294ページ目   雑記

御三家も欲しい?

今週の日経紙・GLOBAL EYEには「伊ファッション「稼業」岐路」と題して、イタリアのファッション界を代表するヴェルサーチとアルマーニの同族経営二社が脱家業への分岐点を迎えている旨が載っていた。

惜しまれつつも紀尾井町の旗艦店が閉鎖したヴェルサーチは近年徐々に都内で復活の兆しを見せているが、同紙にも書いてある通りここは創業家が株を放出しあの米ブラックストーンが同株の引き受けと第三者割当増資で約300億円を投じる。一方のアルマーニは時おりその動向が報じられるもののいまだ創業者が全ての株式を保有している。

上記のヴェルサーチとアルマーニそしてかつて肩を並べたフェレで3Gと称され伊御三家であったものだが、ブランドグループの御三家といえば今はさしずめ「LVMH」、「ケリング」、そして「リシュモン」だろうか?これらの間で有名ブランドを巡り次々と買収劇が繰り広げられてきたがこれも過渡期に入り残っている非上場のブランドは今や希少価値も高まり垂涎の的ともいえる。

この辺はアルマーニ然り、同じイタリア勢からはドルチェ&ガッバーナあたりもこの部類に入るか。ファンドから出資を受け入れた上記のヴェルサーチは既にイグジットの思惑も絡み上場を視野に入れているが、そういった意味でこれら非上場ブランドの動向はファッション界に限らず寧ろそれ以上に今後は金融界から注目されるのではないだろうか。


よくある事件

本日は、伊藤忠商事の出向社員が会社の資金約7億円を横領しFXにつぎ込んでいたとの報が各所で報じられていた。FXもすっかりポピュラーになったこともあってかここ近年は着服した会社の資金のつぎ込み先が判で押したようにFXというパターンが非常に多い。

ザッと拾っても昨年は京都の産業ロボット会社経理担当者が会社の資金計1億円超を着服、名古屋の鋼材販売会社の管理部長が会社の資金約3億円を着服、その前は山形の元経理部長が会社資金約9億円を着服、更にその前は近鉄子会社経理課社員が会社の資金10億円超を着服、何れもつぎ込んだ先はFX取引と報道されている。

大きなところでは預金管理を請け負った不動産ファンドから30億円もつまんでFXにつぎ込んだ公認会計士も居たが、規模の大小はあれどやはりというかどれも経理関係の人間で内部統制がそれなりにありそうな会社で何故こんな容易に犯罪が成り立つか不思議でもある。

これは投機している本人に聞いてみなければわからないものの、推測するにやはり一刻も早く元に戻さねばならぬヒモ付だからだろうか、不安定な精神状態で短期決戦の大勝負で臨んでしまい報われない投機になってしまったパターンが多いのかもしれない。そう考えるといろいろ出てきている条件付きながら面白そうな信用取引のサービスも心理的にはこれと似た部分もあるなとも思ったりする。


ハラル

先週金曜の日経紙一面には「日本初ハラルファンド」と題して、イスラムの戒律に沿って投資する「ハラルファンド」が、広銀等の出資でベンチャー投資会社とマレーシア政府系投資機関等の組成によって日本で初めて誕生した旨が載っていた。海外輸出を目指す日本の食品企業などに投資し、製品のハラル認証取得をはじめイスラム圏での事業に不可欠なノウハウも提供するという。

このハラルだが大使館の多い麻布・広尾近辺のマーケットではハラル認証製品が前々から並んでいるのは目にした事があるものの、しかし最近はハラルに関する報道が多い。昨年暮には成田空港ではVIPラウンジ等でハラルミールのケータリングサービスの提供を開始し、更には今年の夏までには専用キッチンで調理された料理を提供するハラル認証レストランを導入する予定となっている。

またエアラインの方もANAなどではマレーシア拠点で世界最大のハラル機内食プロバイダとの業務提携を開始、今後は自前調理でそのメニューラインナップを広げるというが、これまで人気店の導入や炊立ての提供など食に関して他社に抜きん出た試みを行ってきた同社だけにこんなところも注目される。

そうそう食といえば、あの京懐石の美濃吉もハラル御膳やハラルコース、懐石を既に提供している。ホテルも礼拝のセットをそろえているところも多くなったというが、東京オリンピックも決まり、その数20億人前後とされる市場規模は日本円で50兆円とも試算されるだけに各業界も斯様な対応を必要とする段階に入ってきているということなのか。


会見に想う

周知の通り本日は、STAP細胞騒動に揺れる理化学研究所のユニットリーダーが大阪市内のホテルで記者会見を行った。私も思わず見てしまったが、あのノーベル賞を受賞したIPS細胞より簡単に作製出来ると衝撃の発表から数か月、よもやこんな会見を開くとは誰も予想でしなかっただろうが真理はベールに包まれたまま時間がかかりそうだ。

しかしどんな時代でもその期待を映してすかさず反応するのは株価や商品など値段。1月の発表時には日経平均が新興国からの資金流出懸念の再台頭で土砂降りの急落をしている悪地合いのなか、このニュースでバイオ株はそれぞれおもいを込めて大商いで上昇したものだった。

しかし思い出せばあのプラチナやパラジウムを連日乱高下させた常温核融合発見の報だって当初より懐疑的な見方が燻り、いまだ工業などに転用できるような核融合は成功していないがそれでも粛々と研究は続いている。現状ではまだ関連企業や商品の価格変動要因の材料にしかなっていないが夢は捨てず長い目で見てゆきたいものだ。


匿名組合という隠れ蓑

さて、週末の日経紙には「一般投資家へ販売規制」として、従来投資のプロである機関投資家を対象とするため規制を緩くしていた投資リスクの高い所謂プロ向けファンドの販売を、投資経験の乏しい向きへの販売などでトラブルが急増していることを理由に投資家保護のため規制強化する旨が載っていた。

これまで機関投資家が1社投資していれば49人まで勧誘・販売がフリーになっていたが、この要件が金融資産3億円以上など一段と引き締められる案になっており、VCなどのマトモな関係者までもがこのハードルを前に投資が適わないというような事も想定できるというが、やはり一番の要はファンドも投資家もその中身だろうか。

いまだ手元に懐かしい目論見書があるが、一昔前に組成された私募のなかには細かいことを言えばいろいろ証取法上突っ込みどころも出たであろうものの、本当に物凄いパフォーマンスを叩き出した物もあり、またそういった商品は極めてハードルの高い人選がなされたものだった。近年では節操なく大多数に販売したり、果てはその資金流用まで明るみになっているモノが発覚したりと詐欺的色彩のモノが横行しているのは なんとも残念な光景である。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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