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ノーベル賞ウィーク2025

今年もやってきたなという感じのノーベル賞ウィークだが、初日の「生理学・医学賞」は免疫反応を抑えるブレーキ役となる「制御性T細胞」を発見した大阪大学の坂口志文特任教授ら3人に授与されることとなった。この坂口氏、昨年のノーベル賞でも当欄では受賞候補として小胞体ストレス応答を解明した京大高等研究院の森和俊特別教授と共に名前を挙げていたのを思い出すが1年遅れで見事受賞となった。

ノーベル賞といえば関連株だが、今回の生理学・医学賞では中外製薬が挙がるか。同社と坂口氏が所属する大阪大学免疫学フロンティア研究センターとは10年間にわたる包括連携契約を2016年に締結しており、免疫抑制機能を高めた細胞を作る仕組みを解明したという。とはいえ既に同社は受賞思惑を囃して本日前場まで大きく7日続伸していただけに材料出尽くし感もあって引けではさすがに一服となっていた。

いずれにせよ日本人のノーベル賞受賞は去年の平和賞に続いて2年連続となり、この生理学・医学賞では免疫チェックポイント阻害因子の発見をした2018年の本庶氏以来7年ぶり6人目となる。今後のスケジュールは本日の物理学賞、明日が化学賞、明後日が文学賞、金曜日が平和賞、来週月曜日には経済学賞と続くが、さてまだ坂口氏の後に日本人の受賞が続くかどうか関連銘柄の動向とも併せ注目しておきたい。


価格転嫁とPB強化

10月となったが今月の値上げ状況も半年ぶりの山になりそうな気配で、帝国データバンクによる主な食品メーカーにおける今月の飲食料品の値上げは3024品目となり、今年4月以来6か月ぶりに3千品目の大台を上回っている。これで1月から10ヵ月連続で前年を上回る事となり、連続増加期間としては前月に続いて2022年の統計開始以降で最長を記録することとなった。

今月は食品分野別では「酒類・飲料」が2262品目で最多、遂に500mLペットボトルも200円時代の到来である。次いで加工食品の340品目、調味料の246品目と続くが、消費者における物価高への反発は根強く割安商品へのシフトといった節約志向が続いている。小売り大手もPBブランドのラインナップを増やしたり、定期的な値下げを行うなど節約志向に対応し価格競争力を維持すべく今後も低価格戦略を貫く姿勢を鮮明にしている。

今年の値上げは賃上げによる労務費など粘着性が高く国内経済情勢に起因した圧力が強まっており、特にこの人件費では昨年以降続いた賃上げによるコストアップが時間差で価格に反映されているとしている。そもそも食品セクターは業界別での平均年収が相対的に低い企業が少なくなく賃上げの流れは避けられない事態、そうしたことからこうした賃上げを起因とした人件費上昇からの値上げの動きはまだしばらく続くことになるか。


アメリカン・ジゴロ

先の日曜日の日経紙・TheSTYLEでは「アルマーニ氏を悼む」と題し、今月に逝去したイタリアのファッションデザイナー、ジョルジオ・アルマーニ氏の特集記事が載っていた。伊のファッション界ではジョルジオ・アルマーニとジャンニ・ヴェルサーチ、それにジャンフランコ・フェレの3名が「ミラノの3G」として君臨していたが、ヴェルサーチ氏は97年にショッキングな事件で逝去し、フェレ氏は2007年に病死、最後に残っていたのがアルマーニ氏であったがこれで“3G”は全てこの世を去ってしまった。

思えばアルマーニを知ったのはバブルが盛り上がって来た頃に見た映画「アメリカン・ジゴロ」から。あの頃は主演のリチャード・ギアが自室でアルマーニの服を鼻歌交じりにスタイリングするシーンを見て“私もいつかはアルマーニ”と皆が憧れを抱いたものだったが、男性のみならずこの頃には男女雇用機会均等法が施行され、女性も男性同様の地位を得られるとキャリア志向が強くなるのと並行してこのアルマーニを好むご婦人方が増殖したものだった。

アルマーニ氏が影響を受けたのはシャネルと聞いたことがあるが、なるほどシャネルは女性をコルセットから解放した事で有名で、アルマーニは従来のスーツには無かったやわらかい生地を用い芯地や肩パッドを外し身体に自由を与えたファッションはこの辺をオマージュしたともいえるか。同氏は衣服のみならず家具や化粧品、レストランに至るまで日本でも展開し故郷イタリア等ではホテルも展開するなどその名はライフスタイル全般に広がっている。

斯様に一代で築き上げたアルマーニ帝国だったが合従連衡が激しい業界にあっても巨大資本に入る事を拒み独立経営を貫いてきた同社も、報じられているところでは今後会社の株式を譲渡する候補としてあのLVMHモエヘネシー・ルイヴィトンはじめ他数社が挙がっておりIPOの可能性も排除しないという。同氏の旅立ちは単なる3Gの終焉でない規模だけに今後受け皿企業がどう動くのか、この辺からも目が離せない。


ポイントバーゲンセール化

周知のようにポイントを付与する仲介サイトを通じた自治体のふるさと納税の寄付募集が来月から禁止となることで、通常では年末に見られ光景である駆け込みが増加してきた。ポータルサイト各社もこれを最後の商機とみて、先月辺りから相次いでキャンペーンやPRイベントを打ち出すなどしており、残すところわずかとなった今月に入っても競争が激化している。

ザッと挙げても先月は「JRE MALL」が期間限定でJRE POINTを最大12.5%還元キャンペーンを展開、「ふるなび」はPayPay・Amazon・楽天・dポイント等と交換可能な(ふるなびコイン)を最大100%還元、今月は明日から月末まではふるなびWEEKで通常より寄付金額が安い返礼品がある。また「Yahoo!ふるさと納税」は先月に続く第2弾として抽選で付与されるポイントが今月末まで最大80%に拡大され、「さとふる」は今月末まで抽選で最大1000%付与(上限10万P)を展開している。

斯様な各社のキャンペーン効果でふるさと納税の比較サイトが今月アタマに発表した調査では、先月8月の寄付件数は前年同月比で1.35倍、寄付単価も1.37倍に伸びているという。ポイント廃止を控えての駆け込み需要が数字に表れた格好だが、今月も引き続き各社のキャンペーンやPR効果もあってこの先月の数字を更に上回る寄付件数が見込まれる可能性が高いか。

この数字的なものでは総務省が7月に発表した昨年のふるさと納税による寄付総額では、前年に続いて1兆円の大台を超えて5年連続でまたも過去最高を塗り替えている。またふるさと納税を利用した人数も1080万人とこちらも過去最高となっている。今回の駆け込み狂騒曲が終わった後の業界勢力図に変化は出てくるのか、また今後自治体に及ぼす影響は如何ほどになるかこの辺が興味深い。


基準地価2025

この時期恒例で日経紙第二部では今年の基準地価特集が折り込まれている。というわけで国土交通省がまとめた今年7月1日の土地取引の目安となる基準地価は、全国平均がプラス1.5%と昨年に続き上昇しこれで4年連続の上昇となった。用途別では住宅地がプラス1.0%、商業地がプラス2.8%といずれもバブル崩壊で下落した1991年以降で最大の上昇率となっている。

商業地上昇率トップでは昨年は台湾の半導体メーカーTSMCの工場進出で熊本県大津町であったが、今年も半導体絡みで次世代半導体の国産化を目指すラピダスが進出した北海道の千歳市がプラス31.4%でトップに躍り出た。同じく北海道では富良野市が住宅地の上昇率トップとなったが、こちらはインバウンド向けの別荘など住宅需要の増大が要因となっている。ちなみに全国最高地価地点は不動の「明治屋銀座ビル」となり、これで20年連続である。

都内の住宅地も港区赤坂1丁目では昨年比で15.6%上昇したが、インバウンド増加も密な関係で今年上半期の海外投資家による不動産への投資額は05年以降で最大となっている模様だ。円安や金利水準を背景とした“お買い得”感からその勢いは衰える気配を見せていないが、同じ港区の三田ガーデンヒルズなど外国勢力が暗躍し現在の価格は一昨年の分譲価格からはや約2倍に化けるなどしており、過度な投機には規制も検討すべき時に来ているのかもしれない。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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