261ページ目   雑記

取引多様化

先週末の日経紙一面には「日本株売買シェア外国人7割超」と題して、乱高下が続いたここ最近の乱高下相場で概ね60%台だった外国人投資家の売買シェアが9月第一週には72.5%に跳ね上がり、実質最高を記録した旨が載っていた。

その背景にはここ最近の値動きの荒さを好機と見たヘッジファンドの活発な動きがあるが、斯様に乱高下が投機勢を増殖させるのかはたまた投機勢が乱高下を誘発するのか何れにせよ鶏と卵ではないがこれらは相互に関係。東証が新システムを導入した2010年以降は相次いでこの手のコンピューターで高速、高頻度に取引する海外勢が日本市場に参入し増加している事が伝えられているが、日本取引所の自主規制法人は今月に海外投資家の株式売買を専門に監督・審査する「国際審査室」を新設。

この手の取引が普及するに伴い分散注文から果ては国境を越えた取引まで取引実態の見えにくさが際立ってきたが、これまで売買審査部のスタッフが全て審査していたものを細分化する試み。これまで証券取引等監視委員会等の機能にしても日本は長年その手薄さがいわれてきたが、この辺のマンパワー拡充も市場成熟と共に課題になってくるか。


ベンチャーとホットマネー

昨日の日経紙夕刊の一面を飾っていた記事に「米投資会社が日本進出」と題し、米シリコンバレーに本拠を置く有力ベンチャー投資会社の500スタートアップスが日本に進出する旨が載っていた。政策や円安も追い風に成長が期待できる日本のベンチャーを発掘するという。

こうした有力ベンチャーでは米グーグル系が出資する教育ベンチャーが英会話ベンチャーの買収などを決めていたが、教育系ベンチャー企業対象10億円のファンドを今月設立したコマンドエヌなども500スタートアップ同様に米シリコンバレーの投資会社傘下で今年2月に設立され上場株式の取得に動いている。

例えば先月時点で学習塾を運営する東証一部の秀英予備校株式の9.75%を保有している事が判明しているが、この大化け効果の覚えで新たに発行済み株式の14%の大量保有が明らかになったエスケイジャパンは昨日のストップ高に続いて本日も2日連続のストップ高と破竹の勢いである。枝葉が分かれてホットマネーの流入も様々だが、末端への波及効果も投資への起爆剤となっている。


巨大企業の呪縛

昨日は村上ファンド等に絡めコーポレートガバナンスコードについて触れたが、会計不祥事のゴタゴタの影響で前期決算発表が遅れに遅れた東芝が各所の人事を見直し、このコーポレートガバナンス改革も打ち出すことになった。

とはいえ今回の会計操作の事件は、つい先週の2020年オリンピック・パラリンピック競技大会エンブレム使用中止騒動と同様にどうも責任の所在が有耶無耶にされたまま幕引きが為されてしまう気配が濃厚だ。日経の社説にもこの問題を日本市場の不信につなげるなと書いてあるが、この手の企業にありがちな呪縛は容易には是正されないというところか。

ところでマーケットの方だが、特設注意市場に指定する方針という。過去記憶に新しいところではオリンパスやその前のIHIのそれがあったが、経済界の重鎮を数多く輩出した企業のこんな失態で頼みの外人勢への心象というか市場全体へのイメージもまた懸念されるところで、これらの払拭が急務になってくる。


双方襟を正す

本日の日経紙金融面には「取締役選任に厳しい目」と題して、6月の株主総会において主な資産運用会社のうち半数で取締役選任案への反対や棄権の比率が高まるなど、投資先の企業統治や収益力に厳しい目を注ぎ始めた旨が載っていた。

取締役選任案への反対といえばこれより先に話題になったのがやはり黒田電気の臨時株主総会だっただろうか。この辺に絡んでは7月に当欄でも「血は争えない?」と題し物言う株主としてかつて一世を風靡した村上ファンドを取り上げたが、同ファンドが推していた同社の社外取締役の株主提案は60%の反対で否決される結果となった。

復帰戦第一弾は黒星?となった格好だが、そもそもこうした復活劇の背景には今年のコーポレートガバナンスコード適用に再度商機を見出したという部分も大きいだろう。とはいえ上記の通り思惑通りに事が運ぶというワケではなく一筋縄ではいかないものの、企業側も当然ながら従前の対応は通用しなくなっている。

上記二様の株主は全く異質のカラーではあるが生保も会社提案に反対票を入れるケースが出始め、村上ファンドも結果こそ黒星とはいえ議決権行使助言会社大手の一つは賛成推奨の結論を出している。コーポレートガバナンスが北風政策になるか太陽政策になるか今後も折に触れその真価が問われる場面が出てこよう。


53年の歴史に一旦幕

今週あたまの日経紙・春秋には、建て替えの為に営業を一旦休止する「ホテルオークラ東京」本館の事が書かれていたが、帝国ホテルやホテルニューオータニと共に日本を代表する「御三家」名門ホテルの本館が31日、ロビーで行われた記念コンサートと共に53年の歴史に一旦幕を閉じた。

取り壊しが決まった他の有名建造物同様にこのオ−クラ本館もオークラ・ランターンや梅の花を模した家具、壁の多胡石、西陣織の屏風壁等々幾つもの日本美術の粋を結集させた建造物なだけに、国内外から多くの著名人が取り壊しから救おうと嘆願の動きが見られたが、やはり次世代を睨んで世界レベル水準を標榜するには老朽化の問題は避けて通れなかったというところだった。

このオークラ開業は前回の東京オリンピック2年前の1962年であったが、今回も東京オリンピックの1年前の再開業を目指すという。この赤坂・虎の門エリアではキャピトル東急や赤プリ、それに六プリもその元々の姿が消えてしまったが、相次ぐリニューアルの背景にはインバウンドも睨み名立たる外資勢に対抗し得るブランド価値向上の意図が見え隠れする。

御三家と外資勢、利用してみると本当に良くわかるのだがそれぞれそのホスピタリティは全くカラーが違う。そういった観点から贔屓筋の客層は被らないと思うが、外資勢とはまた違った独特の色という武器を大切にし継続出来てこそ日本ブランドの価値が一際光るものとなろうか。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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