75ページ目   雑記

2年ぶりの経済効果

さて、全国旅行支援がスタートし初の先週末は各地の宿泊施設が多くの利用客で賑わった模様。今月はこれと並行して様々な支援策がスタートしており全国旅行支援と日を同じくして静岡県ではプレミアム付食事券の販売を開始、翌12日には大阪府がプレミアム食事券の第一期受付を開始している。

そして本日からは東京都の全国旅行支援「ただいま東京プラス」がいよいよスタートとなるが、更に26日から約2年ぶりにプレミアム付き食事券の販売も開始される。また翌27日からは新潟県もプレミアム付食事券の一般販売を廃止するなど全国旅行支援にGoToイートキャンペーンも加わる事で各業界の期待は大きく、先に書いたように大和総研では波及効果と合せ約8300億円の経済効果が見込めるとの試算もある。

前回のGoToシリーズはそれぞれ感染拡大を助長しているとの批判も浴びて事実上頓挫してしまったような格好になってしまっただけに今回のキャンペーンに臨む思いも一入だが、制度終了時に見込まれるであろう駆け込み需要や反動減を見据えソフトランディングさせる措置などその対応なども今後の課題となってこようか。


iDeCoも変更?

さて、政府は公的年金に上乗せ出来るイデコ・iDeCo(個人型確定拠出型年金)の加入対象年齢を現在の64歳以下から、69歳以下まで拡大する方向で検討に入った旨が本日は報じられている。投資から貯蓄への道筋作りということで先にNISAの恒久化が報じられていたが、「資産倍増プラン」の柱に位置付けるという。

今年の4月から公的年金の受け取り時期が最大で75歳まで先送り出来るようになったが、その翌月5月から上記の通りこのイデコ・iDeCoも元々の60歳までの加入年齢が65歳までに拡大され、今月からは企業型確定拠出年金に加入している人でも原則イデコ・iDeCoに加入出来るようになっているなど各所でハードルは下がりつつあった。

今回は加入年齢について更なる一段の拡大というものだが、そもそもが少子高齢化で公的年金の給付水準が先細りする事が予測される背景があり、ならば国民年金の加入期間も延ばして然るべきとも思うがその辺は兎も角、平均寿命も延び老齢年金の受給開始年齢を過ぎても働く向きが過半を占めつつある現状下でのポジティブな幅の広がりは期待出来るだろうか。


依存体質

本日の日経紙金融経済面には全銀協が115行を対象に仕組み債等に絡む実態調査を開始した旨が出ていたが、デリバティブを駆使し国債や社債より高い利回りが出るよう設計した金融商品の所謂この仕組み債、既に三井住友銀行は販売を停止し楽天証券も先月末で全ての仕組み債の取り扱いを停止、更に今月から横浜銀行や京都銀行など6地銀・グループも仕組み債の個人販売を全面的に停止している。

この背景には先に金融庁が2022事務年度の重点施策をまとめた金融行政方針を発表しているが、ここで仕組み債が名指しされ販売する金融機関にその販売状況をヒアリングする旨の明記があった点などがあるようだ。証券子会社などを持つ地銀グループの販売構成を調べると実に約4分の1にあたる23%が仕組み債であったという。

仕組み債といえば10年以上も前からリーマン・ショック等の相場急変が起こる度に有名私大や地方自治体の損失などその都度問題が表面化してきた商品で、その変動の激しさ故に関西の某地方自治体など相場急変による値洗い損の拡大で訴訟を起こしたものの、アベノミクスの波で値洗いが一気に改善し訴訟が取り下げられたというヤレヤレな話もあったのを思い出す。

いずれにしろ直近では野村や大和など大手証券まで足並みが揃った感のあるこの度の動きで、喉元過ぎればでこうした金融商品に依存してきた向きには死活問題というところも出て来よう。ただ金融庁としても「貯蓄から投資」が喧伝されるなか、こうした流れが削がれるような金融商品の問題はマズイというのは想像に難くなくそういった意味でも今回の本気度が窺える。


争奪戦3年

さて、先月は三つ巴、いや四つ巴となったオイシックスによるシダックスへのTOBを取り上げたが、本日の日経紙社説には「企業は敵対的買収から逃げず価値向上を」と題し相手企業の取締役会から賛成を得ないままTOBを始める敵対的買収が経営戦略の一つとして定着してきた旨の記事が書かれていた。

この辺に絡んでは直近では先月末に文具メーカーのぺんてるに敵対的買収を仕掛けた東証プライム上場のコクヨが、買収方針を取り下げて保有するぺんてる株の全株を同業のプラスに売却する旨が報じられている。当欄で「文具争奪戦」と題しこのTOBを取り上げたのが3年前、最終的にホワイトナイトと一緒になる格好で治まったようだ。

こんな買収劇の伏線だったワケではないだろうが、敵対的買収が報じられる数カ月前の某バラエティー番組ではコクヨにぺんてる、それにプラスの社員が集まり各社其々の自慢の商品を持ち寄り随所でぺんてるの海外網を羨ましがる光景が繰り広げられていた。その辺は兎も角も、この度の決着で縮小傾向にある国内文具市場の構図がまた変わりゆくか否か引き続き注目しておきたい。


内外経済効果

周知の通り、政府は本日より旅行代金を一部補助する観光需要喚起策である全国旅行支援をスタートさせた。東京が少し遅れてスタートするため46道府県がスタートし12月下旬までとするが、具体的な日付は各都道府県の判断に委ねる模様。前回のGoToトラベルは緊急事態宣言で腰を折られた格好になったが、コロナ禍で打撃を受けた経済の再生へ起爆剤としたい考えだ。

早くも予算上限に達し受付を終了した自治体も出始めたこの旅行支援だが、GoToトラベル以来、約1年10か月ぶりとなる。1人あたり2万円の割引が出来た2年前のGoToトラベルと比較するに今回は1泊最大1万円一寸と数字では見劣り感がするも、高額な宿泊施設に人気が集中する傾向にあった前回から今回は割りを食ってしまったリーズナブルな宿への経済効果にも繋がるか。

大和総研ではこの全国旅行支援の経済効果に関して波及効果と合せ約8300億円と試算しているがもう一つ、水際対策の方でも本日より日本への入国者数上限が撤廃されている。ツアーに限って来た観光が個人旅行も解禁となり、元々ビザが免除されていた国からの短期滞在者のビザ取得も不要となるなど日本への渡航条件が大幅に緩和されることとなる。

G7並みに水際対策を緩和すると首相がロンドンで講演したのが5月、漸く開国の運びとなった感だが首相はインバウンド消費について年間5兆円を目指す考えを示している。中国勢のゼロコロナの影響が不透明だが、インバウンドの回復が仮に5割程度になるとしても全国旅行支援と合せて約4兆円程度との試算があるだけになかなかの目標ともいえるが、何れにせよここは円安のメリットを引き出す商機を最大限に生かしたいものである。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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