146ページ目   雑記

市場が語る期待度

先週末の米株式の暴騰を受けた週明けの株式市場だが結局日経平均は乱高下の末に大幅続落で引けた。新型コロナウイルスパンデミックで激震収まらぬ金融市場だが、先週のECB理事会では年末までの量的緩和策の規模拡大を決定したものの注目されていた政策金利の引き下げに関しては見送りとなった。

これに限らず金融安定化策として各国がどういった事を取り得るのか注目されていたが、FRBは3日に続き臨時の会合を開き政策金利を一気に1%下げ事実上のゼロ金利政策に踏み切る事を決定、先週はこのゼロ金利を織り込む動きが進んでいたが果たしての決定後今日のグローベックス米株価先物はサーキットブレイカーが発動されるほど急落の憂き目に遭っている。

一方で本邦も日銀は明後日から予定していた金融政策決定会合を前倒しで開き、ETF買い入れ年間目標額を現行の6兆円から当面12兆円に拡大する追加金融緩和策を決めた。ちょうど一週間前の当欄では日銀御ETF買い入れコストも意識されると書いたが、ETF買い入れ額は既に今月に入ってから先週12日まで累計で5000億円を突破し先月の1か月分に迫る勢いとなっている。

日銀の金融緩和はETF買い入れ目標額を拡大した2016年7月以来約3年8ヵ月ぶりとなるなど取り急ぎ各国とも現状で出来得る事の最大級の措置を打ち出して来たとみられるが、今日は何所のマーケットもその慌てぶりがかえって疑心暗鬼を誘う格好になってしまい肩透かしの展開。伝家の宝刀である金融緩和もこれで出尽くし感が台頭するようであるとその神通力にも陰りが出て来てしまうというものだがさて明日以降如何に。


逆オイルショック下の珍事

本日も日経平均はWHOによるコロナウイルスのパンデミック認定を嫌気し急落、ザラバでの1,000円超えの急落はこれで今年は4回目となるなど金融マーケットは今週も大揺れが続いたが、急落の憂き目に遭ったのは原油も然りで週明けのWTIは一時33%安となるなど1991年の湾岸戦争以降で最大を記録した。

まさに「逆オイルショック」ともいえる暴落だが、こんなオイル安の状況下にもかかわらずつい最近まで目立っていたオイルショック時の買い占めを彷彿させるような珍事といえばトイレットペーパーの品薄現象か。漸く購入が困難ではなくなってきたが、政府やメーカー側が潤沢な在庫があり買い占めは慎むように繰り返したものの、結果的に切羽詰まって必要な向きが入手困難だったのは事実で説得力に欠けた声明だったのは否めないところ。

かつてのオイルショック時もデマの連鎖がモノ不足への恐怖を煽り今なお語り継がれる買い占めに人々を走らせたものだったが、しかし今や中高年層になった向きが幼少期に経験した斯様なトイレットペーパー買い占め騒動があれから50年近く経ったこんな現代でも起きたのは時代が変わっても人の行動原理は変らないという証左であるのは言わずもがなか。


あれから9年

本日で東日本大震災から9年が経過した。今年は新型コロナウイルスの感染拡大で政府主催の追悼式が注視となり自治体主催の追悼式も同様に縮小ないし中止を余儀なくされるところも多かったが、各地でインフラの整備が完了に近付く一方で今なお被災地では48000人近くが避難生活を余儀なくされている。

当時は3基の原子炉が次々にメルトダウンを起こすというまるで映画のようなシーンが現実に起こり、金融市場もサーキットブレイカーが短時間に2度も発動されるなどパニックになったのが鮮明に思い出されるが、皮肉なことに今年はちょうどこの期にコロナショックで金融マーケットが同じような事態に陥っている。

一部の小学校などではこの時期に防災啓蒙で各種の非常食が配られるのが恒例となっているが、これまた今年の場合はコロナの影響からくる巣ごもり消費とやらで非常食の引き合いも強くなっている。何れにせよ政府が復興・創生期間と位置付けた震災10年まで残り1年、復興への思いを風化させず真摯に課題と向き合ってゆく事が重要か。


アルゴ席巻

本日の日経紙総合面には「コロナショック市場緊迫」と題し、金融市場でパニック的な動きが広まった旨が出ていたが、株や原油の暴落もさることながら前日の外国為替市場でも円が2分で1円50銭急伸するなどで急速な円高・ドル安が進行した結果、円の対ドルの年間値幅は10円を上回ることとなった。

ザラバ急伸の要因の一つとしては某ネット証券のシステムトラブルも挙げられていたが、為替市場での荒い値動きの背景として株式市場で普及しているアルゴリズム取引が同市場でも伸びている事も書かれていた。2年連続で値幅が過去最少を記録するなど低ボラ慣れの均衡が崩れたケースだが、この辺はオプション市場のセルボラが外れた時のパニックにも似ているか。

電子取引の普及を巡ってはちょうど一週間ほど前にも同紙でHTF業者が日本の特異なダークプールの構造を逆手に取って収益を狙う仕組みを取り上げていたが、ロスカットプログラムも東日本大震災時のオプション市場で物議を醸し出した経緯がありこの辺の機会不平等はリクイディティー提供と共に一括りで一朝一夕には解決が難しい問題か。


悲観を呼ぶ悲観

週明けの日経平均は新型コロナウイルスの感染拡大が止まらず投資家心理が一段と悪化するなか、OPECプラス会合でも協調減産が決裂した事を受け業種を問わず売りが加速し昨年の年明けの急落以来約1年2ヵ月ぶりに節目の20000円を割り込む大幅続落となり、TOPIXも2016年11月以来の安値水準となった。

東証一部の時価総額はここまでザッと130兆円あまりもの減少を見せ上記の通り本日もさながらセリングクライマックスのような四桁暴落となったが、スパイラルな売り圧力で落ちるナイフを積極的に拾う動きは殆ど見られず日銀の粛々としたETF買い入れが先週末同様に1002億円行なわれたのが不気味に目立つ。

日経VIも前週末比で11.30ポイント高の47.71と急伸、斯様な状況から夜間取引に入ってからも19,000円の大台をも割り込む大幅続落を見せたかと思えば急速に戻してプラス圏に浮上する局面もあり、合せてオプション市場もプットが夜間に入り更に倍化したのも束の間、高値から2時間も経たないうちにあっという間に4分の1まで売られるなど東日本大震災やリーマンショックを彷彿させる動きを演じている。

昨年から凪のように横這いだった為替もここ数日であっという間にはや101円台にまで上昇、主力企業の想定為替レートを考えるにここまで僅かに残っていた業績の踏み止まり期待も諦めに変ってきているが、日銀のETF買い入れコストも意識される水準に迫るなか先物中心とした暴走に振り回される展開はまだ収まりそうにもないか。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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