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ロビンフッター

これまで我が世の春を謳歌し世界の株式市場を牽引していた米ナスダック総合株価指数であったが先週後半は2日間で一時10%近い下げを記録、先に取り上げた主力のアップル株やテスラ株などは一日で10%近い下げを記録し前者の時価総額は史上最高値比で2900億ドル減というからその肥大化を改めて感じる。

ところでこれまでの急ピッチな上昇に一役買ったともいわれているのが先週末に一部で報道されたソフトバンクグループによる数千億円規模の米ハイテク株のコール買い等のデリバティブ取引というが、こうしたオプション取引といえば直近で取り上げたロビンフッダー等による少額取引も市場を席巻しているという。

既に市場推計では個別オプションの売買高は現物株のそれを上回り、個別ではテスラ株で行使価格の高いコールほど値段が高くなるという通常ではとても考えられないような珍事が起きた旨の記事も一週間前の日経紙で見た。それだけに先週後半からのハイテク系の急落でこれらのロングに傾斜したポジションが老婆心ながら大いに懸念されるところ。

日本でも新型コロナウイルスを背景とした株価急落に外出自粛が重なり新規のネット取引口座開設が急増したという報があったが、欧米でも2〜3倍に伸びておりその成長期待からブローカーの時価総額やリクイディティーに貢献する一方で先週も書いたように投資家保護が依然として課題だ。既にロビンフッドにはSECが調査に入ったというが急成長に歪は何時の時代でも付き物だ。


7年8ヵ月のアベノミクス

さて、周知の通り先週末に安倍首相が首相官邸で記者会見し辞任する意向を表明した。1年1政権と揶揄された流れに終わりを告げ、以降7年8ヵ月にわたり安倍一強とよばれる盤石の体制を作り上げた第2次安倍政権であったが前回と同様に病には勝てずあっけない幕引きとなった。

思えば就任してすぐに政府と日銀が異例の共同声明を発表、自ら任命した黒田日銀総裁と共に2%の物価上昇目標を掲げ異次元の金融緩和と財政出動を進めアベノミクスの名のものに経済再生を推進、マーケットも反応し就任時の12年末に1ドル85円台だった円相場は円安の道を辿り15年6月には125円台まで軟化し輸出企業に追い風となった。

また政権発足した12年末は10,000円そこそこであった日経平均であったが、13年9月にはニューヨーク証取で「バイマイアベノミクス!」と声高にスピーチし、その年の東証大納会にも自ら出席し干支に絡む兜町の相場格言を持ち出し、「午の尻下がりなどというジンクスは忘れてください。来年もアベノミクスは買いです!」とこちらでも宣言、途中でアベノリスクなどと揶揄される時期もあったものの結局18年10月には24,000円超えまで上昇しおよそ27年ぶりの高値を付けた。

一方で長期政権下では森友・加計学園問題や桜を見る会問題など世間をザワつかせた弊害も目立った。目下のところ総裁選もその仕組みを巡りいろいろ物議も醸し出しているが、何れにせよ喫緊の課題であるコロナ対策はもとよりそのコロナ禍でほぼ往って来いとなってしまった三本の矢を以て増やした名目GDPの立て直し等々重責が待っているのは想像に難くない。


イナゴアプリ

昨日の日経紙夕刊にはアップルとテスラが株式分割を実施したことで両社の株を購入し易くなった個人の取引が誘発され、両者の売買急増から顧客注文処理が遅延するといったトラブルがネット証券のロビンフッドや同業のTDアメリトレードなどで起きた旨が書いてあった。

ところでこのロビンフッドといえば株式のみならず、先にゴールドと共に注目を集めたシルバーなどETFアイシェアーズ・シルバーの買いが同社のアプリを使った若者中心の個人によって急増した旨も報じられている。他に少額オプション取引も市場を席巻しており、急騰急落の何れも同社で売買を膨らませる投機筋が主導している姿が話題になっている。

所謂国内のマーケットで一頃言われたイナゴの類だが、その内容は兎も角も破壊的な無料攻勢から冒頭のTDアメリトレードを凌ぐその取引量急増でファイナンスも活発化し成長期待からその想定時価総額は100億ドルを超えるという。肥大化に伴う歪で投資家保護等の課題も多いものの、国内最大手のネット証券SBIなどの規模も上回る斯様なフィンテック界のユニコーンの存在はやはりここ何度か書いた日米の違いを再認識させられる。


新旧交代

さて、本日は知人の医師と新型コロナワクチン関連など含めいろいろと雑談をしていたのだが、仏製薬大手サノフィの話から世界最大の独立系バイオテクノロジー企業である米アムジェンの話になったが、同社といえば昨日からニューヨーク株式市場のダウ平均株価を構成する銘柄に新たに組み入れられている。

新たに組み入れられる株あれば除外される株ありという事で、同ポストではアムジェン入りの一方で製薬大手ファイザーが除外となったが、ファイザーのような重鎮から100歳以上も若いバイオのアムジェンへのバトンタッチは新鮮に映る。重鎮といえばもう一つ、石油メジャー最大手のエクソンモービルも今回外れることになったのも非常に印象的だ。

ちょうど一週間ほど前に「優勝劣敗」として米の所謂GAFAMのたった5社が東証上場全企業の時価総額を上回って以降もその差が開いている旨を書いたが、斯様に上記のような積極的な新陳代謝がなされているか否かの積み重ねがこうした背景にもなっているという事の証左だろうか。


破竹のIPO銘柄

さて先週末は安倍首相辞任報道を受け急落した日経平均も本日は現官房長出馬検討の報で現政権政策継続性に期待する買いが集まり4営業日ぶりに反発となったが、値上がり上位に新興勢がズラリと並ぶ光景はやはり先週同様。QUICK IPOインデックスが先週約4か月ぶりに8日続伸となっていた通りとりわけこの手へのホットマネー集中が著しい。

先週新規上場となったインターファクトリーなど初日から3日目にして漸く公開価格960円に対し実に約5.3倍となる5,080円で初値を形成しあとストップ高まで一直線となり本日もストップ高となっているが、ココと同じく3日目にして初値形成といえばその前のニューラルポケットもまた然りで公開価格900円に対して実に約5.7倍となる5100円での初値形成となりその後十数分でストップ高まで駆け上がるなど両者破竹の勢いだ。

これ以外でも以前5月に巣ごもり消費で取り上げたBASEなども3月安値の700円台から先週アタマには上場来高値を更新し10,000円の大台に乗せるなど、無配予定ながら実に13倍以上の大化けを演じている。これら何れもマザーズ銘柄だがこうした背景もあってマザーズ指数も2年2か月ぶりに1100ポイント台水準を回復し、年初来騰落率で見ても日経平均やジャスダックのマイナスに対してマザーズは21%高と明暗分かれている。

何れにせよ現状の売買代金の膨らみを見るに個人資金の回転は効いているのは間違いのないところで、ナスダックの騰勢を背景としながらコロナ後を見越した新興株物色はITサービスを中心としたIPOモノ中心にまだしばらくは物色の回転が効く光景が継続されるだろうか。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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