278ページ目   雑記

政治格付け

本日の日経紙国際面には「米S&P、1,760億円で和解」と題して、米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズが2008年の金融危機の一因になった住宅ローン担保証券の格付けを巡る訴訟で、総額15億ドルを米司法省はじめとし19州政府や米最大の公的年金のカルパース等に支払うことで昨日和解した件が載っていた。

さて米の格付け機関といえば双璧のムーディーズがあるが、このムーディーズも2008年の金融危機発生前に自社業績を優先させ証券化商品により本来より高い格付けを付与した疑いがあるとして、米司法省が調査している旨を今月はじめのウォール・ストリート・ジャーナル紙が伝えている。

こうなってくると自国の最高格付にはじまり、本邦国債も既に中国や韓国を下回る水準に置かれるなど随分と不遇な扱いを受けているのも改めて何だかなという思いもあるが、今回の訴訟では同社の行為に違法性を認めることなく和解に至っている。この辺に意図的な政治背景を感じられなくもないが、そう考えるとモノは全く違えど何故か証券会社のレーティングからはてはミシュランまでがふと頭に浮かんでくるものだ。


壁の厚さ

本日付けでヴァージンアトランティック航空が日本から撤退しその25年9ヶ月の歴史に幕を下ろしたが、エアライン関係と言えばもう一つ入ってきたビッグニュースには先週29日に各紙面を飾った国内航空3位のスカイマークが民事再生法の適用を申請した件がある。

つい最近当欄では昨年の上場企業の破たんゼロと書いたばかりであったが、これで早くも今年の第一号が出てしまった。これは2013年8月にパンクしたジャスダックにあった物流会社ワールド・ロジ以来となるが、パンクまでドタバタが続いていたロジ社同様にこのスカイマークもここ最近はJALやANAとの提携交渉話が二転三転するドタバタ劇が続いていた。

もともとあのエアバスの件で昨年から経営不振が続いていたものだったが、此処までに至ったのにはJALの時同様今回も国土交通省絡めた政治によって翻弄された背景がある。破綻回避へ期待を持たせる話が出る度に乱高下を繰り返した株価を見ていると、まさにJAL破綻の時を彷彿させる。

しかし、今でこそ規制緩和を背景に新興勢が第三勢力を目指しての参入であったが、日経春秋にも出ていたようにかつてあの東急も大手2社と対抗すべく東亜国内航空(懐かしい!)を作ったものの志半ばでJALに吸収されてしまった経緯があり、やはりこの壁は時代を経ても破れない厚さなのか。


ブランド育成の違い

今週は所用で丸の内方面に出向いたのだが、そろそろ冬のセール関係も終盤となる中でもバーバリーの賑わいが一際目立っていた。このブランドといえば三陽商会だが先に発表のあった通りライセンス契約期限切れの影響で同社製の冬物が買えるラストチャンスという事もあるのだろうか?

同社は契約終了後にこのブランドの売り場を新ブランドに切り替え、売上で2割強を占めていたこの穴を埋めてゆくという戦略だがこれら両者を前に大手百貨店がどういった立ち位置を取るかなども今後気になる。対して当のバーバリーも今後3年で店舗数を現在の2〜3倍にする戦略とか。

そういえば直近では先週末にも中堅アパレルのルックが、米ブランド(トリーバーチ)の独占販売契約を今年7月末で終了する旨の発表をしていたが、以前にも書いたようにこんなアパレルから果てはチョコレートまでライセンス契約見直しが近年は彼方此方で目立つようになっている。

ブランド本体もオプションのロングよろしく損失限定・利益無限大?の立場を盾に本邦側と持ちつ持たれつの関係であったが、近年のこうした動きに大衆的なプレミアムブランドからラグジュアリーブランドへ啓蒙を急ぐ焦りがやはり見え隠れする。今更ながら多数のラグジュアリーブランドを確立してきた欧米勢のスタイルを感じるが、この辺こそ一番日本に欠けている不得手部分なのではとあらためて感じる。


副作用転じて

さて、最近ではライブドア事件や豊田商事事件が取り上げられていた日経紙(日曜に考える)の頁だが先週はあの薬害エイズ事件が取り上げてあった。非加熱製剤で感染した血友病患者らが国と製薬会社を訴えた過程は当時何度も放映され今でもその光景が思い出される。

この件で当時渦中にあったミドリ十字の株価暴落の様子も同様に思い出されるが、同社は後にこちらも今は市場からその姿を消した吉富製薬に合併され、その後は三菱ケミカルの子会社になった後に田辺製薬と合併するなど再編が進むなかで大手に合併を繰り返されその法人格は今やきれいに消滅している。

ところで、同紙に併せて載っていたリスクのない薬はなくかつての副作用が効用になることもあるという部分も目に留まり、副作用のあったサイリドマイドが多発性骨髄腫治療薬として使われている例が載っていたTが、もっと柔い?ところではもともと高血圧やら前立腺の治療薬として使われていたものが今や発毛剤で大活躍している。末尾に書かれていた薬害の歴史は薬の有効性、安全性を高めるための最良の教科書という一文が印象的であった。


変わらぬ手口

さて、先々週の日経紙(日曜に考える)では、2006年のライブドア事件が取り上げられており当欄でもこれについて触れたが、先週のそれは1980年年代に世間を騒がせたあの豊田商事事件について取り上げられていた。

当時はちょうど彼方此方横行していた私設市場を懸念し商品取引所法の改正がありこの辺がこの手の業者が蔓延るようになった背景でもあったが、金だけでなく枝葉を広げてベルギーダイヤモンドや鹿島商事などダイヤモンドからゴルフ会員権まで扱う雑食企業、最後は会長が襲撃されその後事件の全貌が次々に明らかになってきたが今でも当時の様子は生々しく思い出される。

同紙の見出しには「悪質商法の源流 詐欺師の養成所」と題してあったが、企業名から始まりテレコール部隊やらそのシステム化された営業手法、異業種への進出意欲など今や消えていった業界大手も考えてみればまさにこれの映しだったような気もするが、そういえばこの豊田商事が商品なら時を同じくして投資ジャーナルという株式版もあったなとも思い出す。

それはともかく何れにせよ一見無数に見える詐欺手法も基本部分は今も昔も変わっていない。近年起きている詐欺的事件もカラクリは至極単純ながらそれでも実際に広い年齢層が釣られ被害者として毎回毎回多数出てくるのも不思議だが、今更ながら最大の防御は金融リテラシーを先ずは各々磨いておく事だろうか。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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