196ページ目   雑記

ふるさと納税平準化

この時期になるとふるさと納税もそろそろ駆け込み消化が始まろうかというところだが、先週末の日経紙には「ふるさと納税 過熱一服」と題し、昨年のふるさと納税受け入れ額上位100自治体の今年の見通しが自治体の6割で減少を見込んでいる事が同紙調査でわかった旨が載っていた。

うち9自治体は受け入れ額が半分以上減ると見ており、中には受け入れ額が十分の一に縮小する見込みの自治体もある模様。8月に当欄でこの件に触れた際には好調な返礼品の受注で設備投資や雇用を増やしてきた関連企業こそ心中穏やかではないと書いていたが、果たしてというか彼方此方の返礼品納入業者も恨み節が聞こえて来る。

こんな梯子を外された納入業者や自治体の混乱を見て一括りで通達を出した総務省サイドの態度軟化の一部報道も出ているが、自治体サイドも返礼品が及ぼす経済効果はやはり無視出来なく、一度吸ってしまった甘い蜜の味は忘れ難いだけに苦心する誘致合戦も余計に本来の目的とかけ離れたモノも新たに出てきている。

とはいえ大手の仲介サイトでは受け入れ額全体では2割程度増加しそうとの見込みを出しておりふるさと納税の気運自体が萎えたワケではなさそうで、総じて今のところ総務省の一括り通達はこうした増加分と併せ首位減少分が他所へ分散する効力を齎した格好になっているものの何れ徐々に回帰してきそうな気がしないでもない。


連続破綻から20年

さて、今週で関係者に多大な衝撃を与えたあの山一証券破綻からはや20年が経過する。思い起こせばちょうど20年前の11月という月は四大大手の一角であったこの山一が破綻劇のトリを務めた格好になったが、その前に連続破綻の口火を切ったのが月初の三洋証券、そして中旬の北海道拓殖銀行があった。

この三洋証券といえばバブル期を象徴するかのような東証をも上回る世界最大とも言われたトレーディングルームが鮮明に思い浮かぶが、拓銀にしても一時は一蓮托生だった数万円の値が付いたカブトデコム株が紙屑になりウィンザーホテル洞爺の写真を見る度にこれらの事件が思い出される。

そして山一。日経・私の履歴書で元野村證券副社長が書き綴っていた通り今では金商法で真っ黒な「ニギリ」が横行、その派生で公然と「飛ばし」も横行し山一破綻のトリガーとなったのだがあれから20年、日経平均も25年ぶり高値水準まで回復した今こうして改めてひと昔を回顧する機会が多い。

当時はそもそも株式が持ち合いで成り立っていたのでわざわざ浮動玉相手にIRなどマトモに考える向きも少なく、投資尺度にしてもフューチャーバリューやQレシオなど異常株価を擁護する為?の指標が次々と現れた狂乱時代であったものだが、そう想い返すと現在進みつつあるガバナンス改革もこの山一破綻を教訓としている部分も少なくないか。


今年のボジョパ

ハロウィーンが終って次の11月の風物詩といえばボジョレー・ヌーヴォーだが、今年も昨晩0時に解禁となり都内のイベント会場には多くの人が集まり賑わっていた。昨年も高い評価であったが、なんでも今年は夏場の気温が記録的に高く乾燥していた事から葡萄の果実が小さく凝縮されたものとなり非常に高品質のワインが出来上がったという。

イベント会場に限らずANA等では空港のラウンジや機内でボジョレー・ヌーヴォーを提供するサービスを行ったり、箱根では恒例のボジョレー・ヌーヴォー風呂を開催した様子が報道されていたが、日本への輸入量は販売量減少を背景にここ数年減少が続いており、2004年のピークから半分以下にまで落ち込んでいた昨年から今年は更に5%減少の見通しという。

斯様な背景から小売り各所では消費落ち込みに歯止めをかけたい考えといい、新たな顧客層の掘り起こしを狙って大手等は液体が映える透明ボトルにイラストを直接印刷したSNS映えを意識した商品も登場している。ハロウィーンからクリスマスまでを埋める商戦としての地位を確立出来るか否か今後も各社の戦略に懸かって来るか。


作るから買うへ

さて、先週末の日経夕刊の一面には「鍋野菜、今年は手ごろ」と題して、昨年8〜9月の台風や長雨など夏の天候不順で高かった白菜の卸値が前年同時期を6割下回り、大根も同4割安に、都内のスーパーでも今年は約2割ほど安くなっている旨が載っていた。

一方で同じ鍋の材料でも鶏肉は近年の健康志向の高まりで都内のスーパーでは前年比で8%ほど高いようだが、この鶏肉も含め御節に使うような食材はサケの不漁続きでイクラが30年ぶりの高値水準にあるなど今年は総じて高値が目立っているという。とはいえ御節を家庭で作る向きは年々減少し手軽に購入で済ませる家庭は年々増加傾向にある。

そういったところをターゲットに大手百貨店等からは秋の気配が感じられる頃からはや御節の案内が喧しいが、今年はインスタ等にアップしたくなるようなSNS映えするような華やかな見栄えのするモノが相次ぎ登場している。幅広い世代に馴染みのあるヒーローものからゆるキャラモノまで登場しているが市場拡大と共に内容も多様化、そこに構造変化も垣間見る事が出来る。


サザエさん彼是

さて本日は東芝の9月中間連結決算があったが、純損益が497億円の赤字となり中間では5年ぶりの赤字、18年3月期も純損益は1,100億円の赤字見通しを出す事となった。ところでこの東芝といえば今月に入り、スポンサーとなっている国民的アニメ番組である「サザエさん」から降板する方向で調整に入った旨が報じられている。

実に48年間もスポンサーを務めて来ただけあって、サザエさんといえば東芝というのは誰でも連想するところだが、株式市場のアノマリーでもサザエさんは業界関係者の間ではジブリの法則と双璧である。即ち同番組の視聴率が上がるとTOPIXが下がり、視聴率が下がるとTOPIXが上がるというアノマリーはその相関係数が0.86と高い事で有名なところ。

まあこの辺は余談だったが、今回のスポンサー降板の報を受けては有名美容外科がいち早く名乗りを挙げた模様で、後継スポンサーが見つかれば2018年3月末にも降板する可能性があるという。債務超過解消を掲げ経費削減強化に背に腹は代えられないという事だろうがこんなところまで影響が及びこれでまた一つ昭和が消えゆくさまは何とも残念なものだ。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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