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124年ぶりの2日節分

さて最近では関東でも彼方此方で恵方巻のCMが喧しくなって来たが、本日は恒例の節分である。恒例とはいえ今年は4日という固定観念がある立春が3日になるという事でその前日にあたる本日が節分になるワケで1897年以来、124年ぶりに通常より1日早い本日2日というのが話題になっている。

もう何十年も立春は4日だっただけに成る程話題にもなろうがそれは兎も角も節分はもともと災厄消除を願うもので「コロナは外!」と今にはピッタリの行事とはいうものの、やはり蜜を避けるために初詣よろしく各地の寺社は境内での豆撒きの催しなどを相次いで中止もしくは大幅に縮小しているのが目立つ。

ところで昨年の当欄では豆撒きで追い立てられる鬼を擁護するようなコラムが増えたり、児童書「おにたのぼうし」など鬼が別な視点から描かれるなど新しい潮流を書いたが、昨年大ヒットし記録を数々の塗り替えた「鬼滅の刃」も元々は鬼も人間で一人ひとり実はバックグランドがあったというような含みを持たせ、一昔前の単純な勧善懲悪の構図とは異なる筋書など現代で流行るモノの流れが変わりつつあるのを感じる。


ロビンフッダーパワー

先週はVIXが高水準に跳ね上がり米株式は乱高下の憂き目に遭っていたが周知の通りこれはレディット等のSNSで連携した個人が、集団で空売り残高を積み上げたヘッジファンド等の踏みを狙い特定銘柄に買いを仕掛けるような過度な投機的な一連の動きを受け金融システム安定リスクの上昇が警戒されてのもの。

代表銘柄のゲームストップ株の株価は年初の17ドルからひと月で347ドルまで約20倍に跳ね上がるなどあまりの過熱ぶりに、これを介する米証券ロビンフット・マーケッツによる一時取引制限を個人投資家らの反発で緩和した際には一日で株価が倍増し、更には銀や仮想通貨へまで飛び火するなど依然として鉄火場だ。この過程で実際に幾つかのヘッジファンドは巨額損失を計上しロビンフッドも金融機関からの借り入れ措置を取っている。

そういえば日本でも所謂掲示板を使って確か今から6年前だったか、かつて大物仕手筋の関係者が新日本理化やルック等を最大で株価5倍化まで煽り約60億円もの売却益を抜いた事件が風説の流布にあたるとして、証券取引等監視委員会が後に金商法の疑いで強制捜査した件が話題になった事があったのを思い出す。

また上記のヘッジファンドの巨額損失を見るにもう一つ思い出すのは、やや飛躍するかもだが1998年に起こった大手ヘッジファンドLTCMの実質破綻か。今回のようなレディットやロビンフッドといったプラットフォームが個人投資家間の強力な情報交換と取引の手段として普及する一方で、LTCMが巻き起こした金融危機のようなシステムリスクの芽もその副産物として出て来てしまっている点は否めないところ。


残高増と出口論

さて、FOMCでは大規模の金融緩和据え置きを決定し当面緩和策を解消する意向が無いことが再確認されたが、国内では先週の日銀金融政策決定会合後の記者会見で総裁が日銀内で金利操作やETFの運営方法も見直す案が浮上していることから、これに関しては従前の購入枠にとらわれず、必要な時だけ買い入れる形に改める見通しとしている。

日銀といえば新型コロナウイルス対応による資金供給でその資産は昨年末時点で1年前に比べて129兆円増加の702兆円となり、金融市場の安定を掲げたETFは20年の買い入れ額が約7兆円と過去最高となり25%増となっている旨が報じられていたが、昨日の参院予算委員会ではETFによる含み益が12〜13兆円とする試算を明らかにし現時点で全体の枠組みを、そしてその中のETF買い入れを止めるという考えはない旨を同総裁が語っていた。

とはいえ度々触れているように自ずと出口戦略の議論も喧しくなってくるが、当欄で昨年11月にも触れたようにバブル時代に証券会社で大流行?した所謂飛ばしのようなスキームや売却制限を付けた個人への譲渡案等も健在で、各経済シンクタンクの専門家も日銀の財務リスクを回避するべくバランスシートから外す必要があるとして買取機構の創設やNISAやイデコ等の運用先指定で個人へ売却、また分割して企業に自社株として購入してもらう様々な案が出ている。

この前の会見で同総裁はETFの売却を巡る議論について売却は出口の議論の一つなので全く時期尚早だと思うしそういうことは現在考えていないと話していたが、曲がりなりにもETF残高は簿価ベースで35兆円まで膨らんでおり、2%のインフレ目標は未達成ながら更に大きく残高を積み上げる状況ではなくなってきているのは事実で引き続き出口戦略について今後も様々な議論は続くだろうか。


互いの誤算

さて、先週初めの当欄では寒波の影響から暖房用需要が高まった事などで今月に入ってからのスポット価格の上昇で自前の発電所を持たない新電力業者の経営が厳しさを増している旨を書いたが、昨日の日経紙企業面では「新電力、卸値高騰で苦境」と題し地域新電力の中には来月に全事業を停止する向きも出て来た旨が書かれていた。

この頁では地域電力が一日の売り上げに対して1月中旬辺りの調達ではその10倍以上もかかる惨状が綴られていたが、これらの他に本日は新電力の楽天エナジーが同社提供の家庭向けの楽天でんきや法人向け楽天でんきBusinessなどエネルギー関連サービスについて新規申し込みを一時停止する旨も同紙で報じられている。

斯様な市場連動型を謳うモノへ契約した向きもまた然りでこの辺は同じ憂き目に遭うワケで、さながらハイリスクな仕組債等の金融商品でまさかの「ノックイン」してしまったパターンにも似ているか。新電力の中には異常高騰分の料金を会社側が負担したり値引き策を表明したりしている殊勝な向きもある一方で、纏まって経産省への陳情など泣きつく光景を見るに返す返すも先物市場を上手く機能させてゆく重要性を感じる。


悲願の復帰

本日の日経紙社説には自動車生産の予想以上の回復を背景にした半導体不足の深刻化でこの自動車生産が変調をきたしている旨が出ていたが、これを受け大手のルネサスエレクトロニクスが車の走行を制御するマイコン等で値上げを要請、また東芝もパワー半導体など1〜2割の値上げを複数の自動車メーカーと交渉入りしている。

これを受け週明けの両者の株価はルネサスエレクトロニクスが年初来高値を更新、また東芝に至っては一時ストップ高まで買われる暴騰を演じたが、こちらの方は半導体の値上げ云々よりも東京証券取引所の承認を得て今週にも現在の2部から1部市場に指定される事になったとの報が大きいいだろうか。

この突飛高で大株主に犇めく魑魅魍魎のアクティビストも取り敢えずはホッと一息といったところだろうが何れにせよ17年8月に2部落ち?してから約3年半ぶりの悲願の1部復帰、今後はTOPIX組み入れなどによる需給の変化があるや否や、復帰といえども解消すべき課題は依然多くアクティビストの動向と併せまだ目の離せない展開が続くか。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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