覇権争いが激しさを増すなかこの連携で日本最大級のポイント連合が誕生することとなる。

さてメガバンク勢のこうした動きでは他にも今月は既にウェルスナビを完全子会社化している三菱UFJFGがインターネット専業の新しい銀行を来年中に設立する方針も報じられているほか、昨年末にはみずほFGが巨大なポイント経済圏を構築している楽天グループとリテールビジネスを再構築する旨も報じられており、若年層を含めた多くの個人顧客を囲い込むうえで各社共にこれら連携が加速している感がある。

ところでこれら3メガバンクといえば先週には決算も出揃っているが、金利のある世界の復活を追い風として冒頭の三井住友FGはグループとしては初めて最終利益が1兆円を超え、上記の三菱UFJFGは前年比で25%増、またみずほFGも前年比30.4%増とこの3社合計では4兆円に肉薄する規模となりいずれも過去最高を更新してきている。

改めて金利の重要性が再確認されるというものだが、この要の金利引き上げも米の関税政策などによる景気の不透明化で後ろにずれることも予想される。金利に頼らない収益源を視野に入れることを考えるに、今回のような提携は収益モデル転換の選択肢の一つとして挙がろうか。そういった意味で今後ほかの金融機関や決済サービス等でも顧客を囲い込むために新たな提携を模索する動きが活発化してくる可能性もあり注目か。


オルタナティブ資産のオルタナティブ

今月は代表的な暗号資産であるビットコインがニューハンプシャー州やアリゾナ州などが挙って同通貨への投資や準備金使用の州法を成立させた事などを背景に2月上旬以来、約3か月ぶりに10万ドル台を回復してきている。このビットコインといえば今週の日経紙夕刊では「資産価値への好影響に期待」と題し、ビットコインを保有し株価や企業価値を上げようとする上場企業が日本でも次々と登場している旨の記事があった。

ここで挙げられていた上場企業はネクソンやenish、等のゲーム会社はじめ電力小売りのリミックスポイント等であったが、メタプラネットなど五反田でビジネスホテル(先々はビットコインホテルに生まれ変わるとか・・)を運営している企業とは思えないほどのビットコインホルダーである。株価も分割前の一昨年だったか、わずかに10円台という低迷時期からビットコイン高騰を囃しミーム株の如く数十倍に急騰した経緯がある。

斯様にビットコインの大量保有が事業戦略の一環となっている企業の代表格は言わずもがな米ナスダック100指数にも採用されているマイクロストラテジー社で、今年もCB発行による資金調達で買い増しを図り現在では約477億ドルのビットコインを保有している。暗号資産関連では他に暗号資産取引所のコインベースもナスダックに上場しているが、もう一つ、日本の交換業者としては初めてマネックスグループ傘下のコインチェックの持ち株会社も昨年末にナスダック市場に上場を果たしている。

これらの株価はビットコインとの連動性の高さから投資家の多くに代替投資先にもされているが、ビットコインETFも解禁され投資の選択肢も多彩な米に比べこの辺の解禁が遅々として進まぬ日本こそ代替投資先としてこれら関連企業が魅力に映る投資家も少なくないか。ともあれこれらの行方は今後のビットコイン価格に懸かって来るだろうが、政治的な不確実性が高まっているなかで枝葉の拡大は不可逆的なものともいえるか。


地銀業界も再編加速?

本日は金融庁が地方銀行等の地域金融機関に公的資金を注入する制度の大幅な期間延長を検討していることが報じられている。現行制度は来年の3月末に申請期限を迎えるわけだが、これまで5年程度の延長期限を繰り返してきたが今回は米の関税強化や人口減による経済減速懸念を背景にして延長幅が10年を超える可能性も指摘されている。

そんな地銀を取り巻く環境だが、地銀といえば今年はこの業界も再編に拍車がかかってきた。年明けの1月は青森銀行とみちのく銀行が合併して青森みちのく銀行に、また同じく1月に愛知銀行と中京銀行が合併してあいち銀行に、3月には千葉銀行が千葉興業銀行の株式を取得、再来年には荘内銀行と北都銀行が合併してフィデア銀行となる予定のほか、この年の4月には群馬銀行と第四北越FGも経営統合を目指す事で合意している。

