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有事の無国籍通貨

さて、昨日記の通りで新型コロナウイルスのパンデミック懸念で各国株式市場は大幅続落となっている一方で、【GOLD NEWS】にも連日挙がってきているように再び騰勢を取り戻しているのがゴールド。国際価格は先週7年ぶりに1,600ドルの大台に乗り、TOCOMの金も円安と相俟って連日の上場来高値更新を演じる事となった。

当然ながらETFなども今週に入ってからそれぞれが続々と年初来高値更新となっているが、昨年末段階の投信番付では金鉱株モノが更にレバを効かせ先進国株式型の過去1年の運用成績調べの1位と2位は南ア・オーストラリア等の金鉱企業株式を主要投資対象としたブラックロック・ゴールド・メタルとなっていた。

この背景には米中貿易摩擦に中東問題、香港デモなど地政学リスクの高まりがあったが、現在は何と言っても直面している新型肺炎のパンデミック懸念が原動力になっている。加えてFRBの利下げ観測の高まりなど世界的な利下げムードも下支え効果となり昨年から続く息の長さが今年もより一層鮮明になって来た感もある。


パンデミック懸念

週明けのNY DOWは1,031.61ドル安とその下げ幅は2018年2月8日の1,033ドル安以来、過去3番目の大きさを演じ、連休明けの日経平均もこれを受けザラバで1,000円を超す急落を演じて引けは781円安と2019年10月21日以来、約4か月ぶりの安値水準で引けた。この連休中にイタリアや韓国で感染者数が急増した事でさすがにパンデミックが現実味を帯びてきた表れか。

マーケットの構図も先週はTA等のファンド勢の短期マネーを背景にNT倍率が約28年ぶりに14倍の大台に乗せる歴史的な水準を記録、TOPIX先物への執拗な外資売りにSARSの時の覚えで日経平均も悲観視されていなかったバレンタインデーの頃には既に金も40年ぶりの高値まで不気味な上昇となっていたのも今更ながら急落に備え粛々とヘッジが這わされていたという感もある。

パンデミックでオリンピックの東京開催が難しくなるシナリオが最悪のケースだが、一方では上記のSARSやMERSなど歴代のパンデミック懸念時にショック安した後の騰落率を見るに有事の買いは奏功し易く、セル・イン・メイの前の仕込みにこの2月を挙げる市場関係者は多い。果たして今回もこのアノマリーが適うのか否か、VIXやVIなども睨みながら引き続き注視しておきたい。


アカデミー賞もSDGs

さて、今年第92回となる映画界最大の祭典でもあるアカデミー賞ではメーク部門で日本のカズ・ヒロ氏が二度目の受賞を果たす快挙となったが、もう一つは韓国の映画「パラサイト」が作品賞など4部門を制するという非英語の映画では初の賞を獲得するといういつもとは違った光景が話題になっていた。

さて、アカデミー賞といえばレッドカーペットにセレブが豪華ファッションで集結するのも定番の光景だが、もう一つ印象的だったのは今回はサスナビリティ(持続可能)がテーマだっただけに女優のグッチのドレスも英アカデミー賞で着たドレスをリメイクしたものあり、また別の俳優のプラダのセットアップも廃プスチック等を再利用したリサイクルナイロン素材を使用しているものなどこの手が目立った。

そういえばこのプラダは5月にブランドとして初めて日本で予定していたファッションショーが新型肺炎の影響で延期となってしまったが、ファッションショーといえば先に英ロンドで開催されたトミーフィルフィガーのショーではオーガニックコットンやリサイクル素材等を使ったこれまたサステナブルファッションが話題となっていた。

これまでレッドカーペットなどの衣装は1回のみという最初で最後の着用が美の定義であったものだが、斯様にサステナビリティを敢えて選ぶという今年の授賞式を見るに美の定義が変わりつつあるこうした光景はファッション業界の歴史が変わる節目を予感させるに十分かもしれない。


承認欲求

さて、直近では全身がんに近い状態だと明言していた著名美容外科の高須クリニック院長が「挑戦的癌手術」を無事終えたとのニュースが報じられ早くも先週末に職場復帰してオペをこなしたとかで話題になっていたが、美容外科といえば今週初めの日経紙社会面には「プチ整形自分を満たす」と題したメスを使わないプチ形成が若い女性に人気な旨の記事があった。

昨日のTBS系マツコの知らない世界では有名女子高生らによる写真アプリを紹介する内容であったたが今や盛っていない写真を探すのが苦労するほど加工を重ねているのが流れで、そういった事も背景に整形後の顔の想像の容易さも後押しし若年層の抵抗感そのものを薄れさせているようだ。

中には遙かに今の顔が綺麗にもかかわらず加工を重ねて宇宙人のようになった写真を持ち込んで同じ顔にしてくれと希望する女性や、昨今では小中学生の来院も増加傾向で辟易していると知人の整形外科医も以前言っていた事を思い出したが、それは兎も角も市場の拡大と共に機器や術式等も日進月歩で隔世の感を禁じ得ない。


取引所切磋琢磨

本日の日経紙・一目均衡には「東証はさらに強くなるのか」と題しPTSの最大のウリであった株価の刻み値を細かくしている部分を、東証も今年の1月末に呼び値単位の縮小を公表した事で昨年のPTSのマル信解禁の対抗策と見る向きがあるなどそのシェアを巡る思惑が台頭している旨が出ていた。

文中にもあったが東証の刻み値は欧米株比で大きな事から、執行コストの観点で海外大手機関投資家は刻み値縮小を賛成な反面HFT業者はやり辛くなるが、チャイエックス・ジャパンなど早くから東証と比べ売買スピードを意図的に遅らせるHFTを実質的に排除する仕組みを設ける等務めてきた経緯がある。

PTSを巡ってはかつて東証が取引時間延長構想を進めていた時期に、ニワカジャーナリストなどが取引所外取引を締め出して株式取引を独占したいという本音があるなどと彼方此方で書いていたのを思い出すが、ネット証券系は早くから投資家にアンケート等を募り格差是正と利便性に取り組んできた経緯があり斯様に同じ方向での切磋琢磨で競争も促されるといえようか。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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