318ページ目   雑記

業界初の上場

さて、今週目に留まったイベントのひとつに海外市場でのIPOがあったが、日本のパチンコホール大手のダイナムジャパンホールディングスの香港証券取引所への上場がそれである。注目の初値は公募価格仮条件の下限で決まっていたこともあって公募価格と同値の14香港ドルとなったが、注目はパチンコホール運営会社の上場自体が国内外で初めてというところだろう。

これで思い出すのが、かつて上場を目論んだ同じパチンコホール運営大手のピーアークである。今から数年前にたしか日興が主幹事でジャスダックに上場する準備が整っていたものの、三店方式換金システムの合法性の部分が引っ掛かって投資家保護が見出せないとして上場が叶わなかった経緯がある。

それが今回の香港証券取引所に上場が叶いしかもGEMでなくメインボードへの上場というから、関係者としてはさながら取引員が初の株式公開を果たした時のような興奮を覚えたに違いない。グレーゾーンという色の濃淡が大きく変わることは無いと思うが、おりしも規制強化の流れの中で同時に参加人口減もいわれる業界、いずれにしてもこの香港証券取引所への上場が、こうしたグレーゾーンが絡む業界を巡る制度論に一石を投じるのかどうか今後注目されよう。


システムの脆弱性

昨晩は遅くまで東証には明かりが点いていたが、周知の通りこの東証でTOPIX先物や日本国債先物等のデリバティブ取引が約1時間半全面停止するというシステム障害が発生した。ルーター故障が原因といい、一応取引自体はその後に再開されたものの国債の先物が手掛けられなかった為に現物債を売った投資家も居た模様である。

さて東証のシステムトラブルといえば、最近では東証上場200銘柄以上もが売買停止になったあの2月のトラブルを思い出す。前回これを取り上げた当欄では「〜こんな茶番を言っている間に数百億円も注ぎ込んだ自慢の高速取引とやらを少しは危惧したほうがいいだろう。」とも書いたが、果たしてというかあれから半年で今年2度目の不祥事である。

東証の1日のデリバティブ取引売買代金は約5兆円で、最近は1兆円割れも珍しくなくなった薄商い現物株を上回る規模、最近ではTOPIX先物主導で相場も振れる場合もあり、先の現物トラッキングエラーから先物裁定にも影響が及ぶ恐れが生じた事態など鑑みるにやはり立て続けのトラブルは由々しき事態だろう。

銀行等もこの手では起こっているがバックアップ体制の見直しを経てもなおこの手の障害は避けられないものなのだろうか?おりしも大和証券グループ本社等と組んで5月にはミャンマーで証券取引所の設立支援に関する覚書を締結するなど証券システム受注を固めた矢先の出来事、また足元でも大証との合併を控える身でもあり双方共にこれらが足を引っ張ることにならなければよいが何れにせよ金融インフラだけに猛省を促したい。


交渉術?

さて、昨日入ってきたニュースのひとつにテルモが粉飾決算による株価急落で損失を被ったとして、オリンパスに対して損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こした旨があった。ちなみに両者はもともと医療機器販売に関する包括業務提携の一環で、7年前にオリンパスが行った第三者割当増資をテルモが引き受けた経緯があり、現在たしか約2%を保有している。

この手の訴訟は今まで上場廃止で消えていった企業中心に個人でも毎度のことながら行われてきた経緯があるが株価暴落もキツいものの上場廃止にでもなればそれこそ株主は否応無しの一発退場、この辺に関しては先に東証は「特設注意市場銘柄」制度を新たに設けている。現にこのオリンパスはこれに属するが所謂「被害者」である株主救済に一歩近づいたといえようか。

話は戻るが、ところでこの両者といえば、周知の通り直近でソニーが資本・業務提携でテルモとの協議が詰めの段階に入っているところへテルモ側が新たに経営統合を打診という発表があったばかり。そこへこの訴訟話であるから下種の勘繰りかもしれないが、今回の件は殆どお膳立てされている和解案と引き換えに経営統合交渉における優位性を得る為のストラテジーの一環か?


選手と企業事情

昨日はメダル数と株価について触れたが、もっと個別の部分ではそのメダルを獲得した選手の所属する企業や契約先企業の株価も毎度乱高下することが多い。昨日などは重量挙げで銀メダルを獲得した三宅選手が所属するジャスダックのいちごグループホールディングスがザラバ360円高まで急伸する一方で、コナミは体操不振の影響か否か突っ込む場面があった。

しかし所属する企業側も夫々が事情を抱えサポート環境も様々、日本電産サンキョーなどは一時その業績不振から存続の危機に陥るも永守社長がポケットマネーを出して存続させた経緯もあったが、そんな業績不振といえばバドミントンのスエマエが所属するルネサスエレクトロニクスもリストラの嵐の中とはいえ同部は存続させる意向という。

そうそう、かつて金メダリストが所属していたもののこの手で存続叶わず廃部になってしまったものといえば、今は無きかつて上場企業であった取引員グローバリーがあった。金メダルを取った当時は会長が5,000万円のビッグボーナスを出す云々と景気のいい話が飛び交い、いま思えばまさに幻となった株価もその頃がちょうどピークであったのをふと思い出す。


メダルと株価(倫敦編)

第30回夏季オリンピックがロンドンにていよいよ開幕した。今回はサウジ等の女子選手も初参加し世界204カ国の男女参加が実現の運びとなるがその開会式のテーマは「驚きの島々」、芸術監督にはアカデミー賞で幾多の部門を受賞した映画監督を起用したらしいが、ストーリー性もあり花火の演出がCGだった先の北京の開幕セレモニーと比較するに一味も二味も違う完成度を感じた。

さてオリンピックといえば巷ではそのメダルに関心が向かうところだろうが、JOCは金メダル数5位以内を今大会の目標とし、具体的には15〜18個のメダル獲得との胸算用をしている。金メダル獲得最多のアテネ超えも視野に入れていることになるが、先週末の日経紙「まちかど」では、金メダルを10個以上獲得すれば日本勢の活躍による心理改善から消費が活発化し、五輪期間中に日経平均が上昇するという旨が書いてあった。

この手の行動ファイナンス理論は北京のときにも触れたがどこのサンプルを取るかで検証結果はコロコロ変わってくる。そういった意味では7/12記の「ジブリ」モノのアノマリーの方がはるかに正確?とも思えてくるが、株価に影響するといえばもっとマクロで見るとオリンピックが開催された後は金融市場でも大きなニュースになるような出来事が起こっていると指摘する向きもありで、さて今回のマーケットはこれら各々に即しどのような動きになってくるのか興味深いところ。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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