349ページ目   雑記

さまざまな教訓

さて、今週はあの痛ましい阪神大震災から16年を迎え、神戸市など各地では恒例の追悼行事が営まれていた。被災地の様子は今でも鮮明に思い出すが、マーケット関係では当日でこそ事情を把握し切れていなかった株式市場は小幅安の模様眺めに終ったものの、翌週は週明けから1,000円以上も暴落、これがあの有名な事件となったベアリングス銀行破たんにおいて止めを刺すことにもなった。

さて、この株式暴落といえばもう一つ今週はまた、あのライブドア・ショックがあった日から5年を迎える。この取引所機能がストップしてしまった事件から新興市場は暴落しマザーズ指数など直前の2,800ポイントからズルズルと長い下げ続け255ポイントの安値にまで急落し、新興市場の不信、不審、不振がその辺からダラダラと長引いたものだ。

ただこれも本日の日経紙マーケット面にて「新興市場、売買代金が増加」と載っているように漸く昨年の秋口くらいから一変してきている。ちなみに昨日のジャスダック、マザーズ主要2市場の売買代金合計は664億円と昨年4月23日以来約9ヶ月ぶりの高水準となった。

これには日経平均の上昇に伴って個人の信用余力が大幅に改善されたり、またJASDAQ-TOP20ETFの承認等も刺激になったりで、それなりに素地が整っていたというのもあるが、出遅れ循環という側面もあり再び主力系に物色の矛先が向かってきた時のその資金離散具合も注視したい。この5年間である意味新陳代謝も進み、今後はその背景となった規制等も絡めてこの復活が第一幕だけで終了してしまうのかどうか真価が問われよう。


節約疲れ?

本日はいつもの通り道にある牛丼店の前を通った際にふと思い出したのだが、現在またもこの業界は値下げキャンペーンを展開中である。この値下げ競争に関しては昨年も何度か触れた事があるが、今年もまた同業他社に追随して各社が競走に走ったというのが経緯らしい。

ところで、先週の日経紙総合面には「消費薄明かり 収益も底入れ」として個人消費が少しずつ回復してきた旨が乗っていたが、確かにこの年末年始を通してはその商戦も一寸贅沢志向が一部戻ってきたような報道が目立っていた。

例えばクリスマスでは、帝国ホテルがイヴ、そして25日の両日が満室となったが、これは実に2005年以来5年ぶりの事。またリーガロイヤルホテルの40万円スイートルームプランもほぼ満杯となったり、ケーキは高額品から無くなり、ヘリによる夜間飛行サービスも完売状態。クリスマスが終れば年末年始のホテル滞在予約も順調に伸び、年が明ければ今度は三越の50万以上する御節に予約が入り、初売りでは1,850万の高額福袋に約400件の応募が集まったとか。

小売各社の収益底入れが鮮明になってきた中で、商品戦略を低価格路線から修正したローソンなどの企業の好調も目立つが、そんな現況を横目にこの業界は独自の消耗戦がまだ終焉を迎えない。昨年の春にも他のオプションがあったのではと消耗戦に疑問を呈したことがあったが、こうした混沌とした二極化は何やら違和感を覚える。


値上げマジック

さて今週は西のテーマパーク「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン」が2月から入場料を値上げすると発表している。サービスの維持、向上が理由というが、テーマパークといえば東のオリエンタルランドも先にTDL、TDS共に個人チケット料金を新年度入りから値上げすることを発表している。

テーマパークといえば、利用者を飽きさせない為の絶えず新しいアトラクションの追加など巨額の設備投資が不可欠でありデフレ云々に関係なく段階的な値上げも当然といえるが、オリエンタルランドの場合、バブル崩壊後から5回にわたる値上げでもその都度入場者数や利用金額の増加を達成するマジックを魅せつけているのは流石といえる。

TDLとTDSの一日一人当たりの利用金額は約1万円というが、先月の日経紙記事では平均滞在時間は8時間半前後でこれを1時間に換算すると730円、平均滞在時間が約5時間の八景島シーバラダイスはこれが同900円弱で値上げの余地があるという解説が出ていた。

