299ページ目   雑記

輸出国健在

さて、先週のFOMC後の会見でFRB議長が量的緩和縮小に言及、具体的見通しが嫌気され今年最大の下げ幅を記録した株式相場と共に急落しているのが周知の通り金相場。昨晩も力なく反落し、この3日間でざっと100ドルの下落を演じている。

まあ下落は別に直近で始まったワケではなく、年初から見れば随分と値位置も変わってきたものだが、こんな状況下でも依然変わっていないなと思ったのは金の輸出傾向で、この間つまり今年1月から4月の金輸出入量は実に約56トンの輸出超過になっている。

ちょうど一週間前の火曜日の当欄では「粛々と積み増し」として、新興国を中心とした世界の中央銀行の金買い意欲が依然として衰えていない旨を書いたが、本邦勢はこれらとは対照的に依然我が道をゆくといったところか。2年ほど前に金は歴史的に国力のある国に動くと書いたが、さて今後どういった構図になりますか。


その違いが判りますか?

さて、昨日のマックに続いてもう一つ今週は食の話題として港区内の4つのプリンスホテルが、チリ産牛肉のローストビーフを国産としたり、ハンガリー産のフォワグラをフランス産と表示するなどの実際の食材とは異なるメニュー表示をしていたと発表していた件があった。

この手では直近でもディズニーシーのミラコスタでブラックタイガーを車海老とし、またアンバサダーホテルでは国産鳥を地鶏としていた問題が発覚したばかり。こう立て続けに出てくると直ぐに記憶が蘇るのが2007年に続出した食の偽装ラッシュか。幾つも出た中で大阪の船場吉兆など九州産牛肉を但馬牛と謳って販売したり、地鶏が実はブロイラーだったりと名門なだけに話題になったものだ。

これと前後して秋田の比内鶏や名古屋の名古屋コーチン、また魚沼産コシヒカリまでいろいろな表示偽装が発覚してきたが、思うにどれだけの消費者が明らかに味の違いを感じ疑問を呈しただろうか?あのミシュランガイドでさえ二つ星を与えたヒルトンのトゥエンティ・ワンも山形産牛を前沢牛としていた産地偽造が発覚して結果店は消滅に至っている。

偽装自体決していい事ではなく、現場との間で情報が共有されていない意思疎通の無さに因んだ問題は他企業も反面教師にすべきだが、つまるところこういった件が特に取り沙汰されるのはやはり繊細な日本人の特異なブランド志向という背景がベースにあるからだろうなとつくづく。


デフレでは勝組も

さて週初はアベノミクスで消費好調という旨を書いたが、当然ながらその辺は末端まで幅広い範囲にわたりファストフードなんぞもこれにあやかろうとの動きで今週は日本マクドナルドが少し贅沢な路線で業績テコ入れしようとの思惑からこれまで発売した中で最も高価格のハンバーガーを夏限定で新発売すると発表している。

マックといえば先月の1-3月期決算でも売上が前年同期比14.6%減の659億円、純利益は54.8%減の19億円と冴えなかったが、ビックマックの安売りを止めて新商品を減らしたことが主因とか。最近は回転率を狙ってかメニューを撤去したり、60秒企画?なるモノもやっていたがどれもこれも迷走という指摘が多い。

で、今回の贅沢路線だがプチ贅沢して美味しいハンバーガーを食べたい向きが、ハンバーガー専門店が山ほど犇めき合う中でこんなワンコインに近い物を選ぶかかどうか?ウチの近所で流行っているハンバーガー店など一番安いシンプルなハンバーガーでも今回マックが打ち出す値段のほぼ2倍の1,000円だが、昼時など列が絶えない。

同じファストフ−ドで他業態では値下げ競争が激化して久しい牛丼があるが、これは専門を謳っている店も少なくこうしたところこそブランドが浸透しているところは高価格帯のプチ贅沢路線は選択の一つと思うが流行店を超えるサプライズ、例えば復活したウェンディーズのロブスターとかキャビアを使ったバーガー並のインパクトに欠ける今回の新商品がヒットするかどうかその行方を一寸注目しておきたい。


ぶれない強気

さて、先週末の各大手紙で一寸目に付いたのが、「ルイ・ヴィトン」が日本で販売する革製品を7月1日から平均で8%値上げすると発表していた件か。円安・ユーロ高貴重が続いており輸入コスト上昇分を価格に反映させるとのことだが、ここは確か他の先陣を切って今年の2月にも平均で12%の値上げを敢行しているからはや2度目の値上げである。

しかしこのヴィトンといえばざっとではあるがここ10年位の間に10回以上値上げしているが、値下げしたのはリーマンショックのあと等含め2回程度ではなかったか?昨年の超円高下でも値下げはせずこの円高前の水準に戻ったところではすかさず立て続けに2度の値上げなんぞを見るに狐につままれているような感さえある。

とはいえまあ常識的にハイブランド系はブランドイメージの問題から値下げに関してはどうしても躊躇するのが自然なところだが、アベノミクス効果で高額消費が好調、加えて消費税引上げの背景もあって影響は軽微との勝算もあったのだろう。

今年1発目の時は他ブランドの間ではけっこう強気との声も出ていたが、果たしてその後ハイブランド系では翌月に「シャネル」が平均で5〜6%引上げ、その翌月には「カルティエ」が平均10%、「ティファニー」も平均10%前後、また「ハリー・ウィンストン」も追随して値上げが行われた経緯があるが、今回もまた他の追随あるや否やその動向に注目である。


通常銘柄へ復帰

さて、今週は東京地検特捜部がオリンパスの粉飾決算事件で粉飾を指南した野村證券OB含む指南役3人が再逮捕されたが、もう一つこの同じ日には当のオリンパスを東証が内部管理体制に問題がある「特設注意市場銘柄」指定をオリンパス側が提出した所定報告書をもとにした審査で問題はないとして解除している。

ちなみに特設注意市場銘柄は指定後3年以内に改善なき場合上場廃止になってしまうが、同社の場合は指定から約1年半で解除になった。当の株価の反応は当日こそ一寸急伸したものの本日は急落し往って来い以下になっているが、今迄内規等から投資を手控えてきた機関投資家物色が再開される思惑とはいえ脛に傷持つ銘柄として指標面で個人的には随分と割高なところにきたなという感も。

その辺はともかくも今回の件ほどバブル期の副産物が表面化し、コーポレートガバナンス問題を考えさせられたケースはない。はれて普通の銘柄に復帰を果たしケツは上手く帳尻を合せた格好になったが、消えていった日興証券やライブドアと何処が違ったのだろう?闇に葬った感が強いものがあれこれありすぎて明朗でないというか釈然としない部分が残ったのは否めないが、世間は斯様に回っているということだろう。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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