152ページ目   雑記

フォーエバーではなかった?

本日の日経紙社説には「流通業は閉鎖の次の一手を」と題し、冒頭はアパレルなど流通業に店舗閉鎖の嵐が吹き荒れているとの書き出しであったが、店舗閉鎖といえば先月末で米フォーエバー21が日本の全店舗の営業を終了し完全撤退した。完全閉店セールと題しファストファッションとはいえ全品50円の張り紙と併せ空虚な在庫処分そのものの様相を呈していたが、さほど話題にもならずにひっそりと消えゆくさまは開店当時に想像も出来なかった。

思い出せば今から10年前に当欄では黒船来襲の如く同社がH&Mと共にファストファッション市場を席巻、激戦区の原宿に1000人を超える列を作って出店を果たし当時の松坂屋銀座店でもグッチが撤退した後にココが入る運びの旨も書いたが、まさに盛者必衰とは斯様な光景のことか。

ココはイオンモール等のSCにも入っていたが米国では消費を牽引してきたSCがそれらを支えてきたテナント小売店がネット通販に押され集客力低下を背景に苦境が鮮明になっており、国内もゾゾタウンなど新興ネット勢の破壊力は凄まじかったがSCのみならず百貨店との蜜月関係も破綻しつつある。

ファストファッションの中で成長率を維持しているのが唯一ユニクロくらいであるが、他の競合も近年はエシカル消費の流れでファストからH&Mが先行したエコやZARAが取り組むサステナブルへと傾斜しつつある動きも見られる。生き残った新興勢もまた新たなフェーズに入って来たというところか。


三強の野望

さて、先週は旧興銀系の不動産会社ユニゾを巡るTOB合戦を取り上げたが、TOBといえば規模が桁違いに大きいものとして直近でそれを計画している可能性があると話題になっているのが仏LVMHモエヘネシー・ルイヴィトンによる米宝飾品大手ティファニーへの買収提案だろうか。

買収提案額は提案前の値に22%のプレミアムを乗せた1株120ドルといわれ、この報を受け当のティファニー株は前週末比30%以上も急騰しこの提案額を早速上回って引けたが、同社の経営陣にはLVMH擁するブルガリゆかりの人脈が居る関係もあって一連の買収案仲介の背景にはブルガリの影が見え隠れするとの噂も出ている。

LVMHは此処を手中に収める事により他のスイスリシュモンやケリング等との競争に備えると見られているが、冒頭の急騰劇では一日で実に時価総額が約4000億円も膨らむような規模案件だけに実現が叶えば欧州企業による今年最大の買収案件となる。折しも3強の一つケリングもまたスイス高級時計ブランドの買収観測が浮上しているだけに、今後の再編と併せその勢力図変遷にも注目しておきたい。


2019ハロウィーン

今年も恒例のハロウィーン本番となったが、先週末の日本橋界隈では仮装した子ども達が周辺の老舗を巡る微笑ましい光景が見られた。一方で渋谷では年々大騒ぎの度合いが増し昨年TV等でも取り上げられた通り警察出動機会も増えてきた事例も鑑み、周辺の小売店が区の要請を受け先週末に続き夜間の酒類販売を自粛する方針を決めている。

絶好の商機も斯様な機会損失に転換してしまい、そんなワケで今年は集う人々の手にするドリンクがアルコールから映える?タピオカに変っていたようだが、これまでのマスコミやメディアの煽りがハロウィーンにおけるこうした動員に拍車をかけていた部分も否めないだろうか。

そんなワケで今年は幾分自粛ムードもあって地味目な印象も受けるが、その市場規模もバレンタインの上鞘に転じた2016年の1345億円をピークにして2017年が1305億円、2018年は当欄で1200億円台にまで減少すると推測と書き、果たしての1240億円であったがさて今年は如何ほどになるのだろうか?

ところでハロウィーンといえば5年前の日銀によるハロウィーンのサプライズ緩和で市場が狂喜乱舞しDOW、S&P500共に史上最高値を更新したのが記憶に新しいが、今年はそれを前にしてS&P500は約3か月ぶりに史上最高値を更新している。株式市場で云われるハロウィーン効果でここから更に一段高へと今年もアノマリー通りの展開となるか否か注目したい。


戦線拡大事情

さて昨日の日経紙企業面では「ユニゾTOB混迷増す」と題し、旧興銀系の不動産会社ユニゾホールディングスを巡るTOBにおいて当初のHISやフォートレス・インベストメント以外にも複数の投資ファンドが短期間のうちに次々と同社をターゲットにする異例の展開を見せている旨が書かれていた。

同社に関しては8月にもTOBを仕掛けていたHISに株主からの応募が無く不成立となった旨に当欄でも触れていたが、当時ホワイトナイト的存在であった米投資ファンドのフォートレス・インベストメントも買い付け期限を4度も延長する過程で両者間での条件面での対立が浮上するややこしい展開となっている。

ブラックストーンなど後発組の買収提案賛否についての回答期限が迫っているが、金融経済面にも出ていた米エリオットなども積極的に質問を経営陣に突きつけるなど何れもイグジットを睨み活発化してきている。その背景には運用成績停滞という焦りも一部あるとみられるがこれらが複雑に絡み合い今後も戦線拡大は想像に難くないか。


増税後初の密輸

さて、10/24付ゴールドニュースでは福岡空港を経由して韓国・仁川から金塊計9.5キロをカートのフレームの中に隠すなどで密輸しようとしたとして、福岡県警や門司税関は関税法違反の疑いで韓国人を逮捕した旨が載っていたが、利鞘狙いのこの手のケースでは消費税10%になった増税後では初の事例となった。

金密輸に関して前回触れたのは昨年5月の約32億円を荒稼ぎした金密輸団の事件であったが、これもたしか韓国人グループであった。約32億円の稼ぎといえばその売却額は実に約400億円にものぼる計算だが、近年はLCCのアジア便が増加し運搬コストも下がり摘発されても消費税罰金相当の納付で済む緩さが日本を主戦場にしている。

全国の税関ではこの増税を前に金密輸への警戒を強めていたのは想像に難くないが、昨年の罰則強化で引き上げられた罰金も上記の韓国では10倍で金塊没収という現状を考えればまだまだ旨みのある市場という位置付けは不変で財務省など関係各所の対策は急務だろうか。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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