こうした時間割りのデータはなかなか面白いものもあるが、同様に収益構造なんぞを見てみると1時間あたりで原価が50分20秒、販売管理等が2分51秒、会社への利益還元部分が6分49秒、これらから給与や役員報酬という部分では12分33秒という具合であるとか。余談ながら、2009年に上場廃止の選択でマザーズ市場からその姿を消した冒頭のUSJの役員報酬は2億円超で業界では断然トップとなっているが、さてこちらはオリエンタルランド同様のマジックを見せられるかどうか見物である。


変わらぬその体質

さて、毎年1/3日付けの日経紙には「経営者40人に聞く」として株式や為替の見通しを聞いた特集が組まれている。大体において相場に縁のない経営者が大半な上に相場の年間予想を立てること自体が愚行だが、大発会前の暇潰しがてら面白いので馬鹿馬鹿しいと思いつつも検証してしまう。

というワケで昨年の各予想の結果はどうだっただろう? 先ず円相場は年平均で87.75円に上昇、1973年の変動相場制移行後で初めて80円台となった訳だが、6月末と12月末の相場という質問に対して20人が回答、うち2名の予想が当りであったが1名は幅を持たせているので微妙。もう一人の某メガバンクの社長は6月末、12月末共に数十銭の誤差でほぼピタリとこれはお見事。流石本業と思ったが、他のメガバンク社長は大台自体が相違しておりこれは外れ、某信託の社長なんぞは6月末、12月末共に100円台の予想とそのハズシ具合が一際目立つ。他の18人は年末の方が円安予想としており殆どがこれではずれた。

株価の方は、20人のうち年間の高値安値をほぼ当てたのが某総合電機大手の社長1名。但し値段はほぼ当てたものの、その時期予想は年間高値を取った4月を安値予想とするなどこれは大はずれ、ただこの高値安値時期を当てた者は皆無。有望銘柄ランキングなんぞはそこそこ利食えたのは10銘柄挙げてうち1銘柄程度だろうか。こちらは為替の銀行よろしく大手証券社長の挙げるものは他より辛めにチェックしたくなるが、やはり5銘柄挙げさせて年後半に来てようやく薄利が乗ったのがわずか1銘柄とお粗末。他はカラ売りの方が大正解であった。

毎年注目してもらいたいのだが、国内証券会社は年中強気のシナリオでモノを売る体質なので、こうした年間高安予想を聞いても判で押したように、年初安に年末高を言ってくる。売買してくれればよしでそこに相場観など存在しないのである。昨年も20人中でここ数年見た事もないような年末に14,000円などという最高値を予想していたのは某国内大手証券の社長だった。例えば今年はカラ売り有利などと本音を記す輩が現れる時が体質変化の時と見ているが、今年も国内大手証券会社はこのパターン。

まあ、多分来年もまた国内大手証券会社の社長連中は、必ず年初安に年末高の予想を挙げてくるはずなのでもしそうだったら笑って欲しい。



卯、跳ねる

皆様、新年明けましておめでとうございます。

本日の株式大発会は昨年の「寅、千里を走る」からバトンタッチして「卯、跳ねる」の格言の如く反発からスタートした。大納会は冴えずに年足で陰線云々とか関係者間では話題だったが、その占有率からして既にドル建て評価の世界か。そんな年足を気にするより危惧すべきは売買代金が320兆円台と6年ぶりの低水準まで落ち込んだ点、プライマリーにありつけない中小以下の苦境は未だ底を打った感には遠くこの辺の去就は果たしてどうなるか。

さて一方でやはり苦境の商品業界はどうだろうか? 昨年は年明けと共に東証の新システム「アローヘッド」が稼動したが、今年は年明けと共に東穀取が取引システムをTOCOMに統合した。また、元旦付けの日経紙にある「年間予定2011年」の1月欄一番初めに出ているのが、1日の「商品先物取引法施行、取引を望まない人への商品先物の営業が禁止に」ということであったが、さて今年は総合的な政策絡めてどういった展開になるのかこちらも目が離せない。

何れにせよ、双方共に今年もまたM&AやMBO等で商機ありという流れが個別で続くか。

本年もどうぞ宜しくお願い申し上げます。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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