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変わりゆく儀礼行事

さてこの時期お歳暮の案内も喧しく商戦も本格化してきた。歳暮といえば本日は三越日本橋が店頭のギフトセンターを開設しているが、此処はこれに先駆けて今年の歳暮商戦に向け顧客向けの商品試食会を開催していた。これまで主流であった取引先や上司宛に送る歳暮はピーク時の半分ほどにその市場が縮小しているのが現状だが、試食会のテーマを“自分へのご褒美”として前年並みの売り上げを目指すという。

そのテーマ通り今年1年頑張った自分への“ご褒美”にと新たな切り口でもって若年層への需要喚起も狙っている。この試食会では近江かど萬の近江牛少量すき焼きセットが人気であったがこうした傾向は他の百貨店でも顕著で、例えば松屋銀座なども今年のお中元で好評だった下鴨茶寮のあんかけ丼や、和久傳のスイーツを自宅用商品向けとするなどそうしたアイテム数を去年の1.6倍に増やして対応している。

ところでバレンタイン商戦など「サロン・デュ・ショコラ」の大人買いに見られる通り、今や主流は人に贈るものから“自分へのご褒美”がすっかりトレンドになっているが、このお歳暮も今年は人に贈るものから“自分へのご褒美”を各社共にテーマに打ち出してきている。これらの儀礼的な行事も時代と共に徐々にその形態も変化してきているという事の証左か。


またもアノマリー崩れ

注目された今回の衆院選であったが、はたしてというか自民連立政権は過半数割れの大敗となった。今回の振るわない結果においては週末から週明けのマーケットへの影響が懸念され市場関係者は戦々恐々であったものの、蓋を開けてみれば日経平均は小安く寄ったもの灰汁抜けからそこが寄り切りの格好になってあと切り返し、691.61円高と急反発で引けた。

とはいえ今回の衆院選では以前にも書いた、実に1969年からの解散・総選挙で選挙期間中に17回連続の株高実績という所謂「総選挙は買い」というアノマリーが初めて崩れることとなった。期間中も1992年以来の11日連続陰線を引いており何とも心もとない動きであったが、結局解散前日の引け8日の38937.54円から週末の引けは1000円以上も下落した。

それにしても今年は相場に絡むアノマリー崩れが続く。先のオリンピックでも1968年以降のオリンピックで金メダルを10個以上取った夏の大会期間中の日経平均は上昇するというアノマリーがあったものの、周知のように今年は史上最大の暴落の前にこれが脆くも崩れた。それはともかくも自民党内での石破総裁体制は今後どう動いてゆくのか?

選挙後の記者会見で石破氏は国民の厳しい審判だとしながらも続投に意欲を示したうえで野党との連立は現段階で検討していないと述べ、一部の野党も連立を組む気はないと明言している。というわけで今後は政策ごとにそれぞれの野党と連携を模索するという形になるかどうかが焦点となろうが、いずれにせよ来年の参院選まで相場は視界不良の場面が多くなりそうだ。


インバウンド回復と共に

高まる地政学リスクや金利情勢など複合的な要因を背景に依然として金(ゴールド)の上昇は衰えることはなく2,700ドルの大台を超えて来たが、そうしたなか本日の日経紙商品面では先月に中部国際空港で重さ6キロの金塊密輸を摘発した旨が出ていた。東では成田空港でも今年上半期に摘発された金密輸の押収量は前年同期比6.3倍に上っている旨も先に報じられている。

上記の例など国際線から国内線に切り替わり税関検査が行われないところに目を付けたケースで、摘発されたのが6キロであるから先月の相場でも5200万円超えと消費税分で520万円超の報酬?を目論んでいたか。金密輸といえば報じられる機会が多くなったのは消費税が5%から8%に引き上げられた頃からで、この中部国際空港もこれまで金密輸の舞台として度々報じられてきた経緯があった。

ただその後は新型コロナを背景とした渡航制限で急減していた。それがコロナ禍明けでインバウンドと共に全国の税関が摘発した金密輸は今年上半期では件数で前年同期比の1.8倍に、その押収量は8倍以上にも上っているなど一気にこちらも回復?してきたということか。水際対策強化等もありコロナ禍前に9割超ともいわれた成功率は下がってきていると考えたいが、銅よろしく相場高騰で犯罪の素地もまた高まっていることで一層の取り締まりが求められるか。


代替品逆転

新米の流通が始まったことで各所店頭ではコメのラインナップも以前の光景に戻った感があるが、先週末の日経紙総合面には「コメ高騰、代替品に特需」と題し、コメに代わり乾パスタなどの製品に食品各社が力を入れている旨の記事があった。先の消費者物価指数でもコメの価格が49年ぶりの上げ幅と報じられている通り、これによりコメの販売量が前年同期比で大きく減少するなど消費者の購入控えが目立っているのが背景という。

しかしこんな現象を見るに、つい2年前は国内消費の約9割を海外から輸入する小麦がウクライナ危機に因る国際相場上昇や円安で高騰が止まらないなか、ドミノピザやピザハットなどピザ業界が相次いでピザライスボウルやごはんMYBOXなどコメを使った新商品を投入し高騰する小麦の代替を模索していた光景が記憶に新しい。

国内需給率がほぼ100%を誇り価格の変動も少ないとされていた国産穀物の代表格もすっかり需給の構図が変わり、上記の代替品の構図も再度逆転してしまっているあたりいろいろ考えさせられる。思えばにわかおにぎり専門炭等も小麦代替がいわれていたあたりから増殖していた気もするがこの原材料高騰で試練の時だろう。今後日本の食のスタイルは何処へ向かうかだが、この構図が続けばまたコメ離れに拍車がかかるのが懸念されるところでもある。


総選挙と相場彼是

衆院選が公示され27日の投開票に向けての選挙戦がスタートした。総選挙と株価については投開票までは選挙公約に示される経済政策への期待等から買いというアノマリーを既に当欄で書いていたが、昨日の日経紙夕刊・十字路ではそれ以降の投票日直後から投票日1か月後の期間では下落回数の方が多く、どちらかといえば株価は軟調となる旨が載っていた。

ちなみにドル円相場も解散日から投開票日までを見てみると2000年~2021年まで8回のうち5回が円安方向へと動きやすい傾向が見られるが、本日の日経紙投資面でもこの為替に関しては衆院選の円相場への影響が与党で過半数を獲得した場合には「影響は限定的」との業界関係者の回答が68%で最多であった旨も出ていた。

冒頭の件でもこのスパンを3か月で見た場合では、与党第一党の議席数が大きく増えた時、もしくは微減にとどまった時は株高が続いたものの、大きく減った時は下落したデータがある。今回も与党で過半数を確保できるかが攻防ラインとなるが、序盤情勢分析では自民は大幅に議席数を減らし15年ぶりに単独過半数を割り込む可能性も報じられている。いずれにせよ選挙後の内閣の安定性はこれら相場を展望する上でも一つの重要な要素になると思われるだけに今後も注視しておきたい。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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