261ページ目   雑記

クジラ相場

昨日の日経紙には「日銀、株保有10兆円に」と題して、年3兆円のペースで株式を買い増している日銀の保有株時価が今月に入って東証時価総額の2%弱の10兆円を超え、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)に次ぐ大株主となった旨が載っていた。

その買付方法を巡っては具体的な方法が明かされておらずベールに包まれているが、市場ではこれまで前日比1%下落したら買いが入る云々の所謂日銀ルールが度々話題になってきたものだ。今年に入ってからその買い入れ回数は20回になったと同紙には書いてあったがこの執拗な買いが時折踏みを誘いこれまで下げるほどその後の相場の伸びを演出してきた。

ところで大発会はその年の相場の特徴が表れるとよく言われており、今年の場合大発会で前日比200円以上急落していた場面から300円以上も切り返すなどボラタイルな展開となったがその背景はいわずもがな日銀のETF買いであった。これら含めいつの間にかクジラと呼ばれる公的マネーの影響で直近では円相場から米株式W離れまで喧伝されるほど妙な安心感が蔓延している。

しかしその裏で当然ながら並行してこうした官製相場の弊害も同時に指摘され、1990年代の所謂PKOを想起させている事で今後の低迷を懸念する声も多い。もちろん当時とはPER等の指標も相違しており同一線上では測れないが、健全な調整まで意図的に阻止し続ける事になればやはり特異市場が形成され、クジラが政治的利用との烙印を再度押されてしまうのは想像に難くなく日銀の出口戦略等も今後注目されることになる。


こちらも転換

さて、本日の株式市場では先週ディー・エヌ・エーと共にストップ高まで買われた任天堂がその後の一服から再度切り返していたが、先に共にストップ高の急騰を演じたのは周知の通りスマホ向けゲームを共同で開発・運営すると発表した事が手掛かりになっている。

任天堂といえばマリオで知られるように世界的人気のキャラクターを多く擁していたことで長らくスマホへの参入が期待されていたものの、経営陣側はスマホゲームの類はコンテンツデフレが激しい等の理由からこれまで慎重姿勢が貫かれておりこの辺の転換がポジティブサプライズとなっている。

同じ値嵩株で最近急騰劇を演じたのはファナックであったが、それの起爆剤になったのは先週はじめにに書いたように長年その閉鎖性が有名だった同社の対話路線への転換。同様の値嵩株にしてストップ高比例配分までになったのには上記の対話路線に転換したファナックレベルのインパクトを市場に与えたということになる。

京都の名門企業にして長年低迷する株価をそのコード番号から「泣くなよ」と揶揄される事もしばしばあったが、この株価急回復が持続性のあるものになるのかどうか、これからの戦略で真価が問われることになりそうだ。


今更ながらの風説流布とか

昨日も書いたように今週はトヨタ自動車やファナックが急騰し上場来高値を更新、日経平均やTOPIXも相次いで年初来高値を更新となったが、全般がやはりまともな?主力に傾斜してしまっているので、貸借取組を構築しながら持続性のある相場展開をする中小型仕手系も最近は持続性の無いモノになってしまっている。

さて、そんな材料株の数々を数年前に手掛け頻繁に放り上げていたインターネットのサイトを元に「風説の流布」の疑いがあるとして、証券取引等監視委員会は先週にバブル期に仕手筋として知られた某氏の関係先を金商法の疑いで強制調査し関係資料を押収した旨が伝えられている。

今頃になって?という感もあるが、同サイトといえば開設当初は新日鉄等あたりさわりのない?物を交え複数銘柄をサラリと触れるにとどまっていたが徐々に材料系の詳細に傾斜するようになり、近年取り上げた大証時代の新日本理化は株価約5倍化、次のルックは連続ストップ高、最後に手掛けたとされる日本カーバイド工業まで次々と商いを集めさながらそれは昔の解体劇を彷彿させるようなものであった。

この手のように第三者によるH・Pや雑誌等を通じて株価変動させたとして監視委員会が動いた例として思い出すのが、昔あったギャンぶる大帝(懐かしい!)なる雑誌。占いによって選定したというボーソー油脂、森下仁丹、そして今は市場から姿を消した熊沢製油が発売日に異常ともいえる買い物を集めストップ高になったのを思い出すが、この手は風説と相場変動の因果関係立証困難な事で見逃される例がこれまで多く今回の行方が非常に注目される。


対話型転換

先週末には日経平均が2000年4月以来ほぼ15年ぶりに19,000円大台を回復したという事で、週末の日経紙などこの件が一面を飾っていた。業績改善を追い風に企業が相次いで賃上げや成長投資にお金を使い始めており、消費を刺激し景気を押し上げる好循環への期待が高まり、こうした企業変化が海外マネーを呼び込んでいるのが急ピッチな株高の原動力という。

確かに先週後半の日経平均大幅続伸で高値警戒感は否めないところだが、この背景にあるのは寄与度の高いファナックなどの急騰がその構造上やはり影響しているか。ところで同社急騰の背景にあるのがまさに上記の「企業変化」で、株主との対話路線に転換するとの方向転換報道が俄かに注目され更に一段高の原動力になっている。

確かに同社と言えば主力企業の中でもこれまでIR部門は設置されておらず、株主対話は四半期ごとの決算短信に限られ、その株主総会も首都圏から3時間前後かかる山梨の村で且つ集中日に開催されるなどIRに極めて消極的な話が有名であった。先月も当欄で米投資会社サードポイントが保有した同社を取り上げたが、最近増殖しつつあるこうした姿勢の変化を見るに目先の高値警戒感は兎も角も全般割高論が修正される部分が出てくるかもしれない。


奇特な投資家

さて今週の日経紙企業面では「スカイマーク遠い再浮上」と題し、同社が破たん後の支援に名乗りをあげた企業との本格交渉に入った旨の記事を目にした。とはいえ候補企業や債権者等の思惑が複雑に絡み合い、その決定は当初目標とした2月から大幅にずれ込み今月いっぱいまでかかる模様という。

ココが破綻し株式市場からその姿を消してから早いものでそろそろ2週間が経つが、それにしても今回驚きだったのは最終売買日の終値が14円と異例の二桁であったことか?同じ航空会社の破綻と言えばJALの時もまさかの衝撃であったが、当然ながら同社も最後は1円になるなど通常はほぼ100%の減資で現存株式は無価値になるのが普通で最終売買日にして寄り付きの20円台は理解に苦しむ。

信じ難い現象ということで記憶を遡れば、かつて同じ東証一部に上場していた持ち帰りスシの京樽も確かパンクした後にとんでもない急騰劇から破たん前の株価を回復したのを思い出すが、コレクションの線でいっても今は株券も電子化になり昔のようにペーパー券面を手元に引くのも不可能なので過大な再生期待が背景にあったと思う。

そんなワケでこれも破綻後の珍現象として今後語り継がれるだろうが、まあいずれにしても奇特というか勘違い投資家のお蔭で同社前社長など思わぬ売却代金を手に入れることが出来たのだから、事業は破綻してしまったものの敗戦処理ではまさに不幸中の幸い?という格好になっただろうか。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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