357ページ目   雑記

時間延長効果

さて周知の通り、今週は週明けから東証と大証が現物市場の株券と転換社債型新株引受権の前場の取引終了時間を30分延長している。もともとはゴールデンウィーク明けから実施される予定であったが、例の大震災の影響で電力供給の問題が発生したことで延期されていた経緯がある。

果たしてその効果だが、初日の東証一部の売買代金は7,557億円と今年2番目の低水準となった。まあ殆ど時間延長効果がないというより今月に入ってからはズルズルと売買代金の減少が著しいワケでこの辺はタイミングの問題か、それにしても順次国際標準に変貌を遂げつつあるもののこんな独自の事情もあって滑り出しは紆余曲折である。

もっとも、昼休み時間短縮は今回が初めてでないのは既に以前当欄でコメントしたことがあったが、同様に一昔前の前回の30分短縮でも売買高の増加は見られなかった経緯がある。当時とは違い先物とのアビトラの収益機会が増え、ボリューム増加を期待する向きもあるようだが上記の通りまだまだ未知数。

今回はどうかだが何度も書いているように現状イニシアチブを取れる参加者が不在な今のマーケットでは、結局国内市場が取引をしている時間帯で材料消化は為されず寄付で海外を織り込み、あとはボラの薄い中をどうでもよい国内要因を時価に反映させている日足がコマ連続の状況。こんな状況下では昼休み延長より寧ろ夜間延長の方が現状は効果があるのではないかという感じもするのだが。


再編第二弾までの道のり

さて、先週末の日経紙一面には「東証・大証2段階で再編」として合併比率が大証の時価総額1に対して東証の価値を1.7倍程度に評価と載っていた。その他についてもほぼ事前の観測に沿った内容ではあるものの、最後の焦点であった合併統合比率などより一層具体化してきたことで株価の方も再三の蒸し返しに反発となっていた。

ところで既に【FUTURES PRESS】でも載せている通り、末尾の方には商品取引所などが将来合流する可能性も考慮して持ち株会社の社名は「証券」の文字を入れない日本取引所グループとし、1〜2年程度をかけて両社がシステム統合などに取り組み4事業会社にグループ内を再編と出ている。ただ公取委の審査が長引く可能性も考慮し合併予定時期は当初より延長され今のところ再来年へ、そこから数年かけての再編であるから商取にとってはそれまで体力勝負となるか。

これに関してもともと大証と縁があって注目されている東工取は11年3月期まで単体で3期連続最終赤字を計上、4-9月期赤字脱却ともいわれているものの金への単品依存で厳しい環境には変わりがなく、ここでなんとかしたいのは周りばかりでなく当人も同じところ。ただ実際に東工取のシステムは2014年5月にライセンスが切れ、これまでのような牛歩でコトを運ばれたら可也厳しい状況ともいえる。

そんな折に世界最大のデリバティブ取引所のCMEグループが東工取に取引システムの開発で提携を申し入れていることが先週報道されている。現在世界の再編劇はスピード感をもって進行しており東工取のスタンスも微妙に、対抗案とも取れなくもないCMEの提案は現在進行形の国内再編に影響を与えることになるのかどうかこの辺も見守りたい。


さよなら0990

さて、今週はNTT東日本と西日本が、電話での情報番組の提供に使われている「ダイヤルQ2」サービスを2014年2月末で終了するとの報があった。近年のインターネットの普及に伴って利用者が減少していることに因るものとしているが、これは一寸前の両社のLモード同様に相場関係業者に多用されていた時代もあり当時が懐かしい。

こんな報があったことで久し振りに思い出したが、確かに最近ではメッキリ存在感が無くなり一頃業界紙には0990の番号が犇めき合っていたものもすっかり見なくなったなと。アダルトやツーショット等で社会問題化したこともあったが、今は殆ど消えてしまった街の投資顧問屋等の相場情報もその内容よりもいかに最後までフルに聞かせるかの話術がポイントで、その中毒性を上手く利用し一社で何本も提供するなどそういった意味ではこちらもツーショット系と然程構造に変わりは無かったか。

しかし報道によれば現存する番組は55番組というから存在は薄いとはいえもうそんなに廃れたのかと時代を感じる。まあiモードもルーツを辿ればQ2という話もあり日進月歩の世界、Q2のダークな部分を餌に肥えて今は善良顔している企業もあるが、また一つ時代の産物が消えるのは感慨深い事だ。


火の無いところに煙は?

昨日の欧州市場ではイタリアの10年物国債利回りが再度上昇、3営業日ぶりに7%台に乗せてきている。既に昨今の金融市場の材料は日和見な欧州情勢一色でそれに株価も一喜一憂、ここへきてユーロそのものの構造問題を指摘する向きも増えてきたがもともと事情が違う向きをパッケージ化する事に無理があったか。

そんなワケでデレバレッジの動きも活発化しており、昨日の日経紙でも投資家に分配金を毎月払う国内最大の投資信託「グロソブ」がイタリア国債を7日までにすべて売却した旨が載っていた。ECBの買い支えも虚しくこの水準ではさすがに持続不能の向きも多くコレに限らず見切りで国債価格が下落、追加損失回避で関連の処分売りがスパイラル的に進行するさまは資金調達の件も含めそれこそ最近の東電やオリンパスにも似たものを感じる。

こんな時に先週は米格付け会社のS&Pは仏の格付けを巡って誤送信したという一幕があったが、その慌てぶりがかえって怪しまれ火の無いところに煙は立たないといまだに仏格下げ懸念は払拭されていない状態、それにしてもタイミング的に最悪というか出来過ぎと勘繰られても仕方あるまい。

欧州ではこんな折に今度は金融規制強化という新たな要因も加わり、年末を控えた市場にまた一つ不透明要因が加わることになる。


総裁連動株価?

本日より明日まで恒例の日銀金融政策決定会合があるが、日銀といえば先週此処の株が遂に40,000円の大台を下回ったのが話題になっていた。昨今の個別銘柄は実に20年ぶりとか30年ぶりの安値に沈む個別銘柄が多いが、当欄でこの日銀株に触れたのが8月でその時は約10年ぶりの安値であったが、これで実に約26年ぶりの安値になった。

さて株価の衰退よろしく段々と細ってきたのが、例の金融緩和策の一環として株価の下落局面で基金を通じ行うETF買いか。上記の8月は1日あたり256億円を買った日もありその買い入れ合計は1,732億円であったが、9月は同合計が1,561億円、そして10月は同合計が742億円、今月というと今のところは同合計が328億円と明らかに勢いが鈍っている。現在までに基金のETF購入総枠半分超を費やしたが、為替介入は一発で8兆円投入というからこの辺の采配は如何に。

しかし見ていると日銀総裁というのも影が薄い。バーナンキ氏など見ていると賛否両論あるものの一応は雇用拡大と経済成長を最優先課題に掲げる旨の明確化が目立つが、今の日銀総裁にはこうした責務の発言も無ければ明確なビジョンも全くといっていいほどない。先週末の日経紙「まちかど」ではこの日銀株が換金される様を「日銀株より日銀券を志向する投資家は、デフレがまだ続くと判断しているのかもしれない。」と書いてあったが、となれば介入効果も虚しくまだ円高継続という見方にもなるが。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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