これら以外でも包括業務提携や連携協定を結んだり、大手証券と金融商品の仲介業務などで包括業務提携を結んだりする地銀も少なくない。こういった背景にはこれまでのマイナス金利の世界では経費率など如何にコストを削減するかが焦点だったが、金利のある世界に突入し預金の重要さが復活するために規模の拡大など再度攻めの時代に突入したことがあるか。こちらもまた不可逆的な流れで次は何処の地銀が動くのか今後も注視しておく必要があるか。


歪と伸びしろ

今週アタマの日経紙総合・経済面では「ふるさと納税額最高」と題し、2024年度のふるさと納税の寄付額見込み額が23年度から1割増加の7690億円と19年度の2倍強に膨らみ過去最高を更新する見通しとの記事があった。このふるさと納税といえば今や利用者が1000万人を超え、住民税を払っている向きの6人に1人が利用し今やその市場は1兆円を超える巨大マーケットになっている。

そうしたことも背景に昨年はアマゾンなどガリバー級が参入し、大手コンビニでも昨年にローソンが先陣を切って業界としては初めて参入したが、今年はファミリーマートがそれに続いている。これの場合、他の仲介サイトとの大きな違いは寄付金が1000円等少額から可能で、返礼品コスト3割といわれるなかでも自社のPB提供等で更にコストを抑えられるメリットがあり、ファミペイ決済含めほぼワンストップで完結出来る構図というところか。

上記のアマゾンや楽天も自身で返礼品事業はやっておらずまさにコンビニならではの強味が生かせるわけだが、あとは他との競争力という部分がどうなるかだ。さて、返礼品といえばそうした一方で今年もまた返礼品(シャインマスカット)の産地偽装が発覚している。これまでも黒毛和牛や鶏肉に雲丹など彼方此方の自治体で偽装が発覚しているが、相次ぐ産地偽装は拡大化の裏でふるさと納税の抱える歪が表出したものか。

またふるさと納税を巡っては今年の秋から仲介サイトの利用者へのポイント付与が禁止される予定だが、これが及ぼす影響は自治体含め如何ほどのものだろうか?市場の増大化が続くなかで総務省の規制にも拍車がかかってきているが、差別化の芽が摘まれゆく中で各社共に今後他とどのように差別化を図ってゆくのか?今後の業界勢力図を見てゆく上でその辺には引き続き注目しておこう。


高粘着性の圧力

GWも終わり今日からまた通常モードだが、今月もまた値上げの波が続く。恒例の帝国データバンクによる主な食品メーカーにおける飲食料品の値上げ動向だが、今月は478品目となり単月の値上げ品目数では1月以降5か月連続で前年同月を上回り、この5ヵ月連続前年超えは記録的な値上げラッシュとなった2023年の6月以来、約2年ぶりの事となる。

分野別では調味料の192品目がトップ。足元では「カレーライス指数」が11か月連続で高値更新してきているが、ハウス食品はカレールウやレトルト製品を今月に8~15%値上げする。これまで同指数の上昇要因は具材やライスに因るもので、ルーの変動は無かったが今後はこの辺も上昇要因となってくるか。次いで加工食品の137品目が続き、コーヒー豆の高騰からUCCもコーヒー飲料など41品目を15~30%値上げするが、今年は早くもこれで2度目である。

2025年における飲食料品値上げの勢いは前年に比べ強い状態が続いているが、値上げ要因をここ数年で比較して見るに物流費と人件費の伸びがやはり目立つところで、これらが上がった分が価格に転嫁されるという動きが今年は特に強まっている。インフレに合せて賃金が上昇している向きはまだよいが、そうでない向きは今後もなかなか厳しい状況を強いられるわけでその辺を睨み価格競争力を維持すべく大手小売り各社の戦略も注目される。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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