146ページ目   雑記

原点回帰のCF

年末に向けてふるさと納税関係のPRも拍車が掛かって来たが、先週の日経紙地方経済面には世田谷区の41億円を筆頭に昨年は税収321億円が流出するなど、ふるさと納税によって東京23区の税収減が年々拡大しているなか使途を明確にしたふるさと納税で失地回復をめざす動きも広がっている旨が書かれていた。

当欄では昨年の夏場に首都圏の流出に関して、1都3県で減収は4割増となり住民税控除額トップ東京都の約645億円を筆頭に自治体にとってはなかなか頭の痛い状況を取り上げていたが、大都市圏は地方交付税でカバーという恩恵を受けられないだけにダイレクトに純減の憂き目に遭うといった構図か。

そうした裏で返戻品競争に辟易する雰囲気も一部出るなか、近年は地域が関わる課題を明確に出しそれに共感する人が手を差し伸べるCF(クラウドファンディング)が事業PRの利点などもあり急速に台頭してきている。勿論上記減収額などとの比較が出来るレベルでは到底ないものの、これらが本来の姿へ回帰する切っ掛けの一つとなるかどうか首都圏のみならずこの辺の今後の枝葉に注目する向きは多い。


フラッシュ・ボーイズ

先週の日経紙・金融コンフィデンシャルでは2日間にわたってネット証券を舞台に個人が注文を出した際に露骨に何者かに瞬時に先回りされ最良気配の板が奪われるような現象が起きている旨が書いてあり、その背景には高速で売買を繰り返すHFT業者の関与が見え隠れする旨が書かれていた。

このネット証券はSORなる注文形態を先月から導入していたが未約定注文が出た場合PTS市場でホンの瞬間晒されるところがポイントで、このミリ秒の範囲でHFT業者は瞬時に複数の執行をやってのけ利益を出しているのではないかという話もあるが、真相は兎も角も斯様な芸当が可能な業者のシステムにそもそも個人が敵う筈が無い。

この辺に絡んでは当欄で2年前に「〜スカスカの薄商い銘柄でさえ時に指し値発注時に必ず一文ハネた注文が同時に出て来る場面などしばしば起こるようになった〜」と書いていたのを思い出すが、この記事と同日に当該証券会社はこのTIFなる執行方法のホンの僅かな設定時間を0ミリ秒にした旨をプレスリリースしている。

マーケットが存在すれば必ずサヤが抜ける場面は何所でもあり、とりわけ個人の直接売買における歪にFXの所謂デスク業務からかつての街金のオプション呑み屋まで群がったものだが、こんなモノは別としてしのぎを削り合法的に次の活路を見出す業者の知恵は日進月歩だ。


ボージョレ・ヌーヴォー2019

さて、例年ワインラヴァー?にとっては年に1度のイベントとなるフランス産新酒ワインボジョレー・ヌーボーの解禁が今年もやってきたが、近所の酒屋では毎年恒例のこれを飲む会が今年も日付の変わる前から開催され令和初のイベントも変わらず多くの愛好家が集い盛り上がりを見せていた。

ワインに造詣が深くない私にとっては常に判で押したように大袈裟にその年が最高の出来という所謂謳い文句の意味が理解出来ないのだが、今朝のTVで見た今年の謳い文句は「量は少なくとも品質は有望な出来栄えに」とのことで、確かに今年は冷害・熱波に大雨の三重苦?で多くの被害が出た影響もあって生産量が大きく落ち込んだとの報告が出ていた。

ところでワインといえばEPA発効後は各所で特設コーナー等を設けているのもお馴染の光景になって来たが、春に関税が完全撤廃となった南米産など昨年は輸入国別でトップに躍り出てその割合も既に3割を超えるまでになり本当に安くなった感がある。ワインと相性の良いチーズも今後後追いで輸入拡大となると競争激化を不安視する声もあるが、逆もまた然りで高品質を謳う国産輸出拡大の商機と捉える動きもありこの辺はワインラヴァーでなくとも注目しておきたいところか。


解消最終局面へ

昨日の日経紙投資情報面には「持ち合い株売却要求」と題し、英国の投資ファンドであるアセット・バリュー・インベスターズが帝国繊維とTBSホールディングスに対し、本業と関係無く相乗効果は無いとして政策保有株の売却などを求めている件が明らかになった旨が載っていた。

持ち合い株売却に絡んでは当欄では一寸前にリクルート株を取り上げた事があったが、保ち合い株解消の勢いはスチュワードシップ・コードが導入された14年以降に強まっており、昨年までの5年間で約12%減少した旨が明らかになっており銘柄数にして約1万銘柄にも上る。

折しも外為改正法案の事前届け出基準強化案が衆院を通過したばかりだが、日本に照準を合せ活動が活発化してきたアクティビストが冒頭のような要求を突きつけるのは特異な慣習を問題視する彼らからすれば自然な流れ。解消は最終局面へ入ったとも云われているが、この低金利時代のなか持ち合いが機能せず政策保有株削減が遅々として進んでいないメガバンク勢なども何れターゲットに挙がらなくも無いか。


追加売却への壁

さて、先週末の日経紙マーケット面の銘柄診断では2020年3月期の連結純利益予想の上方修正を好感し4か月ぶりの高値となったかんぽ生命株が取り上げられていたが、このグループでは日本郵政株の上昇をもっとも願っているのが復興財源確保を狙っている他ならぬ政府の面々だろうか。

かんぽ生命が4か月ぶりの高値を付けた先週末はこれにツレ高し出来高を急増させながら反発していたとはいえ、前回同様の件を取り上げた7月末の株価から3カ月以上経ってなおほぼ同値水準と冴えない。政府が売却予定の保有株で4兆円計画の残り1兆2千億円以上を確保するにはやはり前回同様、売却までの需給緩和を勘案しても10%以上の値上がりが最低ラインとなってくる。

斯様な状況で追加売却に向けた政府の作業も事実上ストップしている状況だが、先ずはグループ全体のコーポレートガバナンス体制の再構築が何所で一区切りつくのかが焦点となると前回書いた通り、投資家の不透明感が払拭され信頼が戻ってこない限り株価の回復も覚束無いだろうか。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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