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総合取引所始動

本日JPX(日本取引所グループ)は貴金属や農産品等の市場を東京商品取引所から大阪取引所に移管しこれで株価指数先物から商品先物まで一体的売買が可能な総合取引が本格的に始動した。市場も各社も起死回生の最後の切り札として期待するところだが、これで大証では新たな証券会社が商品先物を扱う見通しとしている通り規模拡大でその競争環境もまた変って来ることも予想される。

ところでそんな初日を飾る?ように金先物が大幅続伸となり中心限月としては最高値を更新、本日の時間外取引でも国際指標のニューヨーク金先物が2011年9月に付けた1トロイオンス1923ドルの史上最高値を約9年ぶりに上回り、現物の国際指標であるロンドンでも同じく11年に付けた史上最高値を更新してきている。

斯様な状況で国内でも金地金の方も小売り価格が消費税導入前の80年代以来約40年ぶりに最高値を更新して来たが、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う各国の金融緩和拡大で米など実質金利が過去最低となったのを背景にドル安が進行、加えて直近ではEU首脳が難航していた7500億ユーロの復興基金で合意しユーロ高が進行した事もこれに拍車をかけている。

上記の通りの各国の金融緩和拡大から世界中で金利がほぼ消失している折、金利が付かないという金の弱点解消が囃されるのには十分な局面か。思えば新型コロナ第一波の時に全部安の如く一緒くたに売られた場面も絶好の拾い場であったが、上記ドル安以外に米中対立深刻化などの地政学リスクも燻り代替資産たる金への資金シフトはまだ暫く衰えそうにもないか。


土用の丑2020

さて本日は土用の丑の日、土用の丑といえばウナギだがこれまで当欄でも度々取り上げた不漁で高騰していた様が今年は国内稚魚の漁獲が6年ぶりに過去最低を記録した昨年から約5倍に増加した上に、中国や台湾などの東アジア全域でもよく獲れている事を背景に末端価格もやや落ち着きを見せた事でその商戦が近年になく活況を呈している旨が彼方此方で報じられている。

確かに今年は各社共に立派なパンフが用意されいつになく早くから予約を募っていた感もするが、漁獲量漁の減少と共にウナギの卸値も毎年の如く高値を更新し蒲焼もウナギならぬ秋刀魚や穴子、はては茄子や蒲鉾を加工したものまで登場したり近年ではパンガシウスなどの珍魚?にまで転用が進んだものだったが再度ウナギのみ並ぶ昔の光景がスーパー等で戻って来たか。

ところでウナギの一服は斯様に一安心だが、一方でウナギの転用にまで使われた上記のサンマが昨年は漁獲量が過去最低を記録し豊洲では真鯛を上回る値が付くなど珍現象が見られたが、今年も先の初セリではこれまでの最高値を更新するなど凡そ慣れ親しい大衆魚のイメージから離れつつある。

国際自然保護連合より絶滅危惧種に指定されるほどのウナギはまあまあ諦め?がつくが、王道の秋の味覚サンマも昨今のこんな背景で乱高下が目立ってきたのは穏やかでない。そういえば秋の味覚といえばマツタケも今月にIUCN(国際自然保護連合)のレッドリスト最新版にて新たに絶滅危惧種として初めて記載される事になるなど日本人の味覚がまたも遠のく気配だ。


紳士淑女からギャルまで

さて、新型コロナウイルスの影響もあって体力が落ちていたアパレル勢など先のレナウン等に見られるように破綻の道を辿っているが、非上場ながら誰もが知る有名どころで今月は創業200年を超える老舗衣料店の米「ブルックス・ブラザーズ」も店舗の営業休止などが響いて経営破綻した報が舞い込んでいる。

もっとも上記のブルックス・ブラザーズは国内での事業は影響を受けず今年の9月には表参道に新店舗までオープンする予定となっているが、この辺は先にパリの店舗が破綻した仏「フォション」も同様でこちらもまた京都に世界で2件目となるフォションホテル京都を年内にもオープンさせる予定となっている。

ところでアパレルといえばもう一つ、冒頭のブルックス・ブラザーズのように世界的著名ブランドでは無いものの、国内ではある客層?には同じくらいの知名度を誇るブランド「CECIL McBEE」が秋までに全店舗閉鎖との報が先週末に舞い込んでいる。109中心に「アルバローザ」等と共に90年代に一世風靡したものだったがこれまた店舗休業の影響は大きかったか。

しかし、斯様に紳士淑女御用達からギャル御用達に至るまで新型コロナウイルスがトドメを刺すケースが多い。ビジネスモデルの構図が疲弊していた素地があったところとECを先行させて来た向きとの明暗が分かれているものの、アパレルに限らず慣れ親しんだブランドが次々と破綻の憂き目に遭うさまはコロナ禍を背景にしたパラダイムシフトも表しているか。


メッキが剥げた企業たち

さて、NYでは金先物が2011年以来約9年ぶりの高値を付けるなど高騰が続く金相場だが、金といえば中国最大級の金宝飾メーカーで米ナスダックに上場している金凰珠宝が資金調達の担保に入れていたという約83トンの純金が実は金メッキを施した銅であった事が先に発覚し物議を醸し出している。

こんな紛い物を預かった大手信託の中国民生信託はマズいことにこれを裏付けとして信託商品なる金融商品を発行し幅広い向きがこれを購入していた模様だがこの企業、元々は中国人民銀行が所有する金の製造工場というプレミアムがあったあたりに当局色で安心する中国特有のカラーを感じる。

中国人民銀行といえば先の原油暴落で預けていた保証金も一夜にして消え更にマイナス勘定となった原油宝なる金融商品が大問題となったのも思い出すが、ヘッジ等も含め一般からはなんとも見え辛い脆弱な構図が怖く投資家が損失を被ったケースでは同じナスダックの微貸網もまた然り。

これら以外でもポストスタバと謳われ同じくナスダックに上場するラッキンコーヒーもこのコロナ禍のなか不正会計問題が発覚し株価が暴落した経緯があるが、米中対立が鮮明化してきている最中での斯様な不祥事の発覚は資本市場での米中分断を後押しするに十分な効力を持っているといえようか。


TOB機運

本日は地下街を歩いている時に大戸屋を見掛けたが、同社といえば先の株主総会で大株主のコロワイド側から取締役の入れ替え含めた株主提案を受けていたところ8割以上の反対票を集めたファン?の支持等もあってこの株主提案は否決されたが、これに敗れたコロワイドは想定内の如く粛々と大戸屋に対してTOBを実施すると発表している。

予てよりコロワイドの社長は株主総会で失敗したらTOBも辞さないと発言していた通りで今回の間髪を入れずの行動はまさに有言実行、ファン株主とはいえ総会で勝利するよりプレミアムをたっぷり乗せた力ずくのTOBを公表してもらいとっとと市場で売却してもキャピタルゲインを得られ結果的にはラッキーといった向きも一部居ただろうか。

こんな光景を見るに約6割もの手元資金を放出するなどして前田建設に対しさんざん抵抗したのも虚しくTOBを成功されてしまった前田道路を思い出したが、このコロワイドものれんの問題など最近は買収後の勝算があるのかどうか一般から見れば疑問符が付く力ずくのケースが多い。とはいえコロナ禍を背景に斯様な親子上場含めた再編機運の高まりもあり水面下では粛々と他のTOB計画も進行しているか。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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