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指数回復に寄与するか?

先週は経団連から東証プライム市場に上場している企業1625社の女性役員比率が今年の7月1日時点で18.4%だったことが発表されている。政府が掲げるところでは今年の中間目標が19%、経団連の会員企業712社は2.2ポイント上昇の19%とちょうどこの数値目標に届いてはいたものの、全体では去年より2.3ポイント上昇したとはいえこれには今一歩届かずという現状だった。

また政府は今年までにプライム上場企業の女性役員を1人以上にすることも目標としているが、39社は女性役員の登用はいまだゼロである。海外を見てみると米S&P500や英FTSE350指数構成銘柄は女性取締役の居ない企業はなく、いずれも取締役総数の3割を女性が占めているのが現状で、ノルウェーなど女性役員の数値目標を達成出来なかった企業には裁判所からペナルティーを課される政策を取った例もある。

ところで今年の日本の「ジェンダーギャップ指数」は昨年と変らずの118位であったが、調査対象148か国中で万年低位に位置している。うちこうした女性役員数などが影響する経済分野は112位であった。一方で政治分野は石破内閣で女性閣僚が2人にとどまった事で昨年の113位から125位に後退していたが、周知のように自民党立党70年で初の女性総裁が誕生し景色は少し変わったか。

加えて当の女性新総裁もその党と閣僚の人事では刷新感をアピールする意味でも女性の起用を過去最多にする方向で検討している事が一部で報じられている。こちらの政治分野ではランキング対象国の昨年の国会議員における男女平等所比率は過去最高となる33%に達している。今回の閣僚人事でこの辺が少しでも嵩上げされるのかどうか次回の結果と併せ注目しておきたい。


免税品にも転売ヤー

さて、今月は「国慶節」で1日から中国では延べ23億人以上が移動すると予測されている。先の土日も街では多くの中国人観光客を見かけたが、政府観光局によれば円安なども背景に旅行需要が高まっており8月の訪日外国人客数は342万8000人(前年同期比でプラス16.9%)と8月として初の300万人超えとなり、中国は5か月連続の増加で8月の100万人突破はコロナ禍後で初の事という。

インバウンドといえば“爆買い”が最近はトーンダウンしているとの報道が一部為されてはいるものの、街では依然としてハイブランドの大きな袋を幾つも携えている向きを多く見かける。観光庁発表によれば訪日客消費はここ10年で4倍に増えて昨年のそれは8兆円強に上っており拡大を後押ししてきたものに免税の存在もあるというが、この免税を巡っては近年免税で購入した商品の国内転売が少なくないという。

帰国時に詳細の確認が出来ないままに出国するケースが横行していることもあり、財務省の方では来年からリファンド方式を採用するとしている。消費税分を後から還付する方式だが、最近の転売ヤーは組織化しているケースも多く免税店とグルになったらこれまた“いたちごっこ”になるか。百貨店等はこの国慶節で売り上げの波を期待しているが、インバウンド頼りの施策も再考の時期に来ているか。


ノーベル賞ウィーク2025

今年もやってきたなという感じのノーベル賞ウィークだが、初日の「生理学・医学賞」は免疫反応を抑えるブレーキ役となる「制御性T細胞」を発見した大阪大学の坂口志文特任教授ら3人に授与されることとなった。この坂口氏、昨年のノーベル賞でも当欄では受賞候補として小胞体ストレス応答を解明した京大高等研究院の森和俊特別教授と共に名前を挙げていたのを思い出すが1年遅れで見事受賞となった。

ノーベル賞といえば関連株だが、今回の生理学・医学賞では中外製薬が挙がるか。同社と坂口氏が所属する大阪大学免疫学フロンティア研究センターとは10年間にわたる包括連携契約を2016年に締結しており、免疫抑制機能を高めた細胞を作る仕組みを解明したという。とはいえ既に同社は受賞思惑を囃して本日前場まで大きく7日続伸していただけに材料出尽くし感もあって引けではさすがに一服となっていた。

