177ページ目   雑記

総レンタル時代

さて、一昨日放映のTBS系の某教養バラエティー番組では、理想の部屋のイメージを伝えるとプロが無料でコーディネートしてくれるレンタル家具メーカーの紹介をしていたが、レンタルといえば衣料品も先週にはレナウンや三越伊勢丹がレンタルサービスに乗り出す旨が先の日経紙に出ていた。

クールビズなど仕事着のカジュアル化が進んだが故のサービスともいえるが、アパレルに関しては既にブランド品などのアクセサリー類は先行している。そういった面ではこれまで百貨店業界はレンタルビジネス分野とはある一定の距離を置いていたものだったが昨年まで4年連続で衣料品販売が前年を下回っただけに重い腰を上げざるを得なくなったか。

しかし周りをちょっと眺めて見ても、例えば近所のガソリンスタンドなどちょっと前まで洗車サービスから車検までやっていたものだったが、今ではレンタカー事業がメインとなりこれまでのサービスは全て終了している。若者のクルマ離れという現実を前にカーシェアリングなど急速に台頭してきたのも近年の特徴といえよう。

冒頭の家具やアパレルなど気に入った商品は自分で買い取ることも出来るとはいうものの、斯様に最近の若年層は所有願望に乏しく利用へと消費行動が変化してきている。今から数十年前にレンタルレコードが登場した時は衝撃であったが、時代と共にレンタルの構図も伸び代が出来まだ今後も変遷してゆくことになるか。


二度目のルソー

さて、今月は先週末で終了したプーシキン美術展に出掛けて来た。開催されていた東京都美術館に出向いたのは春の池坊展以来のことであったが、このモスクワのプーシキン美術館といえばフランス絵画コレクションで知られるところで今回は選りすぐりの65点が展示されていた。

なかでも20代のモネの作品「草上の昼食」など日本趣味の画家の貴重な初来日作品もあるなどなかなかの構成であったが、個人的に目当てはやはりアンリ・ルソーの1910年作「馬を襲うジャガー」である。ルソーの実物を観たのは今から8年前のオルセー美術館展の「蛇使いの女」であったが、サイズ感は違えどなるほど独特のルソーテイストであった。

ルソーの作品はどこかバリのプンゴセカンスタイルのテイストを持ち日本の田中一村の作風にも似ている面白さに惹かれるのだが、もともと遠近法を無視した構図にこれまた現実感に乏しい動植物は空想感に溢れている。上記の習作といわれ所説あるモネの作品とも併せ風景画のカテゴリーもなかなか深い背景が存在するなど解った展でもあった。


25%超のこれから

昨日の日経紙社説には「長期的な成果へ公的年金運用を透明に」と題し、冒頭に156兆円の資産を持つ年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が2017年度に10兆810億円の収益を挙げた旨が載っていた。14年に国債中心だった運用を変更し株式などリスク資産を増やしてきたが昨年末には国内株の運用比率が初めて25%の目安を超えている。

文中には環境や社会との共存も意識しつつ企業が経営効率を上げ、評価が高まれば運用収益の底上げに繋がると期待できるとあったが、この辺に関しては昨年から所謂ESG企業に絞った投資を開始し1.5兆円を投じている模様で、これらの企業は長期で株価上昇や安定した配当が期待出来るという見方をしている。

斯様にスチュワードシップ・コードへの取り組みなどが注目される一方でもう一つのコード、コーポレートガバナンス・コードに絡んでは逆行する部分があるなどの指摘は依然として喧しい。クジラの如く幅広く買い漁るさまから現代版PKOとも揶揄されて久しいが、株価嵩上げの構図が一区切りしたとされるいま上記のESG含め次の一手が注目される期に差し掛かっている。


NUDE

さて、先月の日経紙・STYLE/Artでは「ピカソの中に透ける浮世絵」と題し、浮世絵の葛飾北斎との親和性を引き合いにピカソの裸婦シリーズの中の作品が紹介されていたが、今年は各所の展でもピカソの絵を観る機会が多い。直近では先月末に終了した横浜美術館の「英国テートコレクション・NUDE」でも日経紙とは違った裸婦モノを観た。

もともとピカソ目当てでは無く、此処ではパンフレット表紙にもなっている目玉のオーギュスト・ロダンの「接吻」を観に行ったのが、美術館では珍しく撮影もOKと緩く流石に圧巻であった。彼方此方でレプリカが販売されてはいるがやはりテートコレクションのオリジナルは艶が違う。

という事で一方のピカソ。日経紙STYLEに出ていたのは1932年の「横たわる裸婦」だったが、先月の私の履歴書でも作家の阿刀田高氏がおそらく1909年のフェルナンドシリーズのピカソの裸体画に触れている。浜美の同展では晩年に近い1968年の作品「首飾りをした裸婦」であったが、フェルナンドとは全く異なるタッチで氏の情感が窺える作品であった。

他にピカソのものではエッチングも2点あったがいずれも貴重なコレクションで、人間にとって最も身近といえるこのテーマに向き合ってきた約200年にわたる裸体表現の歴史を一堂に会して観られ、また時代と共に変化してきた表現も同時に見ることの出来るなかなか濃い展であった。


ブランド構築の難しさ

さて、昨日の日経MJ紙では「匠と美 時計に価値刻む」と題してセイコーウォッチが海外でブランド力を高めようと英米に直営店をオープンしたり、今年の4月には世界最大級の家具・デザイン見本市「ミラノサローネ」に初出展するなどマーケティングに力を入れている旨が書かれていた。

マーケティングといえば他にその前に開催された「バーゼルワールド」においてもグランドセイコーは独立ブース設置などを試みているが、かつて創業家の社長が機械式高級時計の代名詞であるスイス勢をどうしても超えられない壁があると日経紙で書いていたのを思い出す。

レクサスなんぞもそうだが匠が売りの製品は一昔前に比べ最近は一気に強気な価格設定になった感もあるが、この時計然りで本邦勢が長年構築してきたブランドイメージは当に廉価高品質であり後発組の新興勢でも超高額モノがブランド構築に成功している生い立ちとは背景が違うところが壁の高さで、単に価格を世界標準にすればよいというところでない気がする。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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