223ページ目   雑記

オルタナティブドラゴン

さて、先週末の日経紙商品面には「中国に投機資金、騰勢拍車」と題して製鋼原料の原料炭が、中国やオーストラリア等からの供給減を背景に中国大連商品取引所の原料炭先物へも投機マネーが流入し過去5年前の水準に迫るまで高騰している旨が載っていた。

先高観が強まった9月からは売買高も約7倍に急増し政府はメディアを通じて投機筋に警告を発し、今月に入ってからは先物の証拠金や取引手数料の引き上げ措置を取るまでに至っている。オルタナティブを探す投機マネーは政府の思惑を超えて動き鋼材市況に影響を与えるとも同紙では書いてあったが、もう一つ中国では現在ニンニクの卸売価格も1年前に比べ90%も上昇している。

この背景には冷害で主要産地の収穫量の減少を察知した投機筋が一儲けを企み買い占めに動いたとする説が流れているが、しかしニンニク投機で思い出すのが今から7年前に同じニンニクが対象になったバブルか。確かあの当時はインフルエンザに有効との材料をテコに価格は実に前年同期比で120倍以上まで跳ね上がり、その次に狙われた唐辛子も同約5倍にまで跳ねた記憶がある。

投機マネーとしてはポスト不動産というあたりも前回と構図が似ているが、暗躍している筋も所詮は関連投機筋。不動産の前には株式からの逃避があったがニンニク関連株だけはこの半年で約8割高となるなど循環しているあたりが毎度の回帰現象を匂わせる。買い占め用の倉庫を急造してしまう機敏さもさることながら、投機マネーにマッチするマーケットがある限り繰り返されるのは自然な流れか。


BEAUJOLAIS NOUVEAU 解禁

ご存知の通り例年この11月の第3木曜日がボージョレ・ヌーボー解禁日という事で、レストラン等からはそうした関連モノの案内等が今月に入ってから時折来て、昨晩はタイムリーに近所の酒屋でも「真夜中のワイン会」等と称したイベントが催され逸早くこれを楽しむ人だかりが見られた。

なんでも今年は春の天候不順で葡萄の成長が遅れたものの、夏場からは夜間に気温が下がり日中は日差しに恵まれる成熟に理想の天候となった模様。個人的にこの手に関して全く造詣が深くない私にはその辺の背景やらイベント招待の類に興味も湧かないが、渋谷での生産者団体のカウントダウンイベントでは数百名が盛り上がった様など報道されていた。

ボージョレ・ヌーボーを当欄で書いたのはかれこれもう10年以上も前の事で、確か当時鳴り物入りでオープンしたばかりであったゴードンラムゼイの強気な値段のワインを取り上げた記憶があるが、今やそのラムゼイも日本を撤退し店はない。それは兎も角も箱根では恒例のボージョレヌーボー風呂が始まり、都内では上記の如く各所でイベントが催されハロウィーン後のポストを少しずつ構築しつつある。


対話型へ変遷

本日の日経投資情報面には「日立、市場との対話重視」と題して、日立製作所が決算説明のみならず中期的に描く成長の道筋を分かり易く伝え安定株主づくりにつなげる狙いで、約5年ぶりに個人投資家向けの経営説明会の開催を始めた旨が載っていた。

これまでも当欄で触れてきたように、コーポレートガバナンス・コードとスチュワードシップ・コードが制定されより企業と投資家の「対話」がキーになってきたが、この辺は態度一変で先鞭をつけたファナックなど記憶に新しい。四半期毎の決算短信のみでIR部門さえ設置しないその閉鎖性が有名だったがWコード始動後IRは様変わりしこうして後に続いている。

斯様にコードの諸原則順守を心掛け多くの企業が後続しているが、先の投資ファンドによるさが美のTOB劇に見られたように黎明期?なだけにまだ末端までこれらが浸透している感はない。同紙マーケット面の大機小機にはWコードは海外からの輸入品で日本の実情には合わないとの意見も根強いと書いてあったが、上記の件等も含めどう変遷してゆくのか見守りたい。


未曾有ゾーン

世界が大注目した米大統領選だったが、周知の通りトランプ氏がクリントン氏との大接戦を制することとなった。しかし、世界が注目する大イベントといえばブレグジットの時もまさか離脱が現実のものになるとは誰もが想像していなかったものだったが、今回の大統領選も同様な構図であろう。

昨日のマーケットもこれを映し日経紙マーケット面で株安を警戒する動きからまとまった買いが入ったと書いてあった16,000円プットは、寄り付きの15円からトランプ氏優勢が喧伝された昼過ぎには205円まで暴騰。ディープアウトの14,000円台の行使価格も寄り付きの1円、2円から昼前には10倍〜15倍まで化けるのだから毎度イベントで勝負に出る向きはこの中毒からなかなか逃れられないのも理解できる。

ところで勝負と言えば前回のブレグジットでは英ブックメーカーの多くが大きな損失を被った模様が報道されていたが、アイルランドのバディーパワーは、既に先月から今回の投票を待たずクリントン候補に賭けた利用者に総額100万ドル以上の賞金を支払い始めていたというが、今回賭けには既に200億円近くが集まっている模様でこの辺はどう処理するのだろうか?

まあその辺は兎も角も、本日のマーケットは悪夢再来?の昨日から一転して今年最大の上げ幅で急反発とまさに「往って来い」となり、上記の16,000円プットも本日の寄り付きは2円と冗談のような紙クズ価格に。往って来いで往復ビンタを食らった向きも少なくはないのではと思うが、いよいよ未曾有の世界が始まる事になる。


結果待ち

本日の日経平均は5.83円安、後場に入ると殆ど凪のような相場展開であったが米大統領選を間近に控え取り敢えず模様眺めモード一色といった状況か。心理の方を覗いてみれば今年のブレグジット時よろしく先週末の日経VIは7月29日以来となる25.54まで上昇、ちなみにこのブレグジットの時は40超を見せていた。

米市場でもベンチマークとなるS&P500種は36年ぶりとなる9日続落を演じ、同指数オプションから弾き出されるVIX指数もまた週末まで9日続伸して週後半には節目の20の大台を超えてきている。それ以前の年明けの世界的株安時もVIは急騰した経緯があるがその山は徐々に低下し収斂型に見えなくもないものの、大化けを秘めるオプション等々虎視眈々と「落ちるナイフ」を狙う向きは多い。

いずれにせよ明日の前場には開票作業が進み途中経過等を見ながらそれ如何でマーケットも乱高下というところで、大方の予想通りになったとしても僅差の場合はまた再集計やら訴訟やらの可能性で上記恐怖指数も高止まりリスクパリティ戦略への警戒もまた燻り続けるという事態も考えられるが、先ずは世界が注目する結果を見てみよう。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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