162ページ目   雑記

日本のセンス

さて、昨日の日経紙社会面には横山大観らの近代日本画コレクションで知られる足立美術館が、米国の日本庭園専門誌である「ジャーナル・オブ・ジャパニーズ・ガーデニング」の2018年日本庭園ランキングで1位に選ばれた旨の記事があった。これで2003年のランキング開始以降、16年連続で1位に選ばれている。

同美術館は上記専門誌以外にも「ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン」にも取り上げられており、日経紙では専属の庭師が手入れをしており季節ごとに違った景色が見られるとしか書いていないが、個人的に魅せられるのは例えば楠や赤松を計算し尽くされた位置に植え窓枠を刳り貫く事で庭園の景観を絵画のように変貌させる「生の掛け軸・額絵」のようなユニークかつ計算された美の演出が為されている点か。

また、計算された美といえば他にも背後の山を借景する事でその奥行きに深みを持たせている演出もあり、こうした借景は此処以外でも例えば京都実相院の優美な枯山水は比叡山を借景している。また此処は四季おりおりで風景をピカピカに磨いた床に反射させて見せる所謂「床もみじ」も有名である。

この「床もみじ」といえば当社のゴールドフォトコンテストで特別賞に輝いたモノに瑠璃光院の廊下に映える秋の景色もあったが、斯様に計算された日本独特の美の演出というものは唯一無二のもので、ジャポニズムが時代を超え諸外国の人々を虜にし続けているのも合点がいくというものだ。


アクティビストの捉え方

さて、本日の日経紙マーケット面には「還元期待 買いを集める」と題し、昨日のオリンパスのストップ高に見られるように「物言う株主」が保有する銘柄への買いが膨らんでいる旨が出ていた。このオリンパスだがクリスマスに付けた年初来安値から、一気に年初来高値を更新してきた背景には先週末発表の企業変革プランの策定があった。

特に異例だったのは大株主である有力アクティビストであるバリューアクト・キャピタルのパートナーを取締役に自ら受け入れるという点で、市場の想定を超えた大幅な構造改革を伴う組織変更がポジティブサプライズ視された。このアクティビスト、バリューアクトといえば当欄でも昨年の3月に同社が日本企業への投資を始める旨を取り上げたことが思い出される。

当時同じアクティビストの米エリオット・マネジメントが日立国際電気のTOB劇において価格引き上げ要求の揺さぶりをかけるなどの行動に出た事で同様のケース続出も予想されたが、懸念される全体価値よりも自社のリターンを優先させるのではという部分に関しては株主からの選任ありきではなくグローバル企業のガバナンスを検討した結果だとしている。

確かに同社はマイクロソフトはじめ40社以上に取締役を派遣した実績があるという事でオリンパス側は企業価値向上のカタリストとする意向を表しているが、今後アクティビスト側がどのように舵を取りはたして相乗効果も出るのかどうか株式保有姿勢とも併せて注目しておきたい。


自動取引増殖

さて、年明け早々に1ドル104円台まで瞬間急騰した円相場も週明け本日は1ドル108円台後半への円安ドル高が好感され日経平均は節目の20,500円を超えてきた。ところでこの為替といえば先週の日経紙総合面には「虚、突かれた個人投資家A・I」と題し、新年早々の外為市場でわずか1分の間に1米ドルに対して4円も急騰した背景には円安に安住した個人投資家が狙われ、それを見たAIのロスカットが拍車をかけたとの旨が書かれていた。

こうした相場の珍事?の素地としては一定のレンジが続くと見た向きがそれに即したストラテジーを組んでいるパターンが多く、酷かった例では東日本大震災時の225オプションのプレミアム狙いのセルボラ等が思い出されるが、今回の件も昨年10月から年末までの円相場が110〜114円と狭いレンジで動き金利狙いのホルダーが多かった事が円高に拍車をかけた格好になった。

また冒頭の通り近年は自動取引の存在感が高まり、為替に限らず株価変動も日米共に昨年12月は2008年のリーマン・ショック直前を上回るほどになっており世界規模で激しさを増している。自動取引の功罪については当欄でも何度も触れているが、リスク・パリティ型やテキストマイニングなどAIを活用するモノも増殖する日進月歩でこうした構造変化の是非論もまた議論対象になりそうである。


経営者が占う2019

さて年初といえば恒例の日経紙「経営者が占う」シリーズで、また当欄で振り返ってみよう。日経平均の高値予想は平均で25,440円と1991年6月以来、約27年ぶりの水準まで上昇するという予想だったが、27年ぶりの高値水準はドンピシャだったものの17人が25,000円以上とした割にその値段はあと1,000円ほど及ばずとなった。

一昨年は11月に25年10か月ぶりの高値示現となり、万年強気の年末高予想とほぼ願望で固める証券業界の暗黙のルールで予想を立てた大手証券トップの判で押した年末高予想が結果的に当たってしまったがこれが昨年は年末に年初来安値更新となると、高値時期の予想を12月でその値はなんと27,000円と大風呂敷を広げた大和証券社長の予想など目も当てられない結果となった。

こういった結果となると個別の有望銘柄も4連連続トップのトヨタ自動車はじめ2位の信越化学など共にボロボロのパフォーマンスとなってしまったが、逆に日本電産会長兼社長の永守氏の実際の年初来高値とわずか約150円違いだった24,300円という高値予想に、11〜12月との安値時期予想の素晴らしさが際立って目立つ。

というワケで今年の日経平均の高値予想は平均で23,925円、その時期はまた性懲りもなく12月に26,000円という高値予想を出している大和証券社長などはさて置き、総じて5〜6月との見方が多い。個別銘柄はもう定番化しているトヨタ自動車がこれで5年連続で1位、信越化学も定位置の2位となっていたが、はたして年末にはどのような展開になっているのか記録づくめだった昨年同様に「亥固める」の相場に注目したい。


平成最後の福袋

さて昨日はマグロの初セリに触れたが、同じく初といえば百貨店や家電業界の初売りの方はボーナス増や10月の消費税増税など背景に大型改装効果とも相俟って、各社ともに好調であった前年並みかそれ以上の売上高となった企業が多かった模様だ。

今年は平成最後の福袋となるということで、新聞の折り込みで入っていた銀座松屋の広告では「アッシー・メッシー・みつぐ君 福袋」と題したダイヤの指輪とリムジン、ディナー等がセットになったモノから、LEONの元編集長が約200万で全身コーディネートしてくれるモノなど、バブル世代やコト消費を意識した内容のものが目に付いた。

コト消費といえば他にも高島屋のホンダジェットでアメリカ4都市を巡る旅や、ホッケー日本女子代表チーム選手による指導教室、三越伊勢丹HDも元ラグビー日本代表らとの真剣勝負を売り出すなど工夫が目立つ。

しかし福袋といえばそれこそ昔は中身に何が入っているのかわからないモノが多くまたそれが楽しみの一つでもあったが、近年は中身のわからない商品を値段だけで訴えるお得感では簡単に消費を喚起出来なくなりオープンにする向きも増えてきた感がある。今回の平成最後もそうだがテーマというか内容、お得感を明確にする戦略で今後も各社は鎬を削る事となろうか。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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