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ガバナンスの虚しさ

さて本日は渦中のスルガ銀行が投資用不動産向け融資で総額1.8兆円の全件を対象にした不正行為の調査結果を発表、借入希望者の預金通帳や売買契約書の改ざんや偽造などの不正行為が約5500億円、そのほかの疑わしい融資等を含めると不適切融資は1兆円を超え全体の6割強を占める事が判明した模様。

このスルガ銀行といえば昨日も所謂デ−ト商品に加担したとして20代の女性が同行に対して損害賠償を求める訴訟を起こしている旨のニュースがあったが、TVドラマなどの設定でこういったシーンが使われるのは兎も角、リアルに一部上場企業が加担していたとはガバナンス強化が謳われている現在でなかなか残念な事態だ。

しかしこのスルガ以外でもレオパレスや、もうかれこれ数年続いている製品検査の不正問題に絡む企業続出などガバナンス強化の掛け声も空しく聞こえる。ただでさえ経営環境が厳しい中での不祥事発覚で今後どういったところに活路を見出してゆくかだが、東証が市場改革を検討する中でもこの手のニュースが無くなるのは考え難くまた次の事例が出てきそうだ。


現代版アクティビスト

本日の日経紙企業面には「東芝 外国人役員3分の1」と題し、昨日に経営再建中の東芝が12人の取締役のうち社外が10人で全体の3分の1にあたる4人が投資会社トップなどの所謂物言う株主とされる外国人役員になるなど、取締役会の体制を大幅に見直すと発表した旨が出ていた。

文中には東芝株を5%超保有する米ファンドのキング・ストリート・キャピタル・マネージメントの話が出ていたが、同ファンドといえば東芝が17年に増資する以前からの株主で先に取締役の過半数の後退を要求した経緯があり、当時の株価は短期的株主還元拡大思惑から上昇したものだ。

これまで何度も書いてきた米スティール・パートナーズなどかつてブルドックソースやアデランス、ユシロ化学などに揺さぶりをかけ続けてきたがその関与が成功したとは言い難かったものだが斯様な北風政策も今は昔、ズラリと並ぶアクティビスト達の東芝への経営関与はいろいろな意味で試金石となる。


環境と倫理観

さて、先週末の日経夕刊社会面には「SNS映え 食べ物粗末に」と題し、所謂「映え」を狙った挙げ句に結果として食品を粗末に扱う類の投稿が後を絶たない旨が取り上げてあり、またその舞台となった繁華街などでは食材の食べ残しやゴミの放置などの問題も深刻化している旨が書いてあった。

この辺に絡んでは当欄でも2年前の秋頃に、SNSの写真を撮ったら用済みで一寸口を付けた商品がゴミ箱に大量廃棄されている様が話題になっている旨を取り上げた事があったが、食品ロス問題などへの取り組みが企業や自治体などを中心として盛り上がりつつある機運の中でこうした行動が並行してエスカレートしている構図が奇異に映る。

ただ背景を考えてみるにその底流には、例えば上記の食品ロスなどこうしたSNS映えを狙う世代がバイトなどしている販売店などがイベント毎に販売力をはるかに超える仕入れを行い、売上に陰りが見えれば彼らに無理矢理購入させそれでも残れば躊躇なくどんどん廃棄する様を彼らは日々見せられているワケで、斯様な環境下で彼らに倫理観への理解が如何ほどあるかこの辺を考えなければならない。


楽観支配の咎め

本日の日経平均は米中貿易摩擦と世界景気への影響を懸念して4日大幅続落となり約1か月半ぶりの安値圏に沈んだが、本日の日経紙にも「米中不安市場揺らす」と題しVIが日米欧で揃って上昇、一昨日の所謂恐怖指数であるVIX指数は一時3か月ぶりに節目の20を上回った旨が書いてあった。

このVIXといえばやはり思い出されるのがこれに振り回され大荒れ模様となった昨年2月が鮮明に思い出されるが、先月末時点でヘッジファンドなど投機筋によるVIX先物の売越残高は18万359枚と実に統計を遡れる2004年以降で最大となっていた旨も一昨日の同紙に載っていた。

東日本大震災の時に先物オプション市場に溜まっていたセルボラが大パニックになった時も然り、リスク・パリティ型ファンドが増殖している近年昨年2月以降でも10月の乱高下なども記憶に新しいところで、低金利と低インフレを支えに変動の小さい相場が続くと「喉元過ぎれば熱さを忘れる」の如く楽観がまん延していた証左の最大の売りに逆回転がまたも牙を剥いた格好になったか。


ブランド化の仕掛け

昨日のテレ東系ガイヤの夜明けでは「大人気、高級食パンなぜ?」と題し、今話題の仕掛け人を中心とし老舗惣菜店などとコラボして新しいパンを作ろうと試みるなど食パン市場の知られざる戦いの現場が放映されていた。この高級食パンといえば当欄でも昨年11月頃に一度これに触れている。

その時は高級食パンブームの先駆けとなった店のパンが自宅で作れるという触れ込みでホームベーカリーまで登場した人気ベーカリーの「乃が美」が麻布十番の店を開店させるなどいよいよ東京進出のはこびとなった旨を書いていたが、同放映で登場したのはいずれも奇抜?な店名と完成度の高いパンのギャップが特徴的な店舗であった。

その完成度の高さも添加物を一切使用していない生クリームなど素材の拘りがあってこそだが、生クリームも最近ではこれに特化した専門店まで出来ている。型に嵌めたロジックではないがしっかりと計算された作り込みが集客のキーとなっているが、特化したブランド化の成功の背景にあるのはつくづくマーケティングの重要性だと再認識した。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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