145ページ目   雑記

時期尚早

本日の日経紙金融経済面には「SEC、承認判断を再延期」と題し、SEC(米証券取引委員会)が米3社の申請していた仮想通貨ビットコインのETF(上場投資信託)を承認するかどうかの新たな判断期限を、仮想通貨交換所がサイバー攻撃のターゲットになり資産流出事件が相次いでいる事などを背景に9〜10月にそれぞれ再延期した旨が出ていた。

ビットコインETFに関しては当欄でもちょうど昨年の今頃触れているが、当時は3度目の正直で悲願が叶うのか否かとしたCBOEに上場申請したビットコインが承認まであと1ヵ月というところであったが、結局延長が重なり年を跨いで米政府機関の一部閉鎖と併せCBOE自ら申請を取り下げる結果となった経緯がある。

それらを経て今回も承認判断再延期という事になっているが、先物が先行上場を果たしているだけにそれらを原資産としたモノなどへの期待も高く、フェイスブックの「リブラ効果」から価格も上昇してきているもののインフラ整備等がそれらに追い付いていないなどやはりその壁は未だ高いのが現状である。


大都市圏の苦悩

さて、昨日の日経紙・経済教室には近畿大学教授のふるさと納税と地方財政と題した項があったが、ふるさと納税といえば総務省は今月アタマに昨年度の寄付額が5127億円だったと発表している。これで6年連続の過去最高更新となったが、最高となったのは寄付額に限らずこれに基づく19年度の住民税控除額もまた記録となった模様。

昨年も同控除額が前年比で約4割増加した旨が総務省発表で為されていたが、今年も約3割増加となりはたしてというか東京の控除額が昨年の約645億円から今年は867億円と突出して多く、市区町村では横浜市の136億円はじめ大都市圏の自治体にとっては引き続き頭の痛い状況が続く。

しかし今回の新制度で外された全国最多を集めた大阪の泉佐野市含む4市町が寄付額の22%を占めるなど駆け込みが如実に表れた格好となったが、これを境に寄付額増加が一服し本来の姿への転換点となるか否か?19年度住民税控除対象者の割合は7%程度と同紙では書いてあり、除外対象からの流出分などと併せその伸びしろを勘案するにまだ地方交付税の恩恵の無い大都市圏の苦悩は続きそうな感もある。


官介入の是非

本日の日経紙企業面には「ルネサス新体制に試練」と題し、半導体需要の減少で本業のもうけを示す営業損益が赤字になるなど半導体大手ルネサスエレクトロニクスの業績が低迷している旨が出ていたが、かつて「日の丸半導体」と喧伝された同社の先行きに暗雲漂う状況が続いている。

同社といえば11年の東日本大震災で主力工場が被災し経営危機に陥った事から官民ファンド支援で再建を進めた経緯があるが、その後の産業革新機構の同社株売り抜けと対照的に経営トップはコロコロ変わり日の丸ではない資本に支援を求めるなど当初描いていた姿とは思惑外れの結果となっている。

ところでルネサスのような日の丸半導体と同様な「日の丸」モノとしてやはり直ぐに思い浮かぶのは「日の丸液晶」を謳い登場したジャパンディスプレイか。こちらもこの数年の崩落で株価は見る影もないが、斯様に鳴り物入りの政府主導で機構が旗を振ってもことごとく頓挫している様を見るに変化への機敏な対応が出来ない官の介入が正解であったのか否かは火を見るよりも明らかである。


親子上場と利益相反

さて、親会社のヤフーに対しアスクルが資本・業務提携の解消を求め両者がザワついているが、果たして先週開催されたアスクルの株主総会では親会社のヤフーの意向でトップと独立社外取締役の再任が否決、この辺に絡んでは本日の日経紙社説で「看過出来なくなってきた親子上場の弊害」と題して問題点が挙げられていた。

この件でトップは兎も角も社外取締役の処遇が物議を醸し出しており、結果としてこの株主総会後にアスクルの独立社外取締役は存在しなくなってしまったが、今後親会社の意向が強く働くケースが出てきた場合には少数株主の利益が脅かされるなど不利に傾く可能性も出て来ないとも限らない。

先に政府も新たな指針を作成し子会社の取締役会で独立した社外取締役の比率を高めるよう求める一方、親会社には親子上場を維持する合理的な理由を開示させるなど親子上場している企業グループの利益相反を抑える仕組みを謳っているが、政府が大株主となっている一部の企業でも社外取締役が3分の1に満たない例があるのが現状でこの辺がまだ課題として残る格好になっているか。


代替肉とESG

NYは大幅続落となったものの本日の日経平均は円安効果に助けられて小反発、そんな中個別では本日続落となったものの大塚ホールディングスが連結業績上振れ着地から一昨日急騰し一時4,000円台に乗せてきた。同社株といえば先月の日経紙・市場点描でも代替肉関連株への関心が高まっている旨で、大豆ミートを手掛ける不二製油ホールディングスと共に肉を使わないソーセージを販売する同社も取り上げられていた。

この代替肉といえば斯様な上場企業でなくとも埼玉のベンチャー企業グリーンカルチャーなど先月から代替肉焼売の販売を開始しているが、米でナスダックに新規上場した代替肉のビヨンド・ミートが株価大化けと共に話題を振り撒いているあたりから昨今は欧米の代替肉ブームの波が各所で波及しつつある。

当欄ではこれまで度々ESGについて触れてきたが、リアル肉に比べて飼料による地球温暖化への懸念等々環境への負担が少ないという事で環境や企業統治の観点から上記の企業群もESG投資のカテゴリーに括られるという事になるが、各所でこうしたサステナブルを意識する動きが加速しつつあると切に感じる。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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