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デフレ下の盟主

先週末の日経紙ニュースクールでは「牛丼どうして値下げ?」として、輸入規制の緩和を背景に大手が従来価格から値下げし新価格を設定した旨の関連が載っていた。この辺は報道機関によって値下げ背景の捉え方が様々で各社のカラーが出ていて面白いが、同業他社の対応もまた注目される。

さて牛丼値下げといえば、当欄で初めにこの辺に触れたのが2009年くらいであるからもうかれこれ4年もの間この値下げ政策が繰り広げられているということになるが、デフレ期を通って来たファスト系ではこの牛丼系が消耗戦の様相を呈した一方でマックなどが同様の低価格等を武器に躍進した経緯がある。

直近ではこのマックの試行錯誤がいろいろと話題を提供しているなか失速感が拭えないが、果たしてこれで上記以前の状態まで体力回復が出来るのかどうか、円安も気になるところだがこの辺もまた見ものとなってくる。何れににせよ、この業界だけはデフレ脱却の機運とは無縁なようだ。


セルペンティが貢献

国内では今月下旬から決算が本格化し既に業績修正の発表などもボチボチといったところだが、ヨーロッパでは仏高級品大手3社の2012年通期決算が出揃っている。主力どころといえばやはりLVMHモエヘネシー・ルイヴィトンであるが、此処は前期比12%増の13億ユーロ、またエルメスは同25%増の7億ユーロであった。

内訳として前者はブルガリのスネークヘッドが定番人気の「セルペンティ」コレクション等が順調で時計・宝飾部門が前期比46%増、以下セフォラ等が22%増、ワイン等が17%増、服飾・革製品が14%増、香水・化粧品が13%増と軒並み2桁増、後者も宝飾・家具が45%増、服飾・アクセサリーが22%増、時計が17%増とこちらも軒並み2桁増収であった。

欧州の景気停滞を他所にこの手は斯様に好成績であったが、新興国の伸びも後押ししたとの推測もある。ただ数度触れたようにこの高級宝飾・時計系の伸びは国内でも顕著で、百貨店大手などこうした伸びから株価の方も揃って年初来高値更新となっている。まあ全般高に連れているという面もあるが、PER等に目を瞑り何処まで値を飛ばせるか今後も引続き売上と併せ見てゆきたい。


都市鉱山の課題

さて、今月から携帯やデジカメなど使用済み小型家電を市町村が窓口になって回収・再資源化する新制度が始まっている。これはこれらに再利用できる資源が多く含まれていることから、需給が逼迫するレアメタルなどをリサイクルし循環型社会の実現につなげようというもの。

ただこれらを有する小型家電といえば重要な個人情報満載のものが多くあり、積極的にこうしたところへ出すよりも自宅にストックしておく方が遥かに多数派なのが現状。また、回収側としても手間やらコストなどの問題があり、始動したとはいえこれらの課題が多く各所一斉に乗り出すという動きにはなりそうにもない。

上記の通りレアメタル等は今直面している大きな課題の一つでこの新制度も何処まで軌道に乗せられるかだが、そんななか昨日はレアアースのランタンとレアメタルのパナジウムを含む新種の鉱物が三重県伊勢市の山中で見つかったとの報があった。こちらも先に取り上げたメタンハイドレードと併せ今後注目である。


モエヘネシー型

週明けそして本日と冷やされたものの、期末も4年半ぶりの高値水準となった昨秋からの株高効果で高額消費関係が堅調である旨を1ヶ月ほど前に当欄でも書いたが、この辺は先週末の日経紙夕刊にも高額商品関連が株式市場でも堅調として、百貨店や旅行・外食株の一角に買いが入っている旨が載っていた。

それによれば高額消費の拡大で恩恵を受けると見込まれる25銘柄の株価を元に算出したゴールドマン・サックス証券が算出する「高額品消費関連銘柄指数」は、昨年11月末からの上昇率が5割超と日経平均の約3割を上回り、先月は約5年3ヵ月ぶりに250台に達している。

ところでこうした関連銘柄の一つでもあるフレンチのひらまつは、先週の日経夕刊「人間発見」の項がここの社長の連載であったがなかなか面白かった。以前TVでも特集が組まれたことがあったが、ここはブランドを幾つも抱えた例えるならまるでモエヘネシーのレストラン版のような形になってゆくのではとも思ったりする。直近では意欲的に分割も行っているが時価総額と併せ今後も高額消費関連は注目が怠れない。


それぞれのTOB

さて今週はイオンがダイエーを子会社化するとの発表が正式になされている。丸紅は負の遺産処理、イオンはスーパー1強政策の狙いということでその辺が昨日の日経紙にも載っていたが、この同じ企業欄には西武ホールディングスが筆頭株主である米サーベラスによるTOBに反対表明との記事も出ていた。

この話はもともと昨年末にかけて両者の関係悪化が伝えられていたなかでこういった行動に出た格好だが、ここ近年で敵対的?TOBのケースを振り返ってみると不成立に終わるケースが多く王子製紙が北越製紙に仕掛けたTOB然り、また最近では下馬評で完勝とされていたPGMホールディングスによるアコーディア・ゴルフに仕掛けたTOBも大どんでん返しで不成立に終わっている。

ファンドも慈善事業ではないからイグジットは可能な限り吊り上げたいのは解るが、今回の件も折しも上場申請中でもあり、メインバンクの存在もあってその辺の意味合いからすれば中途半端な感は否めなく有効性には疑問符が付くがさてどうなるか。

今月も新たなTOBの話は再建中企業等水面下でも彼方此方出ているが、それは兎も角も思えばこの両者、ダイエーが自主再建を断念したのと西武の大株主による有価証券報告書虚偽記載発表が同時期だったとの記憶がある。なんの因果かまた其々が転機を迎えようとしているが先ずはこのTOBの行方を見守ることにしよう。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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