229ページ目   雑記

這い上がり

昨日の日経紙夕刊マネー底流潮流には「伝説アナリストに映る東芝」と題して、上場廃止の文字もちらつき始めた東芝に対して復活する可能性は十分とエールを送る起業支援などを手掛ける産業創成アドバイザリーである元アナリストの意見が出ていた。

同氏は国内外からの人材受け入れ、コングロマリット体制を解体したうえでの経営資源の集中が必要としていたが、仮にこれが適うならば一度は地に落ちたものの鴻海に買収され構造改革を断行、その結果第3四半期純利益は黒字化し先月には今期業績予想の上方修正までしたシャープ同様の株価復活劇を期待する向きも出てくるだろうか。

この国内外からの人材受け入れだが、シャープの時は技術力・人材流出を危惧する声が蔓延し国家救済擁立の報道が目立ったものだったが、シャープの復活を鑑みるにマスコミ含めこれまでの日本的経営の特異性が浮き彫りになっていた感がしないワケでもない。所謂「世界標準」と大きく相違していた部分が今後是正に向かうのか否かこうした観点から綱渡り企業の行方が注目される。


仮想の限界

さて、今月に入ってからビットコインの相場が2013年以来の最高値まで急騰して遂には金相場を抜いた事が話題になっていたが、先週末の日経紙夕刊には「ビットコイン急落」との見出しで、米証券取引委員会(SEC)がビットコインのETFを認めないとの決定を嫌気し10日には史上最高値から3割近く急落する場面があった旨が一面を飾っていた。

山高ければ谷深しの格言通り、ビットコインは年初の中国ショックの後は一貫して上昇基調を辿り今月に入り上記の通りの金価格をも上回る急騰で話題になっていたが、上げに拍車がかかったのもそもそもこのETFが初めて認可されるかもしれないとの思惑が背景にあったからに他ならない。

これが認可となればそれこそ金ではないが原資産にタッチする予備段階としての投資家層の裾野が格段に広がる可能性を秘めていたと思うが、やはりいくら旬のモノとはいえ政府による信用の裏付けも無ければその設計、ボラタイルな値動きに対するトラッキングエラーの問題などハードルは高かったという事か。

発行体を持たない事でソブリンリスクが意識される局面では金と共に括られてきたが、これで一先ずはETFの話はお預けとなった格好。決算手段も徐々に広がりを見せ同様に投資需要も盛り上がりを見せている最中、ETF申請の一件によって金と一括りに出来ない仮想の部分を見せられた感がする。


再考手段

昨日はこの時期優待権利取りに絡み売り繋いだ中小型株の逆日歩が急騰する例もある旨に一寸触れたが、本日の日経紙マーケット面には「空売り個人、試練の春」と題して信用売り残高がトランプラリーが始まった昨年11月上旬より3割多く、逆張りで売り手に回っていた個人にとって4月からの新年度相場は1兆円近くの規模を抱えて試練になりそうな旨が書かれていた。

冒頭には東芝と並んで東証一部で売り残高4位の丸紅が挙げられていたが、トランプラリー当初より空売りを仕掛けた場合はコストから推測するに昨日段階で7%強の含み損を抱えている旨が書いてあった。この丸紅といえばここ最近俄かに増えてきた空売りファンドの一つウェル・インベストメント・リサーチが、巨額の減損リスクを謳い昨年売り推奨した事があったのを思い出す。

このウェル・インベストメント・リサーチも今月あたまの日経紙に「売り推奨 株高呼ぶ」と題した文中に登場していたが、同じ商社で別なファンドに売り推奨された伊藤忠商事など売り推奨リポートをテコに株主還元策を打ち出し、株価がリポート公表前を3割上回る水準まで上昇した経緯がある。

他にも売り推奨をテコに株主還元の強化が意識され巡り巡って株高を呼んだケ−スが挙げられていたが、コーポレートガバナンスコードを背景にし上場企業に手元資金の使い道を再考する切っ掛けを与えたという面ではかつての村上ファンド等と同等の緊張感をもたらしているだろうか。


あれから六年

あの東日本大震災が発生してから先週末でまる6年を迎えた。復興庁によれば避難者は前年比減とはいえ12万3千人に上り、行方不明もいまだ2,553人もいるのが現実だ。例年この時期になると各所でイベントやら物販、募金まで様々な活動が盛んになるが、政府も復興財源など無駄の無いよう予算采配を願いたいところだ。

渦中の東電福島第一原発の廃炉作業に中心的な役割を果たしている東芝も延期した明日の決算発表でさえ流動的なほど綱渡りの状況、膨らみ続ける米WHの損失が支障とならぬかも懸念材料に浮上しているほか、風評被害にしてもいまだ福島産の野菜や和牛、果物に至るまで震災前水準に及ばず伸び悩む状態が続いている。

この辺に関しては星野リゾートの社長など福島県の県名変更の覚悟も已む無しとの意見まで出ているが、一方で多くの企業が被災した東北では経営者の新陳代謝や起業が活発になっている旨も日経特集記事で載っており、電子部品メーカーの向山製作所など私も別な部分で名を知っていただけにその中でも目に留まった。

この会社、本業の陰りを危機と捉え独自のクリーンルーム技術の応用で副業としてスイーツに乗り出し、その品は先月の当欄でも取り上げた「サロン・デュ・ショコラ」で好評を博し今や売上の5割を占める事業に成長している事で有名。遅々として進まぬ懸案が山積みな一方、斯様な新陳代謝の息吹きも着実に芽生えている。


特A増殖の裏で

さて、今週気になった新聞記事といえば週明けの日経紙夕刊一面で「新潟産コシヒカリ43年ぶり安値」と題して、消費減少や39年ぶりの豊作等でこれまで代表格であった新潟産コシヒカリが43年ぶり安値にまで落ち込んでいる旨の記事であった。

また競合するブランド米の増加も背景にあるようだが、確かに最近百貨店の食品売り場等を通る度に新ブランドの売り込みがやたらと多くなった気もする。ついこの間までお偉いさん方が上京しトップセールスしていた新品種の試験品が姿を消し、早くも別の新ブランドの販促に余念がない様を見るに飽食化を感じないわけでもない。

そういえば週明けの日経MJでもコメの格付けである食味ランキングにおいて最高評価に新顔が3県入り、中でも神奈川に至っては初出品で獲得するなど当事者も予想外の結果だった模様で、今年は結局のところ特Aが過去2番目の多さであった旨の記事もあった。

最近では高齢化だけでなく若年層も糖質ダイエット等の流行りから米も敬遠され冒頭の通り消費も落ち込んでいるが、特A獲得で起死回生を狙う向きは多い。ふるさと納税返礼品等も最近ではブランド米の品揃えが各所充実してきているが、その裏で冒頭のように代表格の牙城が崩され業務用不足の問題も出てきた模様で今後これらのバランスをどう取ってゆくかが課題となるか。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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