372ページ目   雑記

PIIGSと複合性

本日の日経平均は先週末の所謂「PIIGS」を絡めた財政懸念が尾を引いてか、2ヶ月ぶりに10,000円の大台を割り込んで引けた。南欧経済の脆弱性はかねてからいわれていたが、こんなソブリンリスクはファンドなどのバランス絡めた構造的な問題から日本企業などの業績と直接の関係はなかろうが、これら一部も売らざるを得ない状況と負の連鎖が起きている状態か。

ところでこんな造語も「BRICs」から始まって次は以前にも取り上げた「VISTA」、そして今度は「PIGs」、しかし前者は兎も角、南欧はなんともコッケイな名を着けられてしまったものだが、素朴な疑問でこんな幅広く役に立っているわりにどうしてその使われ方はロクでもないことの形容が多いのだろうか?この類ではダイコンなどもこれに当たるしまだ探せば幾つかありそうだ。

話は逸れたが、そんな上記の株式の状況よろしく商品相場においてもこれは同じこと。これらソブリンリスクからユーロに対してドルが上昇、そんなわけで一般的にはドルの代替資産として支持されていた金に売り物が殺到、加えて国内では受け皿という観点からドルよりも消去法的に円が買われ円建ての金など泣きっ面に蜂、先週末のTOCOMでは他も含めた貴金属4商品が全てサーキットブレイカーの発動となった。

しかし、先月はオバマ新政権の新金融規制案、今月はPIIGSのソブリンリスク台頭がマーケットを連鎖的に侵食しており、リスクマネーもとんだトバッチリからなかなか動き辛いが、前述の通りマーケットも複合的に繋がっている昨今この辺の構造も頭に入れておきたい。


節分

街中の商店などにはこのところ柊や豆などが店頭に並んでいるのを見るにつけ季を感じていたものだが、本日はご存知の通り「節分」である。元来、季節を分ける事から由来し立春、立夏、立秋、立冬の前日はいずれも節分なのであるが、やはり通常は立春の前日のみを指すのが普通か。

一般的によく見られる光景では年の数プラス一個の炒った豆(中には魔滅と書いてある処もあってなるほどと感心)を食べて無病息災を願うものだが、小さいうちはともかくいい加減年をとってくるとこの食べ方にも一苦労となかなか笑えない。

さて、相場関係では昔から「彼岸底」と共に「節分天井」なる格言があるが、米相場の頃なら兎も角、もう現代となってはマジメに株式のデータなんぞを拾ってみても殆どと言っていいほど相関性は無く、むしろいつも年初に書いているような十二支の年間展望の方が当たっているかのように見えてくるから面白い。

そういえば年初の相場予測では節分天井で11,000円以上を指摘する向きが一部大手証券始め幾つかあったが、理論的な根拠が無くても相場に携わる者としては自信のない相場観に色を添える意味合いも何処かにあって、使いたくなってしまうのもまた致し方ないところでもあるか。


金色のマッチ箱

さて、昨日の帝国データバンクの大型倒産速報は一気に5件もの掲載とその多さが目立ったが、其の中でも目を引いたのが(株)東京シティークラブの破産手続き開始決定の報であった。

(株)東京シティークラブというより「シティクラブ・オブ・東京」と言った方のが解り易い向きも居ると思うが、ちなみにバブル経済ピークの頃にあのカナダ大使館のビル内に設立された英国式のクラブに倣った会員制プライベートクラブである。会員制クラブを謳うところはこの頃にそこそこ増えたが、ココは当初他とは一線を画しそれなりの客層が多く揃っていたのが印象的であった。

まあ、此処は食事などはそのコストからすると失礼ながら普通以外の何物でもなくポイント寄与は全くなかったが、それでも立派な調度品に囲まれた落ち着いた空間はやはり他とは異質であったという事もあって、私もかつては打合せなどで何回も使ったものだが、昨年から既にメンバー間では不審視されており果たして年明け早々には休業体制に入っていた。

他の破綻モノが主役なだけについ見落としそうであったが、名門云々問わずこういった二次的、三次的なモノも当然といえば当然なのかなと。ともあれ紙屑に向かう会員権、年会費その他であるが一部には外国人経営陣がとんずらという話も出ている、そう考えると会員権ならぬ劣後債?とか含め何やら年末に破綻してしまった某証券会社に構図が酷似しているなあとフト思った瞬間である。


垣根が復活?

NYでは株式が3日間で500ドル超の下げとなり、日経平均も本日は一時10,500円割れとなるなど引続き世界的な株安の流れが継続、この辺は周知の通り先週にオバマ新政権が新たな金融規制案を発表したものに因るところが大きいが、取り敢えずは消化不良で一旦巻き戻しておこうというところか。

この規制案、1930年代の「グラス・スティーガル法」の復活かといわれ、銀行・証券の垣根を高くする派の元FRB議長のボルカー氏や国際競争力の観点から難色を示すガイトナー氏やらと取り沙汰されているが、夫々の立場もあれば素材も大きすぎるということもあり、ハードランディングしないよう均衡を探るのは容易であはるまい。

また、成長著しい中国経済に絡んでチャイナマネーへの影響も懸念される。ここ最近のGM傘下のサーブを一部買収した北京汽車や、フォード傘下のボルボ等を買収した吉利汽車等を取ってみてもその背景には米投資銀行の影がチラついているし、これから双方にカネが落ちる青写真を描いていた彼らに取って可也厄介な話だろう。

今後は詳細を巡って議会との調整もあろうが、何れにしても思惑で株式、商品その他マーケットが揺れる機会が増える可能性もあるだけにその成り行きには注目しておきたい。


お上も投資家も右往左往

やはりどうしても素材が大きいのでJALネタに傾斜してしまうが、本日の日経紙で目に留まったのは企業総合面、「日航 法的整理-再生はできるか」欄か。冒頭では、TV番組にて2社体制の堅持を唱えてきた国交相の一転した軌道修正発言に対して波紋が広がっている旨の事が載っていたが、これに限らず整理に至るまで折に触れ彼のブレ具合は時系列で追われても仕方無いところだろうと思う。

昨日コメントしたようにこの手の事前予告型などは尚更自己責任を論ずるまでも無いが、中には素直に彼の数ヶ月前の発言である法的整理は考えていないとか、自主再建は十二分に可能とかの発言を頼りに右往左往した投資家も居よう。自己責任の範疇で株主責任を問われるのは当たり前だが、問題はリップサービスが多ければブレも多いその言動か。

一寸この辺の指摘が出るとまた庇う役目もしっかり徹底されていて、日証協の会長などはこれら一連について「発言や報道が交錯しても株価の動きに誰かが責任を持つという事はありえない」とし政府に責任はないとの弁、加えて06年の大型ファイナンスの件でも「当時の情報開示や、引き受けた証券会社に問題があったとは考えていない」とのオマケも付けている。先週もコメントしたように、こんなインチキ増資直前の株主総会で一言もこれに触れず突如として敢行する情報開示に問題は無いのであろうか?

末端レベルでこうした経緯があれば、それこそ間違いなく風説の流布やら開示義務違反やらで応分の処分という方向へ持っていかれるだろうが、上がやる分にはお咎めなしか。しかし市場もそうだが、もう一つ日経紙の春秋に出ていたように空港等に見られる政と官の有形無形の圧力でまともな規律が働いて来なかったという航空政策も本当に罪深い。世界から遠ざかってしまった日本が何処まで地盤沈下を回復出来るか、この際だからこの辺にもメスを入れるいい機会だと思うが。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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