いずれにせよ日本人のノーベル賞受賞は去年の平和賞に続いて2年連続となり、この生理学・医学賞では免疫チェックポイント阻害因子の発見をした2018年の本庶氏以来7年ぶり6人目となる。今後のスケジュールは本日の物理学賞、明日が化学賞、明後日が文学賞、金曜日が平和賞、来週月曜日には経済学賞と続くが、さてまだ坂口氏の後に日本人の受賞が続くかどうか関連銘柄の動向とも併せ注目しておきたい。


価格転嫁とPB強化

10月となったが今月の値上げ状況も半年ぶりの山になりそうな気配で、帝国データバンクによる主な食品メーカーにおける今月の飲食料品の値上げは3024品目となり、今年4月以来6か月ぶりに3千品目の大台を上回っている。これで1月から10ヵ月連続で前年を上回る事となり、連続増加期間としては前月に続いて2022年の統計開始以降で最長を記録することとなった。

今月は食品分野別では「酒類・飲料」が2262品目で最多、遂に500mLペットボトルも200円時代の到来である。次いで加工食品の340品目、調味料の246品目と続くが、消費者における物価高への反発は根強く割安商品へのシフトといった節約志向が続いている。小売り大手もPBブランドのラインナップを増やしたり、定期的な値下げを行うなど節約志向に対応し価格競争力を維持すべく今後も低価格戦略を貫く姿勢を鮮明にしている。

今年の値上げは賃上げによる労務費など粘着性が高く国内経済情勢に起因した圧力が強まっており、特にこの人件費では昨年以降続いた賃上げによるコストアップが時間差で価格に反映されているとしている。そもそも食品セクターは業界別での平均年収が相対的に低い企業が少なくなく賃上げの流れは避けられない事態、そうしたことからこうした賃上げを起因とした人件費上昇からの値上げの動きはまだしばらく続くことになるか。


アメリカン・ジゴロ

先の日曜日の日経紙・TheSTYLEでは「アルマーニ氏を悼む」と題し、今月に逝去したイタリアのファッションデザイナー、ジョルジオ・アルマーニ氏の特集記事が載っていた。伊のファッション界ではジョルジオ・アルマーニとジャンニ・ヴェルサーチ、それにジャンフランコ・フェレの3名が「ミラノの3G」として君臨していたが、ヴェルサーチ氏は97年にショッキングな事件で逝去し、フェレ氏は2007年に病死、最後に残っていたのがアルマーニ氏であったがこれで“3G”は全てこの世を去ってしまった。

思えばアルマーニを知ったのはバブルが盛り上がって来た頃に見た映画「アメリカン・ジゴロ」から。あの頃は主演のリチャード・ギアが自室でアルマーニの服を鼻歌交じりにスタイリングするシーンを見て“私もいつかはアルマーニ”と皆が憧れを抱いたものだったが、男性のみならずこの頃には男女雇用機会均等法が施行され、女性も男性同様の地位を得られるとキャリア志向が強くなるのと並行してこのアルマーニを好むご婦人方が増殖したものだった。

アルマーニ氏が影響を受けたのはシャネルと聞いたことがあるが、なるほどシャネルは女性をコルセットから解放した事で有名で、アルマーニは従来のスーツには無かったやわらかい生地を用い芯地や肩パッドを外し身体に自由を与えたファッションはこの辺をオマージュしたともいえるか。同氏は衣服のみならず家具や化粧品、レストランに至るまで日本でも展開し故郷イタリア等ではホテルも展開するなどその名はライフスタイル全般に広がっている。

斯様に一代で築き上げたアルマーニ帝国だったが合従連衡が激しい業界にあっても巨大資本に入る事を拒み独立経営を貫いてきた同社も、報じられているところでは今後会社の株式を譲渡する候補としてあのLVMHモエヘネシー・ルイヴィトンはじめ他数社が挙がっておりIPOの可能性も排除しないという。同氏の旅立ちは単なる3Gの終焉でない規模だけに今後受け皿企業がどう動くのか、この辺からも目が離せない。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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