180ページ目   雑記

現代版生類憐みの令

昨日の日経紙夕刊では「世界のアパレル、動物愛護」と題して、ファーストリテイリング傘下のユニクロや、スペインのZARAにスウェーデンのへネス・アンド・マウリッツなど国内外のアパレル各社が相次いで2020年までにアンゴラヤギの毛であるモヘアの使用中止を表明する旨の記事があった。

その背景には企業のブランド戦略が環境や社会への影響を配慮したエシカル消費の関心が高まった事による影響が出始めた旨が云われているようだが、この辺は当欄でも昨年秋にグッチやアルマーニなど複数のハイブランド群が揃って毛皮の使用を廃止する動きで足並みを揃えてきた旨を書いた事があった。

こうしたファーフリーの動きの裏で今年4月に書いたように世界が欲しがる本邦匠の技を駆使したフィイクファーやレザーが注目されるようにもなったが、ファーに比べ普及品?のモヘアまでとなるとその範囲も広くなるだけに業界でも賛否両論が出てきそう。かつてシルクの代替といわれたテンセルが出現したように、今後特製をカバーした新素材が取って代わってくるのか否か。

しかしファッションに限らず食の世界でもフカヒレが残酷、フォワグラも残酷、ウナギもダメと生類憐みの動きが喧しく、倫理観は別としてここ近年でこの辺は極端になってきたなと感じざるを得ない。斯様な世論に迎合するESGを謳う波も何所まで進展して行くのか気になるところではある。


国産品質

さて、何時だったか皮ごと食べられる国産のバナナを某TV番組で見掛けたことがあったが、昨日の日経紙夕刊には「熱帯植物 国産化 広がる」と題し、熱帯地方から輸入する食品を国内で量産する試みが広がり始めた旨の記事でこの皮ごと食べられるバナナも取り上げられていた。

廉価で日常食のバナナも近年では新種の病害が広がりそのうちに現在のような供給体制が危ぶまれるとの報も一時出た事があったが、ゼスプリが圧倒的なシェアを占めるキウイなどと共にこれまで殆どを輸入に頼っていたフルーツの類も国内では粛々と量産の試みが為されていたか。

冒頭の記事ではバナナ以外で小笠原諸島のカカオ豆も同時に取り上げてあったが、これも当欄では今からちょうど2年前に「カカオ熱再び」と題して取り上げた事があった。あれからはや2年、来年には収穫した豆で自社ブランドの板チョコを商品化する計画というが、冒頭のバナナ等と共にコスト面で末端の食指が動くまでになるか否かこの辺も気になるところ。


新規参入と本邦勢

本日の日経紙金融経済面には「米仮想通貨大手日本へ」と題し、国最大級の仮想通貨交換会社であるコインベースが出資する三菱UFJフィナンシャルグループと連携し年内にも金融庁へ交換業の登録申請と日本に進出し市場を開拓する意向の旨が出ていた。

仮想通貨の交換事業に関しては昨日もSBIホールディングスが、年初のコインチェックによる仮想通貨巨額流出事件以降初めて交換事業の営業を開始している。ネット証券国内最大手の顧客基盤を背景に、仮想通貨の販売時に上乗せするスプレッドについて業界最低水準を目指す事で優位に立つとの思惑から昨日の同社株は急反発する場面があった。

一方でコインチェックを買収したマネックスグループや、リミックスポイント等の関連株は競合出現を嫌気し軒並み安となり本日も続落模様となっている。とはいえSBIも本日は往って来いの反落となっておりかつてのネット証券の手数料競争を彷彿させたか否か、今後も各社の舵取りと新規参入の動向には目が離せない展開か。


意識改革

週明けの日経平均は5月雇用統計を好感した先週末の米株高やそれに伴う円安進行から急反発となったが、そんな中で先週からあまり地合いに関係無く上昇ピッチが目立っている個別が2部の相模ゴムやジャスダックの不二ラテックス等のコンドーム大手で本日も共に大幅高し揃って年初来高値を更新している。

上げの背景としては先に発表された好業績もあるが、毎回配布されるオリンピックに向けての商機も取りざたされている模様。直近の平昌でも冬季大会最多の11万個が配布されたが、先のリオでは過去最多の45万個が配布されている。来る20年の東京大会では新種目に伴い選手数も増える事で配布数が過去最多を更新するのが規定路線となっている。

冒頭の相模ゴムなど日本最大級のクラブイベントで有名なageHaとコラボしたり、はたまたSRIも意識し屋久島文化財団への寄付など内に向けての意識改革もしっかり押さえているが、何れにしても予てより訪日客が大量に爆買いするのに見られるようにその品質は世界が注目しており日本の技術力の高さをPRする絶好の商機到来で各社が鎬を削る展開は想像に難くないか。


Wコードが齎す変化

さて、毎年この時期になると複数の企業から定時株主総会の総会招集通知が届くが、本日の日経紙投資情報面には「株主総会 お土産やめます」と題して、30日までに開示したこの総会招集通知で今年は昨日取り上げたKDDIをはじめ三菱商事、第一三共、東京ガス、コマツが総会におけるお土産取り止めの旨が出ていた。

株主総会のお土産といえば昨年も当欄でちょうどこの時期に触れた事があったが、これを取り止める企業が話題になり始めたのは三年くらい前からだろうか?お土産を止めた途端に出席者数が3割から企業によっては7割も減ったとの件で大手紙でも取り上げていたが、昨年の双日などお土産廃止で会場を訪れる株主数が9割も減ったとの件が話題になっていた。

冒頭の企業もこれで今年の総会へ出向く向きが減ってしまうのかどうかだが、お知らせでただ廃止しますとしている粛々とした向きから株主間の公平性等を挙げているものまであるがこの辺は世間の趨勢をふまえて等との文言併せ昨年の各社のご案内と同様に金太郎飴のような感じである。

当欄で、スチュワードシップ・コード導入からこの辺が今後どう意識されてくるか注目と書いたのが今から4年前だったが、果たしてというかお土産や優待目当ての株主が篩にかけられ、ESGの波もまたこうしたところへ及ぶに至りモノからコトへシフトする向きも年々増加しつつあり、二つのコード始動で総会絡めた企業姿勢が俄かに変化しつつある